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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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20/68

帝国の男

貿易都市ブルカ・デ・ルボ


寄港したのは貿易都市ブルカ・デ・ルボだった。

高度10kmの高さに存在して、施設は完全与圧、寄港できる船も与圧のできる装備がないと立ち寄れない港だ。


赤道直下の高層帯の高速気流にのる移動浮遊島だ。ギルドの所有している島。普通の船ではたどり着くことが出来ない高度にある島である。

辿り着くに上昇気流で上昇して島に追いつくか動いている為、移動する飛竜石の消費が少なくて済む。上手い船乗りは必ず立ち寄る島といわれる。



船を寄せるとアームが伸びてきてがっちり固定するようになっている。

島内の施設は全て与圧されていて船の中の生活と変わらない。


三つのアームで固定されている。

ブリッジに直接接続された橋から警備隊員が入ってきた。

「久しぶり!レノだっけ?今の名前」

ここを警備している少し剥げたおっさんで名前はレイニス。

周りを見渡しながら、

「元気だったか?相変わらず「ボロ」だな」



「そっちも後退したんじゃない?」


「お!言うようになったな!」

拳を当てる。


「積み荷に、酒?」


「ある」


「仕事後は楽しみだ!」


「よかったな」


「今日は船は少ないな」


「最近、ここに立ち寄る船が少なくてよ、物資が不足が深刻だったんだよ!酒!」



反対側の桟橋に輸送船が停泊している。

「あの船って帝国の?」


「あ~珍しいよな

さらに奥にもウインザード王国の船も来てるぜ」


「こんな高高度までよく来るもんだわ

向こう側は立ち入り禁止な!」


「早く、手続き終わらせてくれ!」


ギルドの前でレイニスと別れドアを開ける。船が来ないと暇なんだな。


誰もいない・・

カウンターに積み荷リストを置いて奥を覗く。


ガサガサッ


カウンターの向こうから走って女性がやってくる。確かトリアと言ってたかな。


「おまたせ!パッチ・・いや、いま、何て名前使ってんの?レノ?」


「いや、いまきた所」


「ごめんごめん!船来たの分かってたんだ!

もう少し降りてくるの遅いかと思ってね、ご飯作ってたんだよ」

積み荷リストをペラペラめくって確認しながら、

「最近、ここ誰も来なくてね~」

リストを指で追っていたが止まる。

「おっ、酒あるね~」

壁にある棒を引っ張ると、外で鐘が鳴っている。

「あ~==まっててね」

走って奥に消える。


しばらくして戻ってくる。

「積み荷を降ろすように指示したわ。

それと、報酬だね!」


また、奥に走って行く。忙しい人だ。


赤鱗×20 黄鱗×3 黒鱗×1

カウンターに並べられる。


「この次の運ぶもの有る?」

このまま折り返すと、無駄になるので聞いてみる。


「あるけど、すこし、待つことになるよ」

焦げた臭いがしてきた。

また、奥へ走って行く。


「どれくらい?」


奥から声がする。


「一週間!」


また、戻ってくる。

「いいよ!で?荷物は?」

「私たち」


「え?」


耳元で小声で。

「また、正式じゃないけど、ギルドがここを手放すって」


「わかったよ!それまで待ってる」

カウンターに赤鱗を1枚渡す。

「これは?」

「ご飯焦げたろ?わるいな」



船に戻るとすでにクレーンが動き荷下ろしが始まっていた。


ブリッジから出て隣の部屋は見晴台へ昇る為の部屋だ。

下に行く階段を挟んで隣が俺の部屋。

ベッドと机だけの狭い部屋だ。

報酬を鍵のついた机の引き出しに入れて部屋を出る。

しばらく歩くと、また部屋がある。

その中には円筒形で中に入って、出すものを出すと排泄物を肥料に変える装置があって、掃除をしないと詰まってしまうので掃除をする。

円筒形の下部に粒になった排泄物がたまっているので、天井が見える部屋に持っていき肥料として使う。果物や野菜を育てている。


もう、外は暗くなっている。

ここの停泊中は一日に二度夜が来るので感覚が狂ってくるのだ。

二つ下の階の奥の扉の窓を覗くと貨物室が見える。貨物の搬出は終わったようだ。


ブリッジに戻ると、丁度レイニスがやってきて、貨物の搬出が終わったことの報告だった。


「これで、仕事は終わりだ!飯!!いくか?」

「おごり?」

「ん?なにいってんの?自分でな!」

笑いながら先行ってる、といってブリッジから出て行った。

もう一度貨物室の中が見える場所まで行き、壁にあるハンドルを回し、

貨物室の覆いをする。

レバーを引き上げると音が響き渡る。


ガッシャン!!


