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俺YOEEE!〜最強種族たちに愛でられまくる異世界転生ってアリですか〜  作者: うらねこ


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第1話 俺、チート付与を事故られる


 目が覚めたら、眩しい青空が広がっていた。


 雲がすぐそこを流れていて、手を伸ばせば届きそうだった。


 別にこれは、量産型J-popの歌詞とかではない。紛れもなく、俺が今置かれている状況、そのものだった。



「……は?」



 体を起こし、周囲を見回してみた。


 そこは、RPGでよく見るような、古代ギリシャっぽい神殿の広場みたいな場所だった。


 ただし、全てが異様に、でかかった。


 目の前には、見渡せないほどに広い石畳が広がっている。そして、広場の外側を囲うように、マンションくらい巨大な白い柱が何本も立っている。

 その巨大広場の両脇には、これまた巨大な噴水があり、水音がドドドドと響いていた。



「……いや待て。俺、死んだ??」



 その時、直前までの記憶が急に蘇ってきた。


 まず、俺はギリシャ神殿には縁のない、ジャパニーズ底辺ブラック勤め、佐久間 直人(31)。


 日々上司に詰められ、サビ残させられ、エナドリの缶に囲まれて生きていた。

 だが明日は、大好きなゲームのシリーズ最新作の発売日だった。それに合わせて、上司に散々嫌味を言われながらも、300日ぶりの有給を勝ち取っていた。

 

 そして、夜中0時の発売と同時にダウンロードして、一晩中やり込む予定だった。

 

 お供のビールも、大好きなつぶ貝の缶詰も、すでに買い込んで、準備万端だった。


 それなのに。


 深夜、ウキウキで会社を飛び出して、駅に向かう途中に。


 パーーーーっというクラクション音が響いて、そちらを向いたら。

 

 目の前いっぱいに、トラックのライトの光が広がっていた。



「何でだよおおおおおおおおお」


 俺は天を仰いだ。

 


「今日じゃなくてもさあ!!」



 ついてない。さすがに、1日くらい待ってくれてもよかったのではなかろうか。


 しかし、同時にこう思った。

 もしこれが転生とかいうやつなら。

 

「逆に、めっちゃいい能力とかついてるんじゃね……?」


 ぼそっと呟いた瞬間、目の前に突然、白い光が浮かんだ。


「うわっ」


 反射的に後ろへ下がる。

 光はやがて一点に収束していき、四角い板のような形になった。


 そこに、文字がぼんやり浮かび上がる。



【転生対象者情報】



「……お」


 来た。


 キタキタキタ!!


 俺は立ち上がり、食い入るように文字を見つめた。



【対象者:佐久間直人 三十一歳 独身】


「独身はいらねえだろ」


【転生前ステータス:非力/臆病/不運/低体力/運動音痴/方向音痴/対人スキル低……】


「散々すぎるだろ」


【散々すぎるため、転生後スキル強化キャンペーン対象に認定しました】



 ジジ……と読み込み中みたいな画面に移る。

次の瞬間。



【転生後付与予定能力:超身体強化/高位魔法適性/全属性適性/高速再生/状態異常耐性/超幸運/成長補正……】


 大量のステータスが浮かび上がった。


「え!!やった!!!」


 最強確定だった。もうこんなの、転生後俺TUEEEE無双&特大ハーレム確定だった。

 しかし、俺がウキウキ小躍りしていると、突然画面がジジ……と遷移した。


【エラー:302】


「…………ん?」


 エラーと書かれた行の下に文字が並んでいる。俺が目を滑らせていると、ある行で目が止まった。


【転生工程――正常】

【能力付与工程――未実施】


「…………未実施?」


 念のためもう一度、文字を読んでみた。


【能力付与工程――未実施】


 見間違いではない。未実施……ミジッシ?


 言葉の意味を飲み込めないでいると、突然、白い板が明滅しだした。


「待って! どゆこと!?説明して!」


【エラー:通信終了】


 そして、ぱっと光が消えた。


「おーーーーい!神様ーーーー!!!!」


 返事はなかった。


 ……まさか。

 

 猛烈な嫌な予感に、心臓がばくばくと脈打ち、嫌な汗が全身から吐き出す。

 そういえば、服も死ぬ直前のままだ。


 皺のついたワイシャツにスラックス。緩んだネクタイ。異世界転生したというのに、見た目だけは完全に残業帰りのサラリーマンだ。


 嫌な予感は増すばかりだったが、とにかくその場で叫んでみた。



「す、ステータス!」


「…………」


「パワー!違う、スキル!……のうりょく!」


「…………」


 柱の奥を、白い雲が流れていった。




 俺はへたり、とその場に座り込んだ。体を嫌な汗が伝う。


 まさか。


「俺……チートもらわずに転生した……?」


 俺はただ、呆然と呟いた。

 呟きに答える声も、当然なかった。


 

 だが、その時だった。




 ドンッ




 地面が揺れた。



 ドンッ



 少し間を置いて、もう一度。


 地震かと思い、俺はとっさにダンゴムシみたいに身体を丸めた。

 

 チートなし、異世界転生。 

 俺の体を守る術は、床の上で、ダンゴムシ。それしかなかった。

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