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19 好みと趣味と悪い事

※ 今の所、今回が最大のBL批判状態です。一応言って置きますが、こちらに被害が及ばずこそこそと活動範囲を拡大しないようにしている方についてまで批判する気は毛頭ございません。ついでに言えば、今回の内容については「お月様に行きやがれ」と言われるんじゃないかとのみの肝っ玉がどきどきです。

 (確か)次回からは通常運行で、そのうちにバトルモードに入るかも知れません。て言うか、なんで確定じゃないんだよ。

 教室中が沈黙に覆われていた。

 言い出したマリアですら予測していたのか、続きを口にしようとしない。

 レンは相変わらずドーンから視線をそらさないが、無意識にうずうずしている様に見える所からこの場から立ち去りたいと思っているのか、それとも別の理由からか……?

 そのドーンと言えば、やはり微動だにせず通常運行だ。

「で」

 超冷静かつ変わらぬトーンで続きを促すあたりは勇者か愚者か、と言う雰囲気すらある。

 出来れば周囲的には前者である事を願いたいが、世の中は上手くできているから恐らく後者なんだろうなあ……などと、何人が想像や夢想と言う名の現実逃避をしたのかは統計を取らなければ判らない話だ。

「少しは慌てるかと思ったけど……流石にやるわね、でも次回は負けないわよ!」


 びしっ!


 何時から勝負事になったのか、いきなり立ち上がったマリアはドーンへ指を向ける。

 一体何の影響を受けているのかは判らないが、元から姉御と慕われるような人物が毅然とした態度をすると妙に嵌るのだから不思議なものだ。

「リアクションが薄いのも相変わらずね……でも、いいわ。いつかド派手なリアクションをドーンからもいでみせるんだから!」


 もぐって何!?


 誰かが思っただろうが、誰も口にしなかった。

 もし、冷静な判断を下せる人が客観的な立場からこの状況を観察したら「何、この混沌?」とでも呟いたかもしれない。

「まあいいけど」


 いいんかい!


 あっさりと椅子に座ったマリアは、先程と変わらずに居る。

 まるで、その様子は豪奢に飾り立てられた女王の椅子の様に座るわけだが……実際にはシンプルな教室の椅子に過ぎない。

「繰り返すけど……北邦の英才教育って結構えげつなくてね。

 まあ流石に弟は剥いてはいないと思うけど……って、この話題でもピクリとも動かないなんて……もしかして、意味判ってない?」

「知ってる」

「ドーン、言わなくていいから。

 君もだよ、マリア。ドーンに何を期待してるんだい」

「あらあら……困っちゃうわ、あたしどっちに驚けばいいのかしら?

 ドーンってば意外と物知りよね、まさかそこまで動揺されないとは思わなかったわ……もしかしてレン・ブランドン君が仕込んでるとかあ?」

「ふふ……それは秘密だよ、僕とドーンだけのね!」


 なんだろう、人の頭の上で何やってるんだこいつら。

 と言うより、邪魔くさいんですけど。


 普通なら、鬱陶しい粘着力で人の頭の上に腕を組みながら乗せた上に頭を乗せてるレンも。

 人を動揺させて常とは違うリアクションを引き出そうと躍起になっているマリアのどちらも邪魔くさいし鬱陶しいしうざい事だろう。

 もっとも、そう思っているか否かは傍目から見ても判らないけれど。

「ざあんねん……ま、あたしには関係ないからいいいんだけど」


 だったら余計な波風立ててんじゃねえよ。


 何人かがそう思ったとしても、恐らくは同情こそしても批判はしないだろう。

 何しろ、マリアの言動のおかげで先程から室内の空気がなにやら体に悪そうだし温度まで下がっている様な錯覚に襲われている。精霊と通じる者の何人かは通常の人達よりも顔色が酷くなっているのがまた、何か突っ込みたい衝動に駆られるのだが身動きすら取れない。

 そう、この状況にかち合ってしまったクラスメイト達は基本逃げられない。

 状況を読んでいたクラスメイトの数人は逃げ切れたかもしれないが、だからと言って油断は出来ない。

 何故なら、決して恐らく教室の中で起きている事を口になど出来ないのだから。しても信用する者が誰もいないと言う点で敗北決定と言う所だが。

「でね、こっちとしてもツッコミなんか入れたくないのよね。

 何が悲しくて父親が恋愛に性別を超えろなんて教えてる国の教育を受けてる何歳も年下の弟相手に悩み相談なんか乗ってやらなきゃならないわけ? そんな善人に見えますかっての」

