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ドラゴンルート  作者: 56GEN


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要塞

俺が、ゼネルに踏まれている写真を嬉しそうに見せてきたので、

「そんなに大きくする必要ないだろ」

板を取り上げて、裏返し壁に立てかける。


「何の騒ぎ?」


外が騒がしい。

「窓から下を覗いてみな。

使徒を見にきているんだ」

使徒?興味ない・・



ふ〜ん・・・ところで。

「って言うか、昨日、やってくれたな」

ゼネルの両耳を掴んで引っ張る。

「や、やめないかい!!人前で!!」

顔を赤くして抵抗する。


「昨日、何飲ませてくれた?」


「フチルノボ」


「何それ?」


「ん?知らないのか・・・

帝国元気薬だ!」

びっくりした顔を初めて見た・・気がする。


「体に合わなかったのかな。

おかしいことになったぞ?」

あんな感覚になったのは初めてだ。二度となりたくない。


「ごめん。分量を「多分」間違えたんだ」

反省してないだろ。


国王なんて無理だ。これでも領主なんだぞ!

「このままエルディンに帰るのはどうか?」



「それでも、いいが・・

外で期待している人たちはどうなる?」

・・・そう言うのは酷すぎる。

「国王をすぐに譲るってのは?」

「近隣の国からは安定していないとみなされ、

攻め込まれ戦争になる可能性がある」

なるほどね。隙を作るなってことか。

「今は鉱山以上の大量の竜石がある場所となったからな

欲しい国は多いだろうが、

使徒がいるとなると、話は変わってくるだろうな。攻めにくい」

あの竜のことか。

「言っちゃ何だけど、これっくらいのチビ竜だった」

手で輪っかを作りゼネル、サーリャに見せる。


「大きさは関係ない」


「あー、

そうだ!

魔法を探しにいかないと・・ラーテが・・」


「そういえば、そういう話あったね」


「それも、落ち着いてからだ」

遅いってバーミリアが怒りそう。


そうなると、ナルに相談しなくては・・

しばらくエルディンに帰れないかもな。

「ナルは?」


「女王様と話をするって、シオンと渓谷の街へ船で向かった」



見通し線の遥か先だぞ?あれで通信できるのか?

通信するなら・・そっか、この国にギルドがないからか。



「セインも一緒?」


「セインは廊下だ」

何だよ、ここにいるのか。それなら部屋に入ればいいのに。


「セイン!!」

「それじゃダメだな」

「セインさん!」

「今、セインは何をしてるか考えてみたら?」

「廊下で、ハンモックで寝てる」

「古城で何をしてた?」

「トュリスといちゃついてた」

「そうじゃなくて」


「あ〜・・・

騎士セイン!!」

ドアが開く。


「はっ!ここに!」

「トュリスに手紙書いた?」

「まだであります!」

「船が直ったらウインザードへ戻るから、手紙書いた方がいいと思う」

「書き方がわかりません」

「サーリャにお願いするがよい!」

「はっ、ご配慮いただきありがとうございます!では!」

バタン!

