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89 買えないなら作れば良いのよ……誰が作るのさ

どうでも良い話ですが、サブタイトルは基本的に気分で付けます(だから統一性がないのですね)

その時々において「こーかなー?」と思って付けます(だから途中でずれるのですね)

ちなみに、今日のタイトルは戦国三大武将のホトトギスが基本モチーフで仏国某王妃の口調です(混ざってますね)


「さて、それでは本題に入りますか」

 すっと立ち上がった男装の麗人は、懐から出したのか眼鏡をかけていた。

「本題……ですか?」

 表情にはどことなく苦々しいものを感じさせるだけあって、ムナは内心で「裏切り者」とでも言いたいのではないかと言う気がしないでもない。

 何しろ、この工房を紹介して案内してつれてきたのはカーラだ。そして内情を知っているだろうと考えてみるとカーラは技術者が成人していない為に工房が工房として機能していない事も重々承知しているのだろう。

 だとすれば、カーラは何の目的でここまでつれてきたのか。

「ええ、営利的な契約を結びたいと思っています」

「他所の職人を取り入れるつもりは毛頭ありません」

「……話を端的に耳にしただけで判断を下すのは、いかがなものかと思いますよ?」

 他の人にも言われた事があるのか、それとも工房ごと買い取りたいと言った者でもあったのか……ブーリン家あたりなら金で物を言わせて買おうとした可能性は捨てきれないけれど。

「こちらからの『依頼』であると考えていただければ十分です、現行の職人都市法に抵触する事なく我々にもそちらにも双方に利益を上げる事が今回の目的です」

 先ほどまで、優雅にティーカップを傾けていた男装の麗人はそこにいない。

 恐らく、普段はパンツルックに身を包んでいる為にわかりにくいとは思うのだがドレス姿になったとしても非常に麗しい姿になるだろう。単にデザイン的に少女趣味や派手な色合いや安っぽいデザインが似合わないと言う制限がある程度で。

「はてさて……どうなのですかね?」

 でも、今のカーラ・リヒテンシュタインの瞳は。表情は、商人そのものだ。

 話に聞く残り二人の令嬢達と言うのがカーラの上に立っているように見えると言うのは、恐らく彼女達は本気で商売人をしているカーラの姿を見たことがないのか、それとも見る気がないからなのだろう。

「ムナ殿は判っておられない……それとも、これまでの人材の悪さによってご存じないと言う事かも知れませんが、私は商人です。

 商人の最大の目的は、利益を上げる事です。でも、それは私共の商会だけが上げる利益であってはならないと私は常々思っています。何故なら、商売とは相手があって初めて成り立つものだからです」

 弱者から絞り上げ、商品に対して不当な価値をつける様なものを商人と名乗るほどおこがましい商売をしてきたつもりはありません。

 そんなカーラは、恐らく商売の汚さや難しさ、苦しさや辛さをよく知っている者の目をしている。けれど、それを乗り越えてきたからこそ持ちえる強さの光を宿した瞳だ。

 そう言う意味からすれば、リッツ商会は大規模な金額を動かす事はないと言っても良いが。その代わりに良心的な商売を行うと言う意味では他の商店や商人よりも評判が良いと言う。

「ムナ殿もご存知の様に、当リッツ紹介はギルド商店ではありません。それ故に、ギルド直売の店舗には届かずとも精一杯の事をさせていただいているつもりです。

 こう言う言い方は好きではありませんが、マイナ様にもその当たりの手腕を買っていただいているのではないかと自負しております」

 マイナの名を出すと、流石に表情筋が緩むようだ。

 ムナは何かの葛藤をしていた様にも見えるが、少し考え込んでから口にした。

「お話を伺いましょう」

 流石に、少々どころではなく渋々ながらなのはご愛嬌と言うべきだろうか?

