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~置イて逝カレル恐怖・カナシミ~

2人は再会。

だが、沙也加の変わり果てた姿に零士は驚愕……。

そして思うことは……。


驚愕する零士に沙也加は……。

 待っていたのは間違いなく、沙也加だった。だけど、沙也加はもう…助からない……。何故なら……

「……零士……君……。私……」

まだかろうじて動けるみたいだ。だが……

「……驚かせちゃったよね……ごめん……」

沙也加の両足・両手が……緑色に変色していたのだ。……これは……腐っているのか……? 俺はそっと沙也加の腕に触れてみる。

「だ…駄目…!! 零士君……触れると…零士君も……」

沙也加はそう言うが、遅かった。俺の手はしっかりと沙也加の腕に触れていた。……ベタベタとしている。手を離すと、手には緑色の粘着性のある液体が付いていた。

「れ……零士……君……」

沙也加は申し訳なさそうな顔で俺を見る。

「……すまん……。お前を…こんな目に合わせて……。その責任、取るから」

俺は沙也加を手を引いて歩く。沙也加は無言でただ、俺に引かれるだけ。ついていくだけ。沙也加の持つ懐中電灯が静かに場を明るくした。


 どうすればいい? どうすれば二人で脱出出来る? 俺は考える。今の沙也加は物を考えれないぐらいに…参ってしまってるだろう。……そう、俺のせいで。俺が沙也加を守れなかったから。……そう、あの右足も……あの腐った両手足も……。ネガティブな思考が俺を襲う。だけど、この思考には負けてはいけないと、俺は必死に、ネガティブを押し殺した。

「……大丈夫か? 沙也加」

「…………」

何も返事が返って来ない。だけど、沙也加の歩く音は聞こえた。……答える余裕はないよな……。何しろ……両手足が腐ってるんだもんな……。俺がそうなってもきっと…沙也加と同じような状態になっていただろう。俺はそっと後ろを見て、沙也加を確認する。見る度、沙也加の腐敗は広がっていた。辛かったが、動かないよりはマシだと、必死に俺は沙也加の手を引き、歩く。相変わらず、病院の中は血の臭いと死体の腐敗臭・カビの臭いでいっぱいだった。だが、最初に比べると、もう慣れてしまった。元々、ホラーゲームの実況を見ていたのもあるが……。コツコツ。無言でただただ歩く。静かすぎる。俺達の足音しか聞こえない。……何出て来るか分からないという恐怖と、早くしないと沙也加が…という気持ちが俺を襲った。俺は無力だ。恐怖のあまり、俺は一人の女すら守れなかったんだ……。

『そうだ、お前は無力だ』

「……!?」

声が聞こえた。俺は身構え、後ろの沙也加を守ろうとした。沙也加も俺の異変と声を感じたんだろう。激しく身震いし、一歩下がった。

『お前は醜い。お前は酷い。お前はいなくなった方がいい』

……まともな言葉……。これは…現存する人間なのか……?

『醜くて酷い上に、馬鹿なんだな、お前。僕は現存してない。これはプログラムだ』

「プログラム……?」

『梨美にヨッテ…プログラムされた…キカイだ。よって…イロイロ…疑問はあるト思うガ……答えるコトハデキナイ』

梨美が作ったプログラム……? そんな物が存在していたのか……。奇妙だ。さっきまでは幽霊やら化け物やら……ホラーゲームに出そうな物だったのに……急に機械を出すとは……。梨美は一体…何を考えているんだ……?

『お前はヒトリの女スラ、守れない……最低な男ダ』

違う……。まだ死んでない……。沙也加はまだ…生きてる…。現実に帰れば……大丈夫だ。そのはずなんだ……!