一礼して出て行った。



「完全に騎士だな・・・」

みんなに色々褒められていたからな・・

「また始まったね」

「あれを続けると体が持たん」


「それと・・・」

「ナルには言わないといけないことがある」

「エルディンのこと?」

「そうそう」

「夕方、戻るって言ってた」



まだ、時間あるようだ。

「船、どうなってるんだろ」

「要塞にいく?」

「天気いいからね」

「でも、通りに人だらけだよ」


「任せとけ!」

一階に降りると、外を何度もカーテンから覗いて迷惑そうにしているマナがいた。

「また、通るよ」

「え?ちょっといい加減にしてよね」

ゼネルはマナの部屋に入り小窓を開けよじ登る。

「ここから出れば裏通りだ」

サーリャを引っ張り出す。

「セインは?」

「手紙書かせてる」

帰ってくるまでに書けるところを書いてとお願いしたようだ。

分からなかったらマナさんに聞いてと。


裏通りを抜け右に曲がれば港方向、ゼネルは右に曲がる。

「いいから、ついてこい」


少し神殿のあった方向へ歩くとピンク色の物体が見えた。

「ガーランドいるのか?」

操舵室から背中を掻きあくびをしながら出てきた。

「うるさいなぁ、アタイをなんだと思っているのさ、明日の計画を・・・」

目が合うと飛びかかってきたが、ゼネルが間にたつ。

「パルマ!会いたかったよ!元気になったのかい。

やっぱりアタイが近くにいてあげないとな」

「押さないでよ」

ガーランドを操縦室に押し込む。

「ちょっと要塞に運んでくれる?」

「運送屋じゃないんだから・・」


操舵席に座り、スイッチをパチパチ弄っている。

電子式のお高い船にあるものだ。動力室と往復しなくても楽に始動できる。

小さい船だから、動力の音はうるさい。


「行くよ!捕まりな」


視界は狭い。よくこの視界の中を領主の船団の中を駆け抜けていけたと感心する。


要塞は街外れの郊外の上空に停泊している。街を日陰にすると都合が悪い。

要塞の周囲を一周して着陸地点を探す


俺の船の横に船がいる。領主の船か?

「昨日の所に下ろして」

ゼネルは指を指し降りる場所を指定する。

ゆっくり要塞に船は降りていく。

「ありがとう」

ゼネルはガーランドに手を上げる。


「暇だし付いて行く」



誰かが回収してくれたのだろうか。隣には落下した翼が置いてあった。

翼面に木が幹ごと刺さっていたり修理に人手が必要だ。これは・・財布が寂しくなる。




向かいの領主の船から兵士が出てきた。

「この船が出ないと他の船が入れない。

早く出発準備を整えて!」

昨日見た女性兵士だ。

ノリア兵長だったかな、

船の前で他の兵士に指示を出している。


「あっ!コエガ様!」

ん?俺のこと?