「現行の職人都市法の確認をさせていただきますが……技術士を含めた術士資格の取得に制限がない、と言うのは変わりませんか?」

「ええ、ございません。ただし、成人をしていない者が資格を取得しても術「師」資格を受ける事は出来ず、同時に成人しない限りは店を所持しても営業許可は出す事が出来ない。また、術を行わない程度であれば就業の自由はあれど職業として、報酬ありきの業務を禁ずる。資格保持者の指示の下で行われる修行に従事する事は可能だが、あくまでも利権が絡む営業と言う意味での許可は発行されない」

「ただし、同じ術士でも合成魔石の絡む宝石士は除く……」

「はい、そうです」

 宝石士とは、合成魔石を扱う事が出来る者の事を指す。

 合成魔石を作製するには二つの資格が必要で、一つは物理的に物体を形成する宝石士。もう一つが、出来上がった合成魔石の力を整えてやる調整者だ。宝石士は割りとちょっとしたコツさえ掴めれば、比較的に取れ無い事はないと言われている……無論、レベルの差はあるが。

 しかし、調整者は違う。

 残念ながら、どれだけ修行を重ねたとしても自然が何十年何百年とかけて作り上げた天然物に比べれば人の手で作り上げた魔石は天才と呼ばれる調整者であっても未熟である事を思い知らされる事となる。

 一生に一度でも満足出来る合成魔石を作る、それが調整者の悲願であるとも言われている。

 ちなみに、宝石士が成人前でも作る事が許されているのには理由が幾つかあって。

「調整者のいない宝石士が一人で何をしたところで、売り物にもなりませんしね……」

 と言うのが最大の理由だが、ブーリン家の買い取った工房にあった飾り物鎧に埋め込まれていた合成魔石などが良い例だ。使用する為に魔力を流し込んだ途端に全魔力を吸い取られて干からびるか、魔力を上手く転換出来ずに最悪の場合は暴発する事だってあるから、実質的に飾り物程度にしか使い道はない……飾り物とするにはなかなかに素敵なディスプレイとして存在するだけならば販売しなければ良い。

 ただ、あのブーリン家所有の工房については……少しどころではない問題点が幾つもあるので気にした方が良いのだろうと言う話もある。

「あの二人は、宝石士や調整者としての技能は?」

「そうですね……あると言うか、ないと言うか……」

 おや、とカーラが眉根を動かして反応する。

 悩む時は色々な意味でとことん悩むが、決断する時は一瞬なのがカーラのスタイルだ。それで失敗する事も決して少なくはないが、時にその決断が後々に効果をあらわす事もないわけではないのがカーラの怖い所だと言われている。

 カーラの場合、ムナの人となりは多少は知っているつもりだ。無論、知らない事も多いだろう。

 過保護とまで言いたくなる技術者二人への関心は逃げたくなるほど強いし、あの二人には到底出来ないだろう手腕も時に必要であるからこそ悪辣な事もある。それそのものは、別に否定はしない。

 ただ、溺愛と言っても過言ではない評価に対しては別で、大抵の技術は天下一品だと太鼓判を押すのがムナと言う人物だ。普段ならば、そうだ。

 とても、今みたいに出来るのか出来ないのかと問われて悩む様な可愛い性格はしていない筈である。

 商人とは、完璧な笑顔が必須条件なのだから。

「残念ながら、これは仕方がないのですよ……私は技術者ではありません。幾つかの技術を持っていると言うだけの、単なる町の住人です。冒険者でもなければ技術者でもない。ギルドに名を載せてはいますが、それだってこの職人都市ではあまり意味がありません」

 正確には、この職人都市のギルドは職人に特化されて優遇されているギルドが多いと言うだけであって。その程度の情報関係ならば町内会や町の噂レベルに等しい。他のギルドだとて普通のレベルでは稼動出来ると言うだけであって、ムナの様に名前だけ登録をしていると言う人物は珍しいと言うほどのものでもない。

 そういう意味からすれば、この職人都市ではギルドの二つ名と言うのも他の都市に比べればそこまで恭しくありがたく思うほどのものではないと言っても過言ではない。

「ですから、確かに全ての技術を受け継いでいるとは思いますが……正直、仕事として請け負った姿を見た事がないので作品を作り上げる技術はともかくとして、宝石士や。ましてや調整者としてのレベルがどれほどのものかと言うものを存じ上げません」

 出来たら、内緒にしてくださいね。

 そんな風に言ったムナの顔は、どうやら嘘をついてると言うわけではないらしい。

 特別な道具が必要とまでは言わないが、技術を仕込まれただけで実戦経験が可能な限り少ない。または無いと言うのであれば、形するまではともかく、その先について自信がないと言うのも頷けないわけではない。

