20 薬とギルドと魔法の関係
※ 前回までBでLな方々を批判する文章が続いていましたが、今回からは通常運行で参ります。お読みになられた方々には不快であるとか諸々あったかも知れませんが……まあ、自己責任という事で(悪びれてねえ!)
新キャラ投入、と見せかけた実は出たことがある人物です。
今回、何故かいきなり名前がつきました。
えええええええぇっ!? と、書いている本人が一番驚きました。
キャラが勝手に動くとか、キャラが立つとか言うのはこういう事……はい、身に覚えが毎度ございます。わざとじゃないんですが。
「たぶん、本来はそう言う関係もあったんじゃないかと思うのよね」
「……なるほど」
え、ナニソレ?
そう思ったのは、どうやら当事者二人のマリアとドーン以外の全員だった様で。
「どう言う事?」
今、全ての代表者レン・ブランドンは華々しく勇者デビューを飾った。
「やあねえ、察しの悪い男ってモテナイわよ?」
「あいにくと間に合ってますので」
「まあ、嫌味なことをさらりとぬかす時点で減点ね!」
「アインス・ツヴァイン」
「え……俺?」
混沌の中心のうち、二人が掛け合い漫才よろしく笑顔で棘のある会話をしている最中。
ドーンが一人の男子生徒の名を呼ぶ。
と同時に、ドーンの頭の上にあったレン・ブランドンの腕がドーンの首に回り「ちょっとドーン!」とか言っていたりする……「ちょ、それ首絞まってないの!」とマリアが口にすれば若干くたっとなったドーンを相手に慌ててレンが「うわぁ、ドーン!」とか叫びだしている。
何たるカオス!
自然、呼び出されたアインス・ツヴァインに同情と叱咤激励と「とっとと行け」と言う命令的視線がほぼ全員から向けられて、正直な所、当のアインス・ツヴァインは泣きそうな気持ちになった。
ある意味「なんでこんな事に……」と言う所である。
「ギルド」
騒ぎ出した混沌の二人を掻い潜り、一言だけ告げられた言葉にアインスは流石にぴんと来た。
「了解!」
突然、脱兎のごとく走り出したアインスが何をどう感じ取ったのかは判らないが。
とにもかくにも、突然の結界的安全は破られた。
今の今まで誰一人として逃げ出す事も出来なかった混沌空間から一人の勇気ある若者が脱出を計り……そして疑問だけが残った。
「ああ、ドーン! しっかりしておくれ……というわけで、僕達も席を外すから後を頼んでいいかな」
疑問系ですらないレンは、しっかりとくたっとした毛布の塊……となったドーンを抱えている。
「仕方ないわね……貸し一つって所かしら?」
「嫌だな、何か借りた覚えはないんだけど?」
ある意味で似た者同士な二人ではあったが……誰かが突っ込みを入れることは無かった。
一人の男子生徒と、レンとドーンが立ち去ってしまい遊戯が終わってしまうとマリアに残されるのは空しさだ……別に何か勝負しているわけでも勝ち負けでもないのだが。
そんなマリアに、珍しく影がかかる。
「あの……マリアさん、さっきの話なんだけど……」
「詳しく聞かせて欲しいの!」
性格とかがタイプが合うわけでもない数人の女子生徒が、マリアを取り囲む。
彼女達の表情は一貫して、瞳が潤んでおり頬が紅潮して何かを明らかに期待してる眼差しだ。
この後「クラスの姉御」であるマリア・ビルカは少しだけ後悔する事になる。珍しく。
「せっかくの自習だったのに……」
そう、実は教師の都合で自習だったこのクラスの時間の半分をマリアは説明に追われたのだ。
策謀、陰謀、悪巧み……人を陥れる事は大好きで大得意ではあるが、流石にこんな事に時間を使うのは慣れていないのか非常に疲労を感じたと後に語っている。
いわゆる「男性同士の性行動」についてなど。
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文字通り「ばびゅん」と言う音を響かせながら、良い子は真似をしてはいけない筆頭に上げられる「廊下を走るな」と言う言葉をまるっきり無視して走る姿はドップラー効果でも起きているかの様だ。
残念ながら、授業中の現在ではほとんど校内にも街中にも人の数は居ない。
基本、この都市は「学園」なのだから昼間はほとんどの対象者である「学生」が勤勉にいそしまなくてはならないと言う不文律があるからだ。中には夜にならなければ難しい学習項目もあるので昼間に人手が全く無いとは言わない。
