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冒険者ギルドのチート経営改革 魔神に育てられた事務青年、無自覚支援で大繁盛(書籍化&コミカライズ作)  作者: ハーーナ殿下
第2章

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第73話:大きなメリット

 王都三大冒険者ギルドの経営者ウルガリン・ウインズボーン、強力なライバルが出現した。

 彼との会話も終わり、オレはマリーと応接室を去ることにした。


 文官の案内で城の廊下を進んでいく。このまま王宮を去り、自分たちのギルドの戻ることにした。


「ふう……それにしても、なんか困ったことになりましね、フィンさん。王政依頼に、三大ギルドのとの競合……うちのギルドはどうなっちゃうんでしょう……」


 王宮の廊下を歩きながら、マリーは深いため息をつく。ようやく現実の世界に戻ってきたかのような顔だ。


「たしかに相手は強大です。ですが今回の王政依頼を成功させたら、メリットもあります」

「えっ、メリットですか?」


 不安そうなマリーを安心させるため、今回の王政依頼について説明をすることにした。


「はい。まずは王政依頼を成功させたら、かなり巨額の依頼料か特別報酬を受け取ることは可能です」

「かなり巨額な依頼料か、特別な報酬ですか……ごくり。それは凄く魅力的ですね」


 マリーが息を飲むのも無理はない。大陸でも有数の王国が有数国家予算は、市民の感覚とはケタが違う。

 上手くいけばたった一回の成功報酬で、ボロン冒険者ギルドの資産が数倍にもなる可能性があるのだ。


「あと王政依頼を成功させたら、うちの《冒険者ギルドランク特別昇格試験》の結果に有利に働きます」

「えっ、《冒険者ギルドランク特別昇格試験》の結果が有利に?」

「はい、今まで王政依頼を成功させたギルドは、王都でもそれほど多くはありません。それに今回の競合相手はウルガリン・ウインズボーン氏。冒険者ギルド協会の専務理事も兼任している方です」


 《冒険者ギルドランク特別昇格試験》の調査と評価は、冒険者ギルド協会の理事会で決議される。

 理事会で発言権が一番大きいのは、トップである理事長。その次は一人の専務理事と、五人の副理事長たち。

 その中でも忙しい理事長の懐刀である専務は、実質的な会議の運営を担っていると言っても過言ではないのだ。


「そ、そうだったんですか……つまり、さっきのウルガリン・ウインズボーン専務のさじ加減一つで、うちのギルドの《特別昇格試験》の結果が決まっちゃうって、ことなんですか⁉ あっ、そうだ! それなら今回はワザと競合に負けて、相手に花を持たせて《特別昇格試験》に合格! ってのはどうですか?」


「それは愚策ですね、オーナー。彼は清廉潔白を好む人だという噂があります。むしろ逆効果になる可能性が高いです」


 王都の噂によると、ウルガリン・ウインズボーン専務は不正を嫌う人物だという。

 過去に賄賂を渡してきた冒険者ギルド経営者を、彼は徹底的に厳罰に称した記録もあるのだ。


「えっ……それなら、今回の競合は……」

「むしろ我々が正攻法で競合に勝利して、ボロン冒険者ギルドの実力を認めてもらうしか方法はありませんね」


「や、やっぱり、それしか道がないのか……はぁ……王都三大ギルドに勝つなんて、うちみたいな弱小ギルドが……ふぅ……でも、こうなった死ぬ気で、やるしかないか……」


 深いため息をつきながらも、マリーは何かを吹っ切っていた。こうして気持ちを切り替えできるのは、彼女の経営者としての資質の一つともいえよう。


「なんか吹っ切ったら気持ちが楽になってきたかも。あっ、そういえばフィンさん。どうして今回はウチらが王政依頼に呼ばれたんですかね? 三大ギルドとFランク冒険者ギルドは、釣り合うはずなんてないのに?」


 王宮の廊下を歩きながら、マリーが首を傾げるもの無理はない。

 何しろ王政依頼は普通、Fランクギルドには声すらかからない。まして今回の競合相手は三大ギルドのウインズボーン。

 ランク差が大きく王宮での選考段階で、明らかに“何かの力”が裏で働いている可能性が高いのだ。


「おそらく“推薦人”がいたのでしょう、それは」

「えっ……推薦人……ですか?」


「はい。王政依頼には特殊な規則があって、“特別な地位にある者”の推薦さえあれば、Fランクギルドでも参加が可能なのです」


 王政依頼は普通の依頼とは少し違う。そのため特殊な規則が何個かある。これも書物によってオレは知識を得ていた。


「特殊な地位……って、それって、もしかして、王国の貴族とか大商人とかですか?」

「いえ、彼らにもそれほどの権力はありません。今回の場合では、権利を有するのは王族と継承権のある者たちだけです」


 王政依頼は大小様々な依頼がある。そのため王族関係者には融通が効くように、隠れた規則があったのだ。


「お、王族って……あっ⁉ もしかして、フィンさんの知り合いで、王位継承のある人って……」

「そうですね。あっ、噂をすれば影が差す、該当者が来ましたね」


 そんな話をしながら王宮を歩いていると、前方から数人の集団が向かってくる。


 先頭にいるのは、紫のマントをはおった長身の赤髪の男。

 この王国では紫のマントは特殊な貴族……王族しかまとうことが許されない証だ。


「おや、こんなところで会うとは奇遇だな、フィン?」

「そうですね、ラインハルト殿下。いや、奇遇ではないかもしれませんね」

「はっはっは……相変わらず鋭い奴だな、お前は」


 やってきたのは《王国竜鎖騎士団》総団長であり、この王国の第二王子ラインハルト=ソル=エーゲルハイトだった。


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