「自主練習とかで作ったりはしないんですか? あの二人」

 アインスの言葉に、カーラは見咎めるような真似はしなかった。

 この状態になるまで、アインスとカーラは打ち合わせなどは一切している様には見えなかったから完全な横入りの筈だが、カーラは「なるほど」と呟いてから口を開かない。

 アインスはどうやら、無言の重圧に負けたのだろう。

「業務や営業と言う意味でなければ、逆に作れると言うものではないのですか?」

「それは……確かにそうですが、そうなると自分自身で使う為と言う制限がつきます。

 残念ながら、マイナは特にこれと言って使える武器があるわけではなく。ユウナに関してはハンマー等の打撃系武器になるので技術が必要かと問われると、そこまでではないと言う前提が着くのですよ」

 マイナはともかく、ハンマー等の打撃系武器に付与される魔石は基本的にほとんどない。

 何故なら、打撃系武器は他の武器に比べて異常なほどに丈夫だったり当たった事で威力が上がるのは基本的決定事項だからだ。幾つも作る必要はない。

「一つ、疑問があるんだけど……」

 更に秋水が口を開いたが、雑談を交えた話はムナの緊張感を和らげたのか嫌な顔などをされなくて良かったと秋水が内心思っていたりする。

「はい、なんでしょう?」

「素人意見で申し訳ないんですが、そもそも魔石を武器や防具につける事でどんな利点があるんですか?」

 秋水が見たのは、魔石と言われても全て同じにしか見えない石の群れだ。

 正直な話、どの石がどんな効力を持っているかと聞かれたら全く判らないだろう。

「基本的な事ですが、魔石と言うのは魔力が込められた石ではなく『外部から与えられた魔力に対して一定の効果を示す』ものです」

「……はあ」

 気の無い返事にも、特にこれと言った反応を示さないのはわざとなのか思う所があるのか。

 残念ながら、アインスにも秋水にも判らなかった。

 それでも、人の疑問に笑わずに答えてくれるムナは悪い人物ではないと判断出来る。

「道具に魔石を仕込んでおく。大抵、一度込められた魔力は一度解放すれば空っぽになります。天然ものでしたら放っておいても発動できるほどの魔力を溜め込むことも出来るかも知れませんが、人工的に作られた合成魔石にはそもそも、そんな機能はありません。ですので、人が魔石に魔力を込めるのです」

 つまり、一時的な乾電池の役割を果たすのだろうと秋水は勝手に思った。

 魔力には、強さや質の違いはあっても魔石を通すことで一定の効力を示すように書き換えられると言う見方も出来る。だからこそ、調整士が調整を行わない魔石は簡単に暴走をする。

「と言う事は……あれ? それだと、必要なのは武器の形を作る事が出来る技術者だけって事?」

「え……と、しゅーす……あ、本当だ?」

 成人をしていない技術者二人は、武器そのものを作る事が出来ない。

 けれど、武器そのものではなく付与する合成魔石を作る事は出来る。

 話を整理すれば、こんな簡単な事なのだと目から鱗が落ちそうになる。

「当リッツ紹介は提案します、工房と道具をお借りして武器を彼らが形成します。

 そして、メイジャ工房の技術者に合成魔石の依頼をお願いしたい」


「「「……え?」」」

 三人分の声が、重なった。


カーラの外見的描写は基本ありません。と言うより、ドーン(外見)とレンの色の表現はありますが、基本的には概ねの描写は皆無です。

カーラも「パンツルックの男装の麗人」くらいで色の描写すらありません。秋水は「和服テイスト好き」くらいです。ふ、不便ですかね?不親切ですかね?

これは意地悪ではなくて、3割は「皆さんの中でそれぞれに思う印象が彼らです」と言うのと。残りの7割は……僕の中で書き連ねってくれる奴(もしくは本能)が不要であるとばかりに考えてくれないのです……ちなみに、僕は読んでるときに特にこれって形は出てこないですねえ……や、やっぱり不親切?


と言うわけで、次回予告。

「カーラの眼鏡は魔法がかかってますが金持ちだから色々便利です、でも魂が聖性されたからと言って良い事があるかと言ったらあるけどないです、と言うか人生って厳しいらしいよ!」

て話なんですか?

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