2.停泊
浮遊エルセンドラは北大陸直上にある北部浮遊島群。
極地ワイトポイントやラナロ氷河監獄、皇都ガイルートへ向かう交易船や探査船が立ち寄る主要な補給地である。
桟橋には厚着をした巡礼者たちが長い列を作って、船の乗船待ちをしている。防寒着や食料品を行商する姿も見える。
何度も来た都市だけど、空中戦艦が3隻、島の上空に停泊して周囲を警戒していることだ。
火薬の力で鉄の球を飛ばす大砲というものが上部下部前方あらゆる場所についていて、下部の大砲は町の方向を向いている。
この船の5~6倍大きい戦艦の下をくぐり町の反対側にある貨物港へ向かう。
「船長、またお願いしますね!」
停泊後、船員たちに報酬を支払って契約を完了させ傷だらけの船の横で考え込む。
「あなたたちの船、かなり損傷ひどいわね」
通りかかった資材を大量に乗せた車から声がする。
「ああ、はぐれに遭遇した」
「え?竜?」
びっくりした表情で聞き返してきて車から降りてきたのは
白色の丸いペンダントが襟元に輝く長身の女性。
輸送ギルドの受付嬢だ。
書類をめくりながら
「ここ数日、同じように竜の襲撃が増えているんだよね。北方航路はあのように警戒状態ですわ」
耳が長くとがった彼女は空を見上げる。
「やっぱりか・・・」
「見たところ積み荷が無事そうね。修理と食料の補給、積み荷を降ろすのはこちらで手配しますね。報酬はあとで依頼書と引き換えね。それと!面倒でも報告書はだしてね」
彼女は書類に印をつけて閉じる。
ふと気になって、いつもの癖で聞いてしまう。
ところで、まほうはつかえるの?
「ま ほう? なにそれ」
不思議そうに答える。
ついつい耳が長くて尖った種族を見るとなぜか聞いてしまう。
船員の小太りのヴァクーも、初めて会ったときは酒好きかと聞いたことを思い出した。
彼女は後で管理棟によってほしいといいのこし立ち去った。
船体の損傷が翼の付け根の風切り舵と外壁装甲の一部が剝がれていた。
船を見上げていた輸送ギルド技師が口笛を吹く。
「これじゃたりないぜ・・」
外壁材を乗せた荷車を切り離して、方向転換。
すれちがうときに軽く手をあげてあいさつする。
船の傷口を見てため息と独り言がでる。
「修理費が・・・」
---そんなときは---
癒しの精霊たちよ!集え我がもとへ
傷ついた船体に!!!
俺の周りに光が集まっていく・・
「なにやってんの船長!」
剥がれた外壁装甲の中からヴァクーがひよっこり顔を出した。
魔法で船を直そうとしたんだよ。
「まほう!?」
「は は、、、そんな便利なもんあったら見てみたい」
「早く船長も修理手伝いな!」
振り返るとニルベア2(この星の太陽)の光が町の建物の間から輝いていた。




