クレバー戦
クレバーは奴隷市場に革命を起こした男だ。
ダザンと言う男が支配していた頃は奴隷市場は病気が蔓延する場所だったが
クレバーがダザンを殺害して奴隷市場を手にしてからは、病気の蔓延は無くなり、労働先でも奴隷の体調や労働内容を細かく管理されていると言う。
奴隷を労働者へと変革を行った者だ。
「奴隷になったほうが楽かも」
と、マナは呟いたが冗談には聞こえない。本心ではないかと思った。
「ガーランドさんの方は、教団の馬車を襲撃しているって聞くわ。
ゼネルさんと同じ長耳で綺麗な人だってみんな言ってるわ」
それは少し違う、綺麗な太った長耳。
マナは夕食の材料を買いに行くので広場までついていくことにした。
広場に入ると
「マナ!」
風呂屋の前にいる男が手を振っている。マナの兄だ。
ここで別れることになり、マナは兄のところに走って行った。
奴隷市場は賑わっていて、檻に入れられたり、鎖で繋がれたりしている。家事、護衛、計算、読み書き、馬術など、何ができるか書かれた紙が貼られていて参考になる。魔法って書いている人はいなかった。
「あれ・・」
ゼネルが奴隷市場の奥にいる太った女性を指差す。
市場を警備している男と揉めているようだ。
「ガーランドだ・・」
まだ、気がついていないようだったので、避けて奴隷市場の裏通りに入る。
昼なのに薄暗い道だ。しばらく進むと、男たちが数人近づいてきた。
「兄ちゃん、嬢ちゃん、こんな腐った所に遊びきちゃ危ないぜ!帰りな」
「ここら辺に、ワルが大勢いるって聞いたんだ」
「嬢ちゃん。ワルってのは俺たちのことだぜ、興味あるのか?」
「いや、人を探しているだけだ。雑魚には興味ないわ」
「なんだと!!」
男達が拳を構える。
ゼネルは少し屈むと、地面を蹴り一気に左端の男の鳩尾に左拳を入れる。
そのまま、右拳で真ん中の男を殴り倒し、右端の男の顔前で拳を止める。
ヒィぃぃ。右端の男は怯えて屈む。
「ごめんなさいね。もっと遊んで欲しい人」
「おどれ!何者?」
ナイフを持った男が通路を塞ぐ。
ナイフを突き刺しにかかった時には、腕からナイフが無くなって、男の首を掴んで壁に叩きつける。
悲鳴をあげる隙もなく、男は気絶した。
ゼネルは落ちたナイフを拾う。
手を叩く音がする。
「素晴らしいね君!」
通路の先には左腕にガンドレッドを装備したオルドを野生化したような男が立っている。
「武術の嗜みがあるみたいだな!躾ければ良い駒になろう」
「あら、ざんねんね、私は、予約品!」
ナイフを投げるゼネル。
「それに、貴方達こそ、いい値段で売れそうだ」
ゼネルは扇子を懐から出して飛びかかり、金属の当たる音が響いた。
男はガンドレッドで受け止め、そのままゼネルを跳ね飛ばす。
「威勢の良い娘だ」
「本気を出してもらえないってこと?」
不満顔を見せる。
「当たり前だ!お嬢ちゃんと戦うのは俺の主義じゃねえ」
やれやれと、ゼネルから目を離した一瞬の隙で、
ボスの首元を掴み投げ飛ばすが、男は体勢を整え、着地する。
「どうやら、どうしても戦いたいようだ。かなり実践なれしているな」
ガンドレッドから爪が突き出した。
「教王の回し者か?」
周囲は男の部下と思われる連中に囲まれていた。
通路に面する二階、三階から顔を出している人達もいる。
「教王なんて知らん」
ゼネルはボスの背後を取ろうと回り込む。
壁を蹴りボスに飛びかかる。
爪と扇子のはじける金属音が響き渡る。
ボスはゼネルの足を払うと、そのまま地面に叩きつけ、ゼネルの首を絞める。
「こんな小娘など」
「あいつを捕まえろ!」
手下達が一気に襲いかかってくる。
俺は、拳をかわして逆に男の腹に入れ、ナイフを弾き肘を相手の顔に当て、腰の剣を抜き取り包囲を突破してボスへ切り掛かった。
「くそ!こっちが本命か!」
ボスは剣を抜いて防御しようとしたが、首元に突きつけられ抜くことが出来ない。
「早い・・」
ボスは両手を挙げて、後ろに下がり手下を気遣う。
立ち上がり、
「ガーランドの飼い犬にやられるとは、不覚だ」
「ガーランド?勘違いするな、人を探しているだけだ」
「誰を探している」
「クレバー」
石の上に腰を下ろす。
「そりゃ、残念だったな・・」
頭を掻きながら、
「俺だ」




