浄霊方法についての講義
今日は講義の日。柊哉はワクワクしながら学校へと向かった。、
今日は講義がある日だ。
「確か次の講義は武器の説明とかいってたな。」
「私も使うのかな?」
「霊専用の武器とかあるかもな。」
期待を胸に2人は教室に向かった。
「八尺瓊君おはようございます。」
「おはよう竜飛。」
早速竜飛が挨拶をしてきた。教室にはもうすでに全員が揃っていた。2人が入ってすぐに教官も入ってきた。
「よし、全員いるな。ではこれから講義を始める。」
今日は特に楽しみにしていた講義なので柊哉はワクワクである。
「お前ら浄霊師の言葉の意味は流石にわかるよな?」
「流石にわかるでしょ。」
「おおよかった。霊を浄化する人という意味だけど、霊を浄化するって何だ?」
「え…ちょっと知らないっすね。」
余裕こいてた山形に焦りが見えた。
「いいかよく聞け。霊を浄化するとは、霊が持つ死のエネルギーを0にすることだ。それを行うのが浄霊師だ。そして霊の死のエネルギーを正しく0にするにはいろんな手順を踏む必要がある。」
「手順とかあんの?ばーって生のエネルギーを流し込んだら終わりじゃない?」
「ばか、そんな単純なわけないだろ。」
山形はきっと大雑把な性格なんだろう。
「では手順を説明する。まずは霊の成り立ちを分析することが第一だ。この前浄霊師には分析力が必要だといったが、こういうことをするから分析力が必要なんだ。」
「霊の成り立ち?なんだそれ。漢字じゃあるまいし。」
山形が突っかかる。
「霊の成り立ちってなんですか?」
竜飛が聞き慣れない言葉の意味を質問した。
「そうだな。例えばお前。憑依霊の。」
「私?」
「そうだ。お前は八尺様だな。」
「うん」
「じゃあ八尺様の成り立ちはわかるか?」
「うーん…失踪事件とか?」
「まあ3割ってところだな。八尺様の成り立ちは、児童の失踪の話に尾がついて大きくなったものだ。最初はただガキがいなくなっただけだが、そこに謎の声、背が高い女性、白い服といった情報が噂となりお前の霊体が形成されたのだ。」
「なるほど…。」
「そこで必要となるのが、本質を見抜く分析力ってわけだ。現にお前を浄霊するってなった時はどういうプロセスを踏むというと…」
「よく憑霊させた人の前で言えるよな…」
「あはは….」
教官の空気の読めなさに柊哉と雲井は苦笑いをする。
「まず、八尺様の本質、霊体の正体を見抜く。この場合、失踪事件についた尾。謎の声、背が高い女性、白い服…といった情報だ。」
「そんで?次は?」
「まあ待て。そう焦るな。」
山形の催促を教官は軽く流した。
「この時分析した情報を声に出しながら霊に攻撃しろ。言葉にすると強くなる。その言葉はできるだけ自分目線の方がいいだろう。」
「例えば?」
山形が質問する。
「例えば、"お前の正体はただの失踪事件についた噂だ!俺はそれを知っているぞ"みたいな感じだ。」
「"噂なんだろ?"ではダメなのか?」
再度山形が質問する。
「ダメだ。例えばそれで霊側がとぼけたら無効化されてしまう。自分が霊の正体を知っているということを相手に知らせることで自分が霊より優位に立つ。」
「へぇ〜それで霊体を崩すということか。」
「そうだ。相手ではなく自分から行おうとする。この意思が大切だ。」
教官は続けてこう言った。
「人に暴言を吐く時、"死ね!"と言うより、"殺す!"と言った方が強いのもそれが理由だ。」
「は?そうなん?」
期待してた分思ってた回答と違う回答が来たので山形は困惑した。
「つまり、死ねということは相手に命令するだろ、それは相手に行動を委ねる形になるし、逆に殺すだと自ら殺そうとしているだろ?」
「つまりなんだ…?」
今度は霧峰が質問した。霧峰も柊哉と同じく理解力に乏しいようだ。
「つまり行動の主導権だ。相手に行動を起こす権利が渡った時点で終わりだ。」