場合によっては、取得している学科関係で昼間の最中に町を歩かなければならないと言う課題とて無いわけではない。
例えば、建築や美術系の授業ならいかがだろう? 机上の理論は確かに必要だが、現物を見たり触れたり時間差による視覚の変化等に鋭敏に感じ取る感覚は何だかんだで必要な事だ。
ちなみに、そういう場合にもギルドは関わっている。何しろ、将来の自分達の後を継ぐかどうかも判らないし顧客になるかも判らないのだから先行投資とものだ。
「言っておきますが……扉を破壊した時点で厳重注意は飛び越えますからね」
ひくひくと頬のあたりの筋肉が動物的反応を示すのを、ラーカイルは感じていた。
恐らく、それは間違いではないだろう。
「すまない」
「……御労しい、ドーン様。
まさか、こんな巨大な猫かぶりのていの良い玩具としてコンパクトに持ち運ばれるような存在にまで貶められているとは……ご実家のご両親さまに何とお詫び申し上げれば良いのか……私が着いていながら……!」
超茶番劇を繰り広げるのは、なかなかに現状へ呆れ果てているラーカイルだけであり、あくまでもドーンは真面目な顔をしている。ついでに、そんな事を言われてレンも黙っているわけではない。
「お前、どんどん性格が悪くなってないか……ああ、標準仕様か」
「とんでもありません、私などせいぜいが世界標準ですとも!」
出来れば「とんでもないのはお前の頭だ」とか言い返してやりたいのはともかく、レンがこのラーカイルの城である医療棟の部屋に来たのは理由がある。
「調整……ですか?」
「ああ、流石に予備だとこれまでほど上手くいかないみたいなんだ」
ドーン。
ギルド名を『夜明のクリムゾン』
深紅とは真紅、夜明の紅は生死のどちらの意味でもあり、終焉と始まりの象徴とも言われている。
全ての始まりと終わりの色を冠するのは、白と黒。紅はまさに次代の色でもある。
「まさか……幾ら予備とは言っても早々に綻ぶ様なつくりはしていない筈ですが」
ギルドランクとしては一般的レベル以上であり、ギルド長に継ぐ地位を確立している。
実力と地位が平行しないのがギルドの面白いところではあるが、対個人戦と言う意味合いではドーンは最強に相応しいレベルを持っている。常に冷静であり沈着、あらゆる問題に対して口数は少なく見た目は妖しいが真摯な態度と的確な指示をする事から時期教育者としての注目も浴びているのだ。
……生徒からの反発はすさまじいだろうが。
「もしくは……ドーンの魅力が溢れ出している?」
「予測でものをいうにしても現実味のない……まあいいでしょう、ですが現在は予備がありません。かと言って、今はドーン様を郷里に戻す事も。ましてや学園都市から出す事すら難しい、かと言って隠しきれるものでもありません」
そんな超実力者であるドーンだが、これまでの言動から一部の者にしか功績は認められていない。
即ち、共に仕事をした者と指示の恩恵に預かった者、または計る必要を最初から持たなかった者だ。
「判ってる」
「本当に判っているのですか?」
ラーカイルみたいに、ギルドに入る前のドーンに助けられると言うのも珍しい類ではあるが……そしてギルド名の『聖なる魔剣』という恥ずかしい二つ名の原因となったのもドーンだ。
「よりによってこんな時に……」
「ナニソレ?」
常に何かが起きているかと言われるとそうでもないが、ある程度はドーンの周りで問題は起きている。
ドーンが何かしたというわけではなく、大概の元凶はレンだったりすると巻き込まれている事の方が格段に多いし、何よりドーンに常時展開されている魔法のせいで意識は好奇心程度のレベルは封印されている状態だ。
「薬」
今回、ドーンはある意味で巻き込まれたが。かと言って周囲が何かをしたと言うわけでもない。
「……レン・ブランドン様?」
「出回ってるって? 最近?」
単に「話を聞いた」だけだ。
しかも、噂にもなっていない様な「クラスメイトの弟の家庭環境について」と言う。
「それとも、以前から?」
少々どころではなく語弊があるが……何しろ国家レベルだ。
一つ一つの国家はさほど大きくはないとは言っても、それが全体で合わさってしまえば「北邦領」と言う巨大な化け物となってしまう。