ロックがかかり作業を終える。


同じ階層の船首側の部屋にはこの船の動力機関がある。

動力パイプの圧力を全て開放して、船を完全に停止させた状態にした。



食堂は三十席で小さいが獣族のおばあちゃんが作る料理は絶品だ。

「レノ!こっち!」

レイニスが手を振っている。もう、飲んでいるようだ。


「ひさしいね。ルイ・・だっけ?雷魚の包しかないけどいいかい?」


カウンターで料理を注文、赤鱗を二枚出して支払いを済ませる。

しばらくすると、カウンターに料理が置かれるのでそれを持ってレイニスの所へ。


もう一人、おっさんがいた。

「レノ!こいつはヴァクーだ」


「よろしく」

小柄で太り気味の変な兜をかぶっているおっさん。


「おう、お前さんが持ってきてくれたんじゃって」


「もしかして、酒好き?」


グラスで頬ずりをして、

「あたりまえじゃ!浮気のしない、

わしの恋人じゃ」

酒が入ったグラスに何度も口づけをしているキモイおっさんだった。


ご飯をかきこんで、早くここから出たいと思った。


「お前さんの船は見事にボロだのお」

「船見れるの?」

「あたりまえじゃ」


「凄腕らしいぞ!みてもらえ!」

レイニスが推す。明日の朝、船を見てくれることになった。





ブリッジ横のドアを叩く音が響く。

トリアがやってきた。片手に酒瓶。


「うえ~ん」

真っ赤な顔をしていた。かなり酔ってるな。


「どうした!?」

「あの帝国の鼻水小僧が私をババアって」

「まあ、ババアだろ?」

「30歳+少しのどこがババア?」

背筋を伸ばして胸のあたりを強調する。


「レイニスはジジイだろ?」

「あれは、クソジジイだ」

トリアは即答する。


「レイニスは40+だぞ?」

「え~うそ~困っちゃう」

「帝国の鼻水小僧が20+だったらトリアの事をババアっていうよ」

「気にすんな!」

「とりあえず、これでも、たべな」

果物を口の中へねじ込んだ。


「ん~~~すっぱい~~」


トリアがもじもじ体をくねらせた。

「ね~わたしをよめにしない?」

「むり!」


「うえ~ん」


トリアは結局寝てしまったのでベットで寝かせる。

俺はブリッジのハンモックで寝ることにした。


朝早くに、トリアは起きてきて

「子供出来たら、一緒に育てようね」

と言って出て行った。

「何もしてないから大丈夫」


トリアと入れ替わるようにヴァクーがやってきた。

腰にぶら下げた斧や道具、変な鉄兜。

「おう!時間早かったか?」

すれ違ったトリアを目で追う。

「おぬしやるのぉ」



動力室に案内する。

「ほお・・二個ついているのはめずらしいのぉ」

反応炉を叩きながら内部を見ている。


「すこし、同期するタイミングがずれることがあるから、そこを修正してほしい」

速度が高いほど振動が出る場合が多くなったのでお願いしてみた。

「わかったわい、まあ、二つじゃ・・

黄鱗」

高いな・・。


「三日間で終わるぞい」

握手して任せることにした。

修理中は俺の部屋の隣に空き部屋があるので使ってもらうことにした。

修理は明日から、今日は船の構造を把握するらしい。



食堂でトリアと一緒になった。

先に食事が終わり帰ろうとしたときに、

「げっ!昨日のあいつだ・・」

トリアがつぶやく。

帝国の者と思われる3人組が入ってきた。

黒いグローブ、黒い靴。黒いマント。

「あの「ボロ」は君の船かい?」

初対面でこれか!?