名前が多すぎて、実感が無く無視していたら、

ゼネルの肘が脇に刺さる。

「忙しそうだね。船を退かそうか?」

「そうですね、ここは、三日後の朝に出発するので、早めに移動して頂ければ助かります」

「国境に戻るのか・・」



船の中に入ると翼の根元は引きちぎれていて、船内の配管は抜け落ちて、油の焦げた匂いが充満して通路にはいろんな物が散乱していた。

ヴァクーを探す。動力室にはいない、貨物室にもいない。

二階もいなかった。

ヴァクーの部屋をノックしてみる。

「何じゃ」

「寝てたか、ごめん」

「それより、何の用事じゃ?」


「見た感じ、動かせると思うけど、どう?」

「大丈夫だ行ける

「となると、翼を借り付けしないといけない。

クレーン船を手配しないと」


「ノリアさん!」

船内を珍しそうに首を回して見ていたがビクッと反応する。

「あっはい!」

「アイゼルさんは要塞にいますか?」

「おります」



「じゃあ、アイゼルに話してくるから、準備お願い!寝ている所、ごめん」

「おぅ任せとけ」


「そうじゃ!ゼネル!ホイホイ!!」

「あー・・・忘れてなかったか」

手をクイクイしているヴァクーを見て思い出したように、

ゼネルは胸の辺りから小さい瓶を取り出して投げる。

「ありがてぇ」

「約束してしまったからな。

それが、最後だ」

よく分からない薬は飲まない方がいい。


船から降りると、

領主の壊れた船が上空を通過して、お城横の造船所へ降りていく。

「すごい!後ろ向きに船が飛んでる」

「あぁ、あれはですね、故障した船を掴み固定して運ぶ専用のクレーン船ですよ。

墜落した領主の船を回収して使えるものは直して使います」


そんな便利な船があるんだ。ヴァクーの言っていたクレーン船ってあれだな、

「クレーン船って確保できる?すぐに翼を取り付けて修理したいのだけど」

「わかりました!」

ノリア兵長は手を挙げて、

「トマス!!」

領主の船の前の数人いる兵士の中から呼びつけ、

「工房に行って、クレーン船でこの船を先に修理できないか確認お願い。すぐに、修理してほしいの」


「わかりました。伝えてきます」

駆け足でクレーン船の降りて行った方へ走って行った。

この高度で走るのは危険な気がするけど・・


お城の中は明かりがついていて明るく、

すれ違う兵士の顔が分かる。

松明やランタンでは誰だか分からない事が多い。

しばらく歩いていくと、縄で縛られた領主達が並んでおり、

1人ずつ兵士が横についている。これでは、逃げれないな。

行列は、アイゼルの執務室の前まで伸びており1人ずつ中で尋問を受けている。


扉が開き領主と兵士が出てくる。

次の領主の尋問の間にアイゼルと話をすることになり、先に入室した。


椅子に座った彼の表情は疲れ切っており、

「あと、32人かぁ・・こっちが逆尋問を受けている気分だ」

背伸びをして、ため息ついた。


昨日の記憶が途中から全くないので、

「昨日は、色々とご迷惑をおかけしました」

と言っとく。

「最後は、意識朦朧としていたので驚きました。

薬物かと思いましたが、医者の調べで違うと分かり安心したのですが、

一体何だったのでしょうね」

疑っているのだろうか、ゼネルの表情から読み取ろうとしている。

これは、当てがついているのか。


「マシス?そろそろ交代の時間だろ?次は誰だっけ」

「ニノです」

「ニノか・・・ご苦労だったな、交代してくれ」


書類をまとめて整理し、部屋から出ていった。

「三日後に要塞の移動を予定しておりましたが、

国境付近の各国の動きが、活発になってきたので、

先にレイランを向かわせて監視を強化させ、

領主達の尋問を進めながら、出発準備をしている所です」


あいつ・・・やっぱりそっちの人だったんだ。


「今、要塞にある鹵獲した57隻の武装船は全て国境警備で使用したいと考えております。

すでに、修理完了した武装船26隻と郊外に下ろした非武装船150隻以上の船については、時間がないので、申し訳ありませんが、こちらにおいて行きます。

それらの船は、警備船より速度が早く防御力が上がるので船を更新するのにちょうど良いでしょう」

確かに、港には動かない警備船が山のようにあったから丁度いいのかな。


「非武装船は輸送船として使うのがいいかと思いますが、

物資の輸送や運営に関する知識があれば・・」

サーリャの顔を見る。

「え?なになに」

「物資輸送の管理できるよね」

ゼネルの顔を疑い深くサーリャは見る。

「え?船長いるの?」

「大丈夫ですよ、領主の船を動かしていた船長や船員がそのまま拘束しておりますので」

「そっか〜領主が動かしていた訳では無いんだね。

でも、まだやるって言ってないからね」


「船長が少なく見積もっても150人・・・船員が一隻3人としたら600人を抱えることになるのか」

机に積まれた紙の束をめくりながら、

「全員合わせて782名だ」

サーリャ、断った方がいいぞ。これは面倒だぞ。

「これは、世界に進出するいい機会だと思え!」

「え〜」

「やるよね!?」

ゼネル、強引すぎる。

「だって、そんな大勢の人たちに支払うお金持ってないんだもん」

「それに、住むところと、食事は?」

「深く考えるな」

「え〜だって、パッチ見ているとヤバいよね」

「大丈夫だ、パッチはまだ何もやっていない」

「そっか」

そっかじゃないぞ!精神的にくるんだ。

「じゃ、ゼネルやったら?」

「私は、こういうのは・・他にやることがあるんだ」

「何を?」

「いいから、私はダメだ!」

両手を前に出して断る。

サーリャは両手を掴み、

「人に押し付けるのは良くないよ。・・・

そうだ!・・

そういえばガーランドさんは、さっき暇になったと言ってましたよね」

「え?アタイ?」

「そうだな・・

任せなさい。もう名前決めた」

「何て?」

「パルランド商船。これならやる。もちろん、お金くれるよね、皇帝様」

「サリーも手伝うのだ!」

手を肩に回してサーリャを引き寄せた。

「え〜」

サーリャは2人に比べると若いらしい。言動も比較する対象が悪いが子供っぽい。


「それは置いておき、俺の船の修理をお願いできないかな」

「そうですね、国境まで取りにきて頂くことになると面倒ですね。

親方に誰かを向かわせ修理をさせますよ」

「先ほど、トマスに工房に走らせましたが」

「彼か・・親方に言いくるめられて帰ってきそうだな。

エドラに走ってもらいましょう」

「詰所に行って、お願いしてきます」

敬礼してノリアは出ていった。

「うるさい親方でね、昨日から働きっぱなしでイラついていると思うのでね。女の子には甘い、彼女なら大丈夫」


メモを見ながら続ける。

「ところで、国王の即位式とやらは明日で・・・」

!!即位式!!

