~希望ト世界変更~
大変長らく御待たせしました。
遅くなってしまい、申し訳ありません。
真っ白な世界に出た。此処は病室らしい。どうやら此処は安全そうだ。周りの部屋と比べて綺麗だった。
私達はどうやら、さっきの爆風で此処まで飛ばされてきたらしい。その際、零士君は膝に怪我を負ってしまったらしい。痛そうに顔を歪める零士君……。私は謝ることしか出来ない。何もしてあげることが出来ないんだ。
「……ごめんね……零士君……」
私は零士君が怪我したところに手を当ててみる。傷は深く、痛そうだ。中の肉が丸見えだ。
「ごめんね……零士君……私のせいで……」
そうだ。全ては私のせいなんだ。私のせいで、零士君はこんな目に合って……。
「沙也加……俺は大丈夫だ。それよりも、お前の状態を心配するべきなんじゃないか?」
零士君は私の両手足を心配してくれた。……私のことなど、どうでもいいのに。だって、この状態で現実に帰っても……きっともう助からない。こんなに腐敗が進行してるのに……助かる訳がない。どっちにしても……私はもう、死ぬんだ。
「……沙也加……?」
「あはは……あははははは……」
「!?」
「私、もう死ぬんだ。こんな状態で帰ったところで、死ぬだけだよ!! あはは……笑っちゃうな……。今まで耐えてきたのに……それが簡単に水の泡になるなんてさ。あはは……あははははは!!!」
あれほど頑張って脱出しようと思ってた自分が、馬鹿に思えて仕方がなかった。脱出して、現実に帰る。出来るわけない、実現するはずがない夢を追っていたような気がしてならない。あははは……馬鹿だな……私は。
「沙也加……!!!」
バシンッ!!
叩く音と共にジリジリとした痛みが走る。私は零士君を見た。はっと我に返った。零士君は悲しげな顔をして私を見ていた。頬がジリジリと痛む。もしかして……私……零士君にビンタされた……?
「……そんなこと言わないでくれ。まだそうだと確定した訳じゃない。沙也加は死なない。……いや、死なせない。俺が守るから……俺がお前のこと……守る。守ってみせる……!!」
零士君……。そうだよね……。まだ諦めちゃ駄目だよね……。
「……沙也加……? ……泣いているのか……?」
「え……?」
いつの間にか、涙が出ていた。懸命に止めようとしても、涙は止まってくれない。体が震える。
「……死ぬのは……怖いよ……」
そう言うと、零士君は私を抱き締めて一言。
「……そうだな……」
白く綺麗な病室を出ると、そこには今までと全然違う風景があった。
「……!? 此処は……」
「……病院には変わりないけど……何だか……凄く綺麗……」
まるで、今でも経営してそうなぐらい、内装が綺麗だった。血も死体もなく、カビ臭くない。最もの違いは……”生きた人間が病院の中を歩き回っていること”。もしかして幻覚? 私達は今、幻を見せられているのか……?
「……油断するな。この空間に、生きた人間は俺達だけだ。これは幻。罠だ。俺達を油断させて、安心させて、そしてどん底に落とす……というな」
零士君は警戒姿勢を崩さず、慎重に歩く。
「分かってるよ。これは幻覚。この空間に、こんなもの、あるはずがない。だって、さっきまで血とか死体とかでいっぱいで、ずっと汚くて、カビ臭かったもの。それが急に、こんな綺麗になるなんて……あるはずがない」
そう言うと、ふっ……と零士君は笑い
「その思考が出来るのなら、お前はまだ正常だな。絶対に二人でこの空間を出ような」
そう言って、零士君は私の手を繋ぎ、まっすぐ向いて、歩く。頼りがあるな……零士君は。……かっこいい。
「……良かった……」
「ん?」
「……零士君に会えて……良かった……」
「……! ……おう」
零士君はただ、返事をしただけで、こちらを向こうとはしなかった。
『無事だったのね、二人とも』
「……!! 梨美……!!」
『そう身構えないで。此処は安全だから』
「……どういうつもり……? 此処は……何なの……?」
『此処は生前、私が通っていた病院。私の想像で作り出した空間。まぁ、言えば、次のステージに行くための休憩地……って感じ』
梨美さんが生きていた時に……通っていた病院……? あれ……梨美さん……病院なんて……通ってたっけ……? ……特に体の具合が悪かった訳でもなかったような……?