「そうか。そういうことか。」
山形は納得したようだ。
「これは霊に対しても言える。霊に行動の主導権を渡すことは、霊に隙を見せると言うことだ。霊相手には隙を見せず、自分が霊より優勢に立つ必要がある。」
「だから真っ先に霊の本質を見抜く必要がある。ですね?」
「そうだ。そしてそれをなるべく強い言葉で断定する。これが浄霊の第一プロセスだ。」
雲井が口を挟んだ。柊哉にとっては意外な出来事だった。
「これをすることでどうなるんだ?」
山形が質問する。山形は好奇心旺盛で、見てるこちらとしても感心するものがある。
「これをすることで霊体を崩壊させ、死のエネルギーだけにすることができる。」
「ほお?」
霧峰はちょっとしか理解していないようだ。
「そうだな。蟹で例えてみるか。」
「なんやねんそれ。」
竜飛が思わず突っ込んだ。それを見て山形がさらに突っ込んだ。
「お前関西人なのか?」
「そうだよ?言ってなかったっけ?」
「知らなかった。」
「話してもいいか?」
「すみませんお願いします。」
竜飛の許しをもらえたところで教官は話し出す。
「蟹を食べる時は殻をまず剥く、そしてその後身を食べるだろ。それを霊に置き換えるとだな…まずは霊体を言葉で崩壊させて、霊の"身の部分"、つまりは死のエネルギーだけにする。そこを浄化して死のエネルギーを0に還すってわけだ。
「ほう…。」
山形は納得したようだ。そこに霧峰が質問する。
「還すって?」
還すという言い回しはしたことがなかったので当然だろう。
「還すとは本来あるべき場所に行かせる。つまり死のエネルギーを、0に戻す。つまり浄化させるという意味だ。まあそんな感じで思っといてくれ。」
「じゃあ死のエネルギーを0に還すのはどうやるんだ?」
山形が質問する。またこいつかよと思うかもしれないが、山形がいないと講義が成立しないのだ。
「それには二種類ある。まず一つ。霊の力借りて還す。例えばお前みたいな憑霊使いとかな。」
「俺?」
「お前だろ。」
「そっか。」
(やば….なんの話だ?)
ゴミみたいな返事をした柊哉。それもそのはずこれまでの話をあまり聞いていなかったのだ。
「大体の浄霊師は霊の力を借りているが、たまに借りれないものがいる。そんな奴が使うのが還具だ。還す道具という意味がある。」
「それにはどんなものがあるんですか?」
武器の話になった柊哉は元気を取り戻した。
「なんか元気だね?武器に興奮した?」
「は?してねぇし。」
「ぷっ…嘘が下手。」
柊哉の必死の抵抗も虚しく雲井に揶揄われた。
「どんなものもあるぞ。刀だって剣だって銃だってある。自分に合った還具を使うのが還具使いのすべきことだな。」
「でもせっかくだったら霊の力を借りたいよな。」
山形が竜飛に話しかける。
「そうだね。そういうのってなんかいいよね。敵の力を借りるみたいな。」
「お前敵を捕まえるみたいな能力好きだろ。」
「そんなのみんなでしょ。」
そこに教官が割って入る
「みんながみんな霊の力を借りれるわけではないぞ。さっき言ったように霊の力を借りれない場合もある。だから還具があるんだからな。」
「じゃあ俺たちももう力を借りれるのか?」
「な訳ないだろ。今回は還具を使ってもらう。」
「えぇ〜。なんで。」
「シンプルに霊がいない。わかった?」
「わかったよ…」
生き生きとしていた山形がしょんぼりした。あんなにしょんぼりしている山形は初めて見た。
「ではこれから還具保管庫に向かう。」
「そんなところがあるのか?」
「そうだ、この学校にはいろんな還具があってな。各々好きなのを取ってくれ。」
柊哉はワクワクしながら還具保管庫へと向かった。
「着いたぞ。さあ、各自で好きなのを取れ。」
「教官。私は?」
「そうだな…雲井と八尺瓊はどうする?」
「雲井も憑霊使い?」
「違うわよ。私は