「あのですね……」
南方は元々、一癖も二癖もある流れ者が中心となり元来その地域に人たちが集まって出来たので決定権を持つ者は数の暴力的民主的な部分がある。
「僕はこう見えても医療従事者ですよ、なのに薬の話ですか?」
ドーンとレンの出身である東宝は北邦と南方の中間くらいの規模の人たちが集まり中心的な人々を選択して収める議会制。ある程度の民主主義はあるが決定権を持つ者もある。
「言葉は選ばなくてもいい、『学生の間で広がる程度の噂』にまでなっているのは問題じゃないのか?」
西法は完全王族主義ではあるが、北邦と南方の文化が少しずつ入っている所が判る。ちなみに一人の王が全ての決定権を持っているので王になりたい者となりたくないものは綺麗に二分されると言う……残念ながら、大抵はなりたくない者にこそ資質が芽生えるらしいが。
「ちょ……まさか! 聞いてませんよ、そんな話!」
他にも大小様々な地域や名乗りを上げている人々は居るが、どこの地息に所属するかは個々に委ねられている。とは言っても、おおむねが近くの領域の所属になるのが普通だ。だから、兼任する地域もある。
「それはそうだろう、僕達も今さっき知ったばかりだ」
「……まさか、本当なんですか? ドーン様」
「お前、僕の言葉は信用に足りないと言うのか?」
「当たり前です。
して、ドーン様……それはどこのレベルまでの話なんですか?」
ラーカイル医師は、よくは判っていないがある意味では「全領」の出身と言える。
色々と事情はあるが、必要だったからに過ぎない。
「……ドーン様?」
よく見ると、あいも変わらずダッシュで持ち運びされたせいかドーンは息絶える寸前だ……。
「ドーン様、少し休まれますか?」
わずかに首を横に振ると、どうやら上下運動のせいで酔ったらしい。
ここのところの活動的な行動の為に少々弱っているのだろう……通常の冒険時であるならともかく、こういう時は斜めに予測不能が襲ってくるので危険だ。冒険者としての依頼を受けている時とは心構えが違うと言う事なのか、そう言えば通常のドーンの行動はお世辞にも活動的とは言えない。
「無理をなさる事は……」
それでも、僅かに首を横に振る。
「まったく、どうして貴方と言う人はこう……」
心の底から頭を抱えたくなった理性ある大人、ラーカイルはたまに理性を豪腕投球で投げ捨てたくなる時がある。
「まさに、今その心境ですよ……」
「え、何か言った?」
「……いえ、気になさらないで下さい」
良い大人の条件は、包容力がある事で。
良い男の条件は、スルースキルが高い事だと思い知る。
「ですが……先程の件についてはどう言う事なのか、説明いただけますか?」
しかし、いかに良い男とは言ってもスルーしてよい事と悪い事がある。
つい今しがたレンが口にした「薬」と言う台詞は色々な意味でスルーするわけにはいかない、医師としても大人としても教師としても。
本来ならばドーンも僅かながら説明をする予定ではあったのだが……件の上下運動のせいで今は息も絶え絶え。
はっきり言って、今のドーンなら子供でも楽に息の根を止める事が出来るだろう……例えて言うなら、もうライフ0と言った所だろうか。
「僕は大した事を知っているわけではない……だが、ドーンが手駒を動かしたらしいって事は判る。
噂、もしくは限りなく真実に近い噂を聞いてドーンが手駒を動かしたと言う事は、もうギルドに情報が入ってると見て間違いないんじゃないか?」
レンはギルドに加入していない。
ドーンが嫌がったとか、レンが公爵家の者だからと言うのも理由の一つではあるが、何よりもレンの実兄が冒険者ギルドに加入しているからだ。
レンの実兄は冒険者ギルドに加入し、冒険者として生業を立派に立たせている。いかに公爵家、いかに実の弟とは言っても中途半端な心構えとなるだろうレンにはそもそも論としてギルドに入る資格がない。
何よりも、本人が入りたいと主張しなかったのが最大の理由だ。
と言うわけで、今回から上手く行っていれば「拍手」がついたはずです。画像添付とかボタン添付のやり方がよく判らなかったのでシンプルに文字おんりー。
ずいぶん昔に登録したまま放置していたので、色々替わりすぎてて困りました。ついでに言えば、昔は自動転送もあった気がするんですが……記憶違いですかね?