「あ〜あ、やっぱり誰かが口を滑らせると思っていたら、アイゼルさんだった」

顔色が真っ青になってゼネルの顔を伺っている。


「驚かせようと思ったんだけどな」

あ〜だからナルは連絡をつけに行ったのか。

ウインザードに連絡を取れなかった場合は面倒にならないか。


「安心しろ!まだ、正式に決定した訳ではない」


「すみません」

頭を下げて謝る。

「いや、良いんだ。コエガだけにする秘密だからな」


「それより、国境に戻ったら必ず東バルフェリアから接触があるはずだ。

使者が来たらこれを渡してほしい」

綺麗な分厚い本のようなものを渡す。

「わかりました」

受け取り、机の中へしまい、鍵を閉めながら、

「これは、重要なものですか?」

ゼネルは首を振る。



・輸送船7隻は東バルフェリアの船

・傭兵ギルドの関わりあり

・兵士達は国境軍の兵士では無い


「エル商会というのはご存知ありますか?」

唐突に、アイゼルは名前を出す。

「東バルフェリアでは指折りの商業ギルドだったな」


「私共とあなた方が撃ち落とした強襲艇を調べると外観を似せた別物で領主達の話では発注先は、そのエル商会となっているのです」

「言いたいことはわかる。

船の製造は帝国だったのだろう」

アイゼルは頷き、

「東の動きを警戒していたが、どうやって、運び入れたのやら」

腕を組み目を瞑る。


「輸送船で搬入したのだろう。

先日ウインザードへ戻る海上で、

帝国の輸送船とバルフェリアの輸送船が仲良くしていた。

警備船に追われ逃げれたが、

あの時に、何隻か積み替えしていたのだろうな」


ゼネルは壁に貼ってある地図に目を向け、

「となると、帝国の教団ババア共が焦って動かしたのか・・ないな」


扉がノックされ、

「どうぞ!」

兵士が入ってきて敬礼をして扉横の壁に背を向けて立つ。


「そうだな、そろそろ尋問を再開しないと終われませんので・・

出発前には結果をまとめて報告に行きます」

アイゼルにお礼を言って出ようとすると、

「ここ国の軍隊なんでしょ?

もっと怖いところかと思ってた」

サーリャは扉に掘られた竜の彫り物を見ながら呟く。


「ここにいる兵士や働いている者のほとんどは、反体制で捕まった者、クレバー殿が送り込んだ奴隷、奴隷だった者ですよ。

最前線なので、僧兵も見にも来ない有様で・・

ここに悪い人なんておりませんよ。

初めて会った頃から教王打倒とか夢物語を言う人だと思っていたら、

本当になってしまった。驚きです」

笑いながら扉まで見送ってくれた。


通路を歩いていると、昨日見た竜の間の扉が開いている。

中で床を掃除している人たちがいて静かだった。

真ん中まで足を進め見上げると、真上に大きな灯り、入り口方向に二つの灯り、入り口近くに四つの小さな灯りがある。

「天井高いね」

「綺麗なガラス」

竜の手に何かを持っているように描かれている。


掃除をしているうちの1人が近づいてきた。

「お祈りをされるならもっと前の方がいいぞぃ」

少し腰の曲がったお婆ちゃんだ。

「どんな神様より竜様じゃ」

「毎日、祈っておったから戻ってこられたのよ。まだ見てないがな」

「若いもんではもう知っている人はいないけどな・・

・・

・・

・・

ハテ・・何を言おうとしていたのかな・・忘れたわい」

「古いものには意味があるんじゃ・・」

思い出したら教えると言って立ち去った。気になる。

ガラスにある竜の絵は星?竜石を掴んでいるように見え、

天井をよく見ると宝石のようなものが無数にはめられており、照明の光より、入り口から射す光が当たると星空のように綺麗に輝いた。


「これは、星図だな」

興味深そうに扇子で線を描くように星を繋げたりしている。


「大きい光が、遙か先の星セリオン、真ん中の二つがニルベア1と2だろう」

「四つは?」


「ここテラン星系?だろうな」

「ここアルセリア、氷星のデリンジャー、砂漠のゼリガルア、壊れた月ネオテラン」

「さっすが!詳しいね」

サーリャに褒められると嬉しいのだろうか。見上げて首が痛くなったのだろうか扇子で肩を叩いている。

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