「見える」

「あら、そう? ありがとう、なんかドーンにいわれると信憑性があるわね」

 珍しく素早い反応をしたドーンに対して、マリアもまた珍しく素直な反応を示す。

 表情乏しく口数が少なく、雰囲気だけで倦厭されがちのドーンが相手を肯定する事は珍しい……それ以前の問題として、相手を否定とか肯定する様な会話に持ち込めた勇者が今まで存在しないと言う前提があったりするからだが。

「あたしだってね、そう言うのは見聞きしたことあるし? 見た目が美しかったらそういう世界も肯定するのは悪い事じゃないとは思うのよね。好みだって人それぞれだし? 直に関係なきゃいいわよ。

 でもねえ……環境が変わって価値観が変わったとか言っても、あの子が理解出来るかどうかなんて判らないじゃない?」


 事の起こりは、マリアの弟が学園都市に入学して幾らかたった頃。

 当然、弟はこれまで培った北邦領の文化を骨の髄まで染み付けられていた事と。彼の環境が跡取り息子というわけでもなく無邪気で居る事を容認された事。また、本人も弟わんこ系とでも言うのか人懐っこい性格だった事からも判るようにそれなりにクラスに溶け込めるようになってからは人気が高かった。

 そんなある日、彼は偶然にも見てしまったのだ。

 空き教室で口付けを交わしている、影を。

 実際には単なる光の錯覚で近距離で話している姿が口付けを交わしている様に見えただけだったのだが。

 弟と一緒に居たクラスメイトが、言ったのだ。

「気持ち悪い、男同士でキスしてる」

 ちなみに、それも実際には男同士ではなくて女の子同士。学校の制服姿では無かったからこそ起きた誤解に過ぎないのだが弟の心臓をダイナミックにえぐるには十分な誤解的事実だった。

 流石に「気持ち悪い」とか言っていた人に聞くのは憚られたので、まずは身近な周囲の者に聞いてみたら「そんな事はない」と言われた。それは当然だろう、相手は祖国と深いつながりのある人達でそう言う文化に触れてきたのだから間違っても否定はするまい……仮に、弟より長く外に出ていた為に世間一般では概ねそう思われている事を知っていたとしても、別に幼い少年が自国の文化を今すぐ否定される必要も無いと考えた結果だった。

 そこで終わっていたら話は終わったのだろうが、弟はつい思ってしまったのだ。

 もし、自分の知らない何の関係も無い人に聞いた場合はどうなるのだろうかと。

 白羽に当たったのは、誤解をされた当の女の子二人だった。誤解をされた当初から笑い飛ばしていた気安さと、弟の正体を知らない事と、場合によっては一生会う事もないかも知れないと言う所からそう思ったに過ぎない。

 確かに、誤解されていた二人は誤解されていた事については気にしなかった。

 弟は「そう言えばどこかにはこんな風習があるんだって」と言う話の延長線上として自国の文化……例えば力と権力のある男が女を何人も娶る後宮を作ったり、その後宮には男も入っていたりして男女入り乱れて王や権力者の寵を競っていると言う話を。

 自分自身の境遇を「聴いた話」と摩り替えて、そこの王子は何番目か判らない息子の一人で妾の一人……後宮での部屋や権力はない、ある意味での娼婦に生ませた子だが生まれた子供は城に召抱えられる。後宮に上がった人達は寵を競う為に一触即発な事も多かったが、子供達には優しかった事。男には男の、女には女にしか判らない知識や常識を持っている事。王によっては女より男の方が良いと言い切る者が居る事などを話した。

 すると、自分が男性同性愛者の恋人同士に間違われても笑い飛ばしていた片方が顔をゆがませた。

「個人の文化や風習にけちをつけるつもりはないけど」

 そう前置きをした上で、彼女達は言った。

「家族や親戚が同性愛者だったら気持ち悪い」

「友達になれるか判らない。きっと無理」

「て言うか、なんか馬鹿にされてる気がする」

「子供がいなかったら女じゃなくてもいいって事だよね」

 弟は、それを聞いて大変驚いたらしい。

 世間の同性愛者に対する見方が厳しかったからではなく、逆に「きっとよく思われてないんだろうな」と予測していた自分自身を発見したことに大変驚いていたからだ。

 恐らく、彼女達は頑張ってオブラートに包み直接的な言葉を使わなかったのだろう。

 彼女達は演劇を趣味としているから、沢山本を読んでいるのだろう。

「男に男を取られたら引く」

 と言うのが本音だったらしい。


ーーーーーーーーーー


 なんてシュールでヘヴィ!


