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ギルド登録って戦闘イベントに遭遇しやすいよね

「学校行きましょう」

「嫌だ。」

俺はグラシス家の豪華な朝食をいただいていた。

さすがに金持ちなだけあって、料理もすごくおいしいな。

グラシス家の朝食に満足しつつ、食後の紅茶を飲んでいた時に冒頭に戻るわけだ。

せめて、貴族のお嬢様なら寝ぐせぐらいは直してこいよ。

「なんでですか?私はシオンさんと学校に行きたいんです」

アイリスは俺の言葉に不満があるようだ。

「俺は学校に行きたくない。だからお前と学校に行くことはない」

俺は紅茶を飲む。ここは紅茶もうまいのか、どんな入れ方をしているんだろうな。

俺は後で、グラシス家の専属料理人に話を聞く事を予定に入れるかを考えると、

「無理だぞ。お前が学校に行くのは既に決定事項だ」

メイド服を着たノエルが、洗濯物を両手で持ちながら部屋を通りがかった。

「ルドラ様が決めたことだからな。嫌なら直接ルドラ様に言ってくれ」

ノエルはそのまま洗濯物を持って部屋から出て行った。

ノエルの告げた内容にアイリスは喜びを見せた。

対照的に俺は肩を落とす。

ルドラさんの決めた事なら、逆らう事も出来ない。

あの人を怒らすと怖いからな。拒否したらどうなるものか。

俺は昨日の事を思い出して、身震いした。

「ハァ、メンドクセェ。まあ、いいやギルド行こっと」

深いため息を一つ残し、その場に立ちあがった。

昨日の事で、ギルドに行くようにおっさんに言われているんだよね。

面倒だけど、この世界での身分証明書にもらしいし、行かないといろいろ面倒なんだよね。

そして、未だに喜びを全身から表しているアイリスから逃げるように、足早に部屋を出ようと歩き出した。

「ギルドの場所は分かるんですか?」

アイリスの言葉に扉にかけた手が止まる。

「よろしければ私と行きませんか?」

そして、俺はアイリスに頭を下げるのだった。



「これってデートみたいですね」

俺とアイリスがギルドに行くべく歩いていると、唐突にアイリスがそんなことを言い出した。

俺は飲んでいた飲み物を吹いた。

「ゲホっ、き、急に何を言い出すんだよ」

おかげでお前に買ってもらった飲み物が無駄になったじゃないか。

「すみません、そんなつもりはなんて・・・」

アイリスも苦笑いを浮かべている。

「でも、私は父のせいであまり男性の方と仲良くは出来ませんでしたから」

まあ確かに、おっさんならやりかねんわな。

「だから好きな方と歩けるだけで私は幸せなんです」

アイリスはチートでなければ、聞き逃すような声量で呟いた。

「なんだって?よく聞こえなかったんだが」

俺は耳に手を当てる。もう一度言われても困るけどな。

「なんでもありません!それよりここがギルドですよ。」

アイリスは顔を赤く染めながら言った。

目の前には酒場があった。

酒場にまだ入ってないというのに酒の匂いが鼻についたからだ。

「ここが、ギルド水晶の盾です。この国でも最大規模のギルドなんですよ」

アイリスの言葉にを相槌を打ちつつ、俺は酒場の扉を開けた。

酒場に下品な笑い声をあげながら会話する酔っ払い達がいた。

「おい、なんでお前みたいなさえない奴がアイリス嬢と歩いてんだ?」

酔っ払いの一人が絡んできた。

「臭ぇんだんよ。離れろ、酔っ払い」

いっけね、つい本音が出ちまった。

俺の言葉を理解した酔っ払いが、もともと赤かった顔を真っ赤にした。

「テメェ、調子乗ってんじゃねーぞ。ああ?」

酔っ払いはそのまま殴り掛かってきた。

乾いた音と共に、止まる拳。

「うちのギルドで暴れてんじゃねぇよ。メンドクセェ。」

なぜなら、酔っ払いの後ろに立っていた男が拳をつかんだからだ。

「お久しぶりです。ギルドマスター」

アイリスの言う通りなら、この男はギルマスらしい。

「よぉ、久しぶりだな、アイリス。まあ、つもる話もあるし、上で話そうや」

アイリスは頷いて、ギルマスと共に階段を登って行った。

俺はギルマスの登場により、気まずくなった空気を無視して受付に話しかけた。

「ギルド登録したいんだが」

俺の言葉で受付は動き出した。

「あ、はい。えと、それではこの書類に記入をお願いします。」

受付はしどろもどろになりながらも、書類を机の上に出した。

書類には名前と年齢、属性と魔力を書く欄があった。

俺は適当に書類を書き、受付に渡す。

「あなたがシオンさんですね?ギルドマスターからこのカードを渡すように言われています」

そういって、今度は真っ黒のカードが机に置かれた。

「これに魔力を流すことで登録は完了です。」

言われたとおり、カードに魔力を流すと、カードに文字が浮かんだ。

「このオーバーランクってのはなんだ?」

カードに書かれた事項の中に気になった項目があったので聞いてみた。

「それはギルドでのランクを表しています。E、D、C、B、A、S、SS、SSS、オーバーランクという順番でランクは高くなります。」

いや、それだと俺がいきなり最高ランクはおかしいだろ。

俺がそのことを聞こうとしたとき、

バンっ! ギルドの扉が聞かれた。

「リョウ様、ここがギルドですよ。」

女の声が静まり返ったギルドに響く。



「あ、シオン!ここにいたんだね。」

そして俺を殺したアイツが現れた。

「説明ありがとうな」

俺は、ちゃんと受付に礼を言ってから歩きだした。

アイツは何を勘違いしたのかおれに向かって歩き出した。

「それにしてもどこn」

「邪魔」

俺はリョウの横を通ってギルドを出た。

「ハァ、アイツと同じ学校とか鬱だ。」

どうせアイツとは同じ学校の同じクラスになってしまうのだから。

昔から、どんなに努力をしてもリョウと同じクラスだったからだ。

そして俺はその場にため息を残して、グラシス家に帰った。


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