『醜い…。お前は何も出来ずに、ただコウカイするダケ……。醜い。ヒドイ』

うるさい……。黙ってくれ……。これ以上……これ以上……言うな……!! ……そう言いたかった。だけど言えなかった。本当のことだから。俺は醜い。酷い奴だ。沙也加を酷い目に合わせ、傷付けた。その罪は重く、大きい物だ。沙也加は…懸命に…俺達が…この世界から出れるよう…頑張ってるのに……俺は……。

「やめて……。もう……もう、零士君を責めないで……!!」

「……!?」

沙也加が俺の後ろで、大声でプログラムの男性に叫んだ。その声はプログラムには届いてなどいないのに……。……沙也加、どうしてお前は俺を庇うんだ……。お前をそんな姿にしたのも……此処に連れ込んでしまったのも……全部、俺のせいだと言うのに……。

「零士君は悪くない…! 零士君は…私のために…ずっとずっと…してきてくれた! この怪我は……私のせいなの。これは罰なの。私への……罰。だから……零士君は悪くない……!!!」

沙也加は、今にも崩れ落ちそうな足を動かして、心臓部となる部分に、偶然落ちていた、医療用電気ショックを当てた。心臓部はショート。プログラムの男性を(破壊)した。プログラムの男性は驚き、そしてショートを起こしていた。ビリビリと音を立て、男性の姿が砂嵐に変わっていく……。

『お前……は……ジジジジジ………ヲ……ガガガガガガガ……タ……ギギギギギギギギギ!!!!』

機械音が出る。完全にメッセージは壊れたようだ。沙也加はとどめを刺すように、プログラムの男性を蹴り落した。……沙也加。お前……手足が腐ってきてるというのに……どうして……。

『ギギギギギギギギギギギギギギギギガガガガガガガガガガガ……』

もう言葉も言えないのだろう。そして少しして……


ボカーン!!


爆発し、俺達は爆風で飛ばされた。


 目を覚ますと、そこは珍しく明るい場所だった。此処は何処だろう……。病院であることには間違いないんだろうけど……こんな明るい場所なんて…あったっけ……?

「……病室……みたいなとこなのかな……。花が供えてあるし……」

そう言いながら、私は手足を見る。相変わらず、どんどん緑色に変色していた。まだ何とか使えそう。……あっ……零士君……大丈夫かな……?

「零士君……?」

「うぐぐ……痛てぇ……」

「零士君……!! 大丈夫なの?」

「……何とか大丈夫だ……」

でも零士君は痛そうだった。怪我もしてるかもしれない。あれだけ飛ばされたのだ。怪我しても無理はない……。…………。もっと違う攻撃法があったのかな……? もっと慎重に攻撃すれば……零士君は怪我せずに済んだのかな……。

「……ごめん……零士君……」

「……え? どうした……? 沙也加……?」

「……だって……私があんな攻撃しなければ……零士君……怪我せずに済んだと思うの……。ごめんね……」

「……沙也加……」


 『お互い、参って来てるミタイね……』

梨美はそう言う。それにしても……梨美のプログラムが壊されるなんて……。沙也加……なかなかやるなぁ……。

『……類?』

『あァ、スマン。考え事してた……』

そろそろ…このフィールドも飽きてきたな…。それはきっと僕も、あの二人も思っているんだろうな……。慣れると、人は怖く感じなくなるから……。血と死体・幽霊・化け物だけじゃ足りなくなる。何か……何か入れなければ……。このゲームを…続けるためにも…。

『……もしカシテ、このゲームのコトとか……イロイロ考えてくれてタノ……?』

『……まあ……。思ったんだが…アマリ同じような感じジャ、慣れて…怖くなくなるトオモウんだ。何か……イレタ方がイイカモしれない』

『ソウダネ……。ウ~ン……何がいいんだろう……? もっと暗く…重くする……ナニカ……』

だが、今すぐ入れるのもドウダロウカ? 相手に少し希望を見せて…ソレカラどん底に落とすホウガ……精神的にクルノデハ……? …………。僕は考えながら梨美をチラリと見る。梨美は懸命に考えていた。僕らのゲームのタメニ。僕のタメニ……。しばらく放置して、フタリを油断させよう。

『……梨美。ソロソロ行くぞ。……その件は僕も考えておく。そう焦るモノでもナイ』

『ウン!』

……梨美は疲れてるはずダカラ。今度は僕が動かないと……。…………。僕は……。僕は……。今こそ……この僕を。この臆病な人間を……。変えたい。……あの時。何も出来なかった僕……。……もうあんな思いするのは……ごめんなんだ。だから。動くよ、僕は。梨美のためナラ……。

投稿が遅れると思います。

どうか気長に御待ち下さい……。

申し訳ありません…。

詳しくは、活動報告を御覧下さい。

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