 クラスの半分以上が「勘弁してくれ」と言う顔をしていたが、そんな事を知ってか知らずかマリアは言葉を続ける。

「個人的にはあんな父親から生まれて兄弟どころか父親の愛人なんて性別も年齢も超越している所があるからいたたまれなさが半端ないわよ、なんだってそんな目に合わされるのか! って天を仰ぐわ」

 仰々しいポーズを取るマリアを横目に、明らかに北邦領出身を思われるクラスメイト達は「だったら今あなたがしてることは何ですか!」と言いたい衝動に駆られて微動だに出来ないと言うジレンマにあっていた。

 もしかしたら、これがマリアなりの八つ当たりかも知れないと言う事実もあるが。

「困っちゃうのがこっからでね……男が男を愛するのがおかしいかって言われたら『孕ませるしか能がないくせに孕む事も出来ない相手と付き合う程度のろくでなしが偉そうな』って言ってやりたいところではあるんだけど……」

 一部の生徒はほっとした。

 いかに半分だけとは言っても、まだ年端も行かない子供を相手に事実とは言え恐ろしい現実を直撃させるものではない。いかにマリアとは言ってもそこまで鬼には……。

「思わず『そう言う台詞は見知らぬ男に弄ばれて複数から薬漬けにされながら強姦されて裸にされたまま下町に放り出されて、一晩明かして生きてたけど孕まされて出産した挙句一人で子供を成人させて寿命で死んでからもう一度言いなさい』って言っちゃったのよねえ……」


 鬼だ! 鬼がいる!


 まさに、クラスの心は一つになった。

「で」

 残念ながら……若干、そうではない者も存在した様だが。

 今度は、やはり変わらぬリアクションのドーンににやりと笑顔を向けるマリアの姿があった……なぜなのか、その方が鬼より恐ろしい形相に見えるのは気のせいであると思いたい。

「流石に『薬』とか言わないで済んでほっとしたわ。幾らなんでも子供が意味を理解したら怖いもの」

「そうだな」

 別の意味でクラスメイト達は混沌の中心三人から距離を取り始め……それでも、一定以上の距離を取る事も出来ないと言う現実に絶望した。


 じゃあ、男同士がうんたらとか、第三者の目の前で言うには不適切な台詞をはきまくるのは問題ないと言う事なんですかねえ……?


 程度の事を連想したのは、まだ強者と言えただろう。

 何しろ、大多数の一部を除いたクラスメイト達は撃沈していた。撃沈寸前と言う輩も少なくはなく……ダメージが巨大なのは男子生徒の方がより多かった。

 一部の生き生きとした目をして顔を紅潮させて笑みを浮かべて興奮状態なのは全員女子生徒だったりするのだが……恐らく原因不明で治療不可能な新種の病気に違いない。と、思いたい。

「北では薬を使うのも割と普通だって話よ、しかも子供の頃から常用させているからきちんと使えば耐性が着くって話だったわ……でも他の地域の人に使ったら耐性がないから一気にぶっ飛んじゃうかも知れない。それならまだいいけど、場合によっては……おまけがあってね」


 まだ続くんですか、その話……。


 大多数のクラスメイト達は、まさに昇天寸前だ。

 けれど、やはり一部の女子生徒達はこれ以上の興奮が待ち受けていると思っているのか今にも血管が切れそうに見えて逆に不安になる。


マリア<姉御>ビルカ嬢のキャラがぶれてるような気がする方は普通です。

これが通常運行だと思った方は拍手します。

ところで、拍手の設置って本分にコード打ち込めば出来るんですかね?

普通のHTMLと普通のテキスト入力以外やったことないので設置の仕方が判らなくて戸惑っています……そう、98→7にいきなり飛んだかの様な戸惑い加減(判る人はきっと納得してくれる、筈)


2012/07/08 マリアのセリフを一部改正。あと、拍手の設置は昨日のうちに出来ました。無駄に頑張ったので拍手~~~(ぱちぱちぱち)

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