第106話 万物念動の変化
落とした枝をどんどん革袋の中に入れて、私が持つその袋は間もなく一杯になった。
「よし! このぐらいでいいよね」
私は一杯になった革袋の口を閉じて、背中に背負おうとすると、アイシャがそれを止めた。
「お嬢様。それは私が持ちますから。まだ足が痛むんでしょう?」
「あ、ありがと。じゃ、お願いしよっかな」
私は袋をアイシャに渡して、足の痛みを確認しようと歩いた途端、胸の辺りに熱さを感じて、その場に座り込んでしまった。
「お嬢様!」
「ラフィーネさん!」
みんなが私の周りに集まって来た。
…この胸の熱さはたぶんさっきの聖樹の光のせいだ。
私の中にある恩恵『万物念動』が光に触れた事で変化しているのが感覚で解った。
そして、さっき念動を使って、武器を回収した時と聖樹を集めている時に感じた違和感。
私は立ち上がり、皆に声を掛ける。
「ごめん、ごめん、もう大丈夫だから。ちょっと試したい事があって試したいんだけど、いいかな?」
「大丈夫ですか? お嬢様。 でも試すって何を?」
「ちょっと言葉で表現しにくいんだけど、さっきその聖樹に触ってから、私のスキルがちょっと変わった気がするんだよね」
「スキルが変わった? どんな風にですか?」
「それを今からちょっと試して、確認しようと思って」
そう言いながら、私は背中の剣を抜いて、右手に持った。
ズシリと重い。
少し細身の刀身だが、非力な私にはそれでも重すぎる剣だ。
その剣を握ったまま、剣を念動で動かす。
上下左右に、私が念じる通りに動いた。
右手はまだ剣の持ち手を握っている!
私はアイシャの方に振り返り、興奮して声を上げた。
「アイシャ! 動かせるよ! 私が触れてるこの剣を念動で動かせるよ!」
「ええ? 本当ですか? それじゃあ、スキルの制限が無くなったって事ですか?」
「かもしれない! ちょっとこの剣、アイシャ持ってみて!」
私は手に持った剣をアイシャに渡した。
「いくよ。動かすよ」
アイシャが手に持った剣を念動で動かすが、アイシャの手はじっとしたまま動かない。
「あれっ? アイシャ押さえつけてない?」
「そんな事してませんよ!」
「じゃあ、何でさっきは動かせたんだろ?」
私はアイシャから剣を返してもらい、もう一回念動を使った。
…やっぱり動くじゃん!
てことは、私が触れてる物は動かせて、他の人が触れてる物は動かせないってこと?
「ねえ、クウネ。クウネのそのククリナイフを抜いてもらっていいかな?」
「いいよー」
クウネはククリナイフを手に持って、じっとしてくれたので、私が念動で動かす。
だが、ククリナイフを持ったクウネの手は全く動かない。
「んー、じゃあ、クウネ。それを貸してくれる?」
私はクウネからククリナイフを受け取り、念動で動かすとさっきの剣と同じように念動だけで操作出来た。
「やっぱり私が触れている物は動かせるね」
「そうなんですね。でも良かったですね、お嬢様。これで思い通りに剣を使えるんじゃないですか?」
「ハッ!! そうだね! ホントだ! すごいじゃん!」
するとクウネが私に聞いてくる。
「じゃあじゃあ、ラフィーネ! これに乗って飛んだりとかできるー?」
クウネは私のバックラーを一枚出した。
「おおー! もしかしたら飛べるかも! 一回やってみるね」
私は鞄からもう一枚バックラーを出して、二枚のバックラーに片足ずつ乗せた。
そして念動でそのバックラーを浮かせると私の体ごと宙に浮かんだ。
「おおー!」
そして落ちないように注意しながら、バックラーを前に進める。
もう数秒以上の時間が経っているが、念動が途切れる気配はない。
前は人が触れると一秒ぐらいで念動が途切れたのに!
「すごいよー! まだ動かせるよ! これ、練習したらめちゃくちゃ空とか飛べるかも!」
私は興奮して、皆の方に振り返ったと同時にバランスを崩して、バックラーから落ちた。
これは念動よりまず、私のバランス感覚を鍛えないとダメだな…。
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