『……ふふ……分からないって顔、してるね。二人が思ってる通り、私、別に病気とかがあった訳じゃないの。……正確に言うね。此処は、私の知り合い……正直、縁を切りたい人だけど……その人が、通ってた病院。さっき、沙也加も零士も、怪我したでしょ? 零士はまだしも、沙也加は重傷。このままだと、沙也加はすぐに死んでしまう。そこで!! これは私からのサービス。……治療を受けて。そしたら、貴方は生き延びれる。……勘違いしないで。これはあくまで、次のステージのため。此処で死なれると……つまらないのよ』
……。信用出来ない。散々、私達を苦しめておいて……。今更、休憩地とか……治療して、次に備えろとか……。そんなの……!!
「信用出来ないよ……!! 今更、どう信じろと言うの……!?」
『そりゃあ、そうね。そう簡単には信じられないよね。なら、これはどう?』
梨美さんがそう言うと、パァ……と光が輝く。足元から来てるらしい。私はそっと足を見た。緑色に変色した足から光が出ていた。
「……!?」
「沙也加……!?」
零士君が私の所に駆け寄る。足から出る光は、さらに増していく。
『見てごらん? 沙也加の足、治ってると思うから』
梨美さんは自信満々で言う。言われるがままに、恐る恐る、私の足を見た。緑色に変色していた足は、元の色に戻っていた。さらに、体に広がっていた緑色も、全て元通りになっていた。
『ね? 治ってるでしょ?』
信じ難いけど……元通りになってることには間違いない……みたいだ。
「……ありがとう……梨美さん……」
これで……零士君と現実に帰れるんだ……。これで……怪我せずに……類さんを見つければ……私達は……!!
『……あれ、あまり嬉しそうじゃないね、沙也加。せっかく、治してあげたのに』
「あ、ううん!! 凄く嬉しいよ!! だって、これで現実に帰る時、後遺症なしで生きられるし!!」
私は慌てて反応する。おかしい反応して、梨美さんの機嫌を損なうのは、危険だから……。
『ふふっ、満足して頂けて何よりだよ。それじゃ、次の試練に備えて……ユックリ、休むことね』
その声以降、梨美さんの声は聞こえなくなった。……次の試練……か。今度はどんな試練が私達に待っているんだろ……? 此処で休憩させるということは……さらに厳しい試練が来る……ということなのかな……? そう思うと、震えが止まらない……。怖い。怖い。もう嫌だ。どうして私達がこんな目に合わなければならないんだろう? 何で私達なの? 何で? 何で? 何で?
「……沙也加。俺は絶対、お前を守ってやるからな。……恐怖・不安に駆られるの、分からなくもないが、それで自分を失うな。冷静さを保て。お前は一人じゃないんだ。俺がついてるんだ。だから……安心しろ」
……零士君……。……そうだね。一人じゃない。此処で怖がっても……何も変わらないんだ。
「……うん!!」
ありがとう、零士君。私、頑張るよ。この異空間から出るために……。無事、現実世界に戻って、そして今まで通りの生活に戻るために!!
『シテキタヨ!! 類!!』
『アァ、お疲れサマ、梨美』
僕はそう言って、梨美の頭を撫でる。梨美は嬉しそうに、目を細め、僕に体を委ねる。……アッタカイ。生前のヌクモリ。……あぁ、忘れていました。今回は貴方もいるんでしたね。すみません。何の説明なしに、此処に連れてきてしまって……。……”私は本当に帰れるのか?”……ですって? あぁ、そういえば、貴方には、あの呪文をしていませんでしたね。……御安心下さい。先程も申し上げたように……アナタハ帰しますので。アノ二人は、只今、僕達のゲームをプレイ中ですので、結果によりますケドネ……。それはそうと、どうですか? 僕達のゲーム。なかなかいい感じに作り上げられてると思いませんか? ……まぁ、所々ミスが出てしまっていますがね……。
『ご…ごめんなさい……』
イヤ、もういいんだよ、梨美。……? ”どうしてこのようなことをするのか”……と? ……決まってるじゃありませんか。タノシイから……デスヨ。……おや? どうしたのです? そんなに顔を青ざめて……。……何度も言うように、アナタハ現実に帰しますよ。……マァ、気が変わらなければ……の話デスガネ。
『ふふっ、気を付けるのよ? この人、気分によって変わるからさ。……まぁ、そんなすぐには変わらないと思うけど……何かあれば……もしかしたら……ネ』
今の僕は、貴方を帰そうと思っていますので、どうか御安心を。……”ありがとう”……? ……ふふっ、貴方のその純粋なところ、嫌いじゃありません。いい人ですね、貴方は……。では、そろそろ行きましょうか。次のステージへ。
『…………』
引き続き、投稿ペースは遅めです。
気長に御待ち頂けると幸いです。