「はい、あの「ボロ」は俺のです」

帝国の船を指さす。


「おまぇ、喧嘩売ってんの?」

そんな喧嘩買うわけない。激安で売っていても買いません。


「じゃあね」

トリアに手を振る。

食堂から出ようとすると出口を塞がれる。


「お前!俺を誰だと思ってるんだ!?」

「しらん!」

「帝国の光のフェストだ!聞いたことあるだろ?」

「ない」


「うるさい奴だな、帰れ、黙れ」

「失礼な奴、俺と!

俺と勝負しろ」



「帰る」

「おまえ!逃げるのか?名前は?」

「プストだ!」

「ふざけてるのか?」

「ふざけてる」

「帝国で最も早い船フェスティスに乗る男は俺だ!」

「覚えとくから帰れ」

チッチッチ!

「俺との勝負に負けたと記録しておくぞ!」

「いいよ」

「え~い!とにかくお前の船に俺の船の名前を刻み込む!!」

あ~変な奴に絡まれてしまった。



俺が勝負に勝ったら、守る条件を承諾させた。

暇つぶしにもならないけどやるか。

帝国一という実力を見ておくか。


「あの、見えている島まで飛んでここに戻ってきた方が勝ち」

「セイン!お前は監視でそっち乗れ!」

「メンドクサイ・・・」

オールバックで後ろで髪を結んだ男が俺の船に乗ることになった。


船に戻り、動力室に入り始動させる。

「始動させるのが一番めんどうだ・・・」


ブリッジに入るとヴァクーがいた。

「なかなか良い振動じゃ」

これからの事を話す。

「あの船と勝負するわけじゃな

あれは・・フェスティスじゃなかったかな?」


「じっちゃん!よく知ってるな」

オールバック帝国男は、おっさんの背中を叩く。


「あたりめぇじゃ」

ブリッジ前方の窓で単眼鏡でフェスティスを見ている。

「あれも、なかなかのふねじゃのぉ」


見晴台から目標の島を確認しておく。周囲には船はいないようだ。

ブリッジに戻り監視役のオールバック帝国男と話す。

「よくあんな奴と働けるね」

「稼ぎはいいんでね」

「じゃあ軽く落とすから掴まっていてくれ!

終わったら約束守れよ!」


「はいはい、わかったからどうぞ!」

なんか、腹立つ野郎だな、帝国ってこんな奴ばかりか・・・


「おやっさん!どっかにしがみついていてな!

落とすから」

「落とす?」


両船が同時に島との接続が切り離された。


舵を手前に引き推力を絞り翼を展開すると風を受けて後ろに加速後退する。

ヴァクーの道具が空中を舞う。

貿易都市ブルカがだんだん遠ざかり、あっという間に目標の島を視界に捕らえる。

「なんじゃこりゃ」

「うおおおおお」

帝国の奴らって煩い奴ばっかりだな。


あとは、加速して島に戻るだけだ。

「簡単なことだ」

目標の島の上を通過して、貿易都市についたときには、あいつは、ドック内で旋回中だった。


オールバック帝国男は床に座り込んでいる。


「わかった?同期していない部分」

「おう、調整できるわい

まかせとき」


食堂に入り、暖かい飲み物を注文する。

オールバック帝国男は壁に寄りかかり腕を組んでこっちを見ている。


勢いよくドアが開く。

「プスト!!ちゃんと勝負しろよ!」

フェストは食堂に乗り込んできた。


「船長」

オールバック帝国男はフェストの肩を引っ張った。

「なんだ!!」

「負けましたよ」

「なにが!?」

「勝負」

「いつ!!」

「さっき」

オールバック帝国男はフェストに説明している。

「そんなバカな!?」

「俺が嘘言うと思ってるんですか?」

「いや・・・」

オールバック帝国男が手袋を外してフェストに渡す。

「俺、辞めさせてもらいます」


「はあ?

そんなのは許さねえよ」

強気にでるフェスト。


「誰が許さないって?」

フェストの顔が青くなる。



「約束は守ってくれるんだろうね」

「はい・・・」


トリアと手を弾く。


船名を・・


鈍足の鼻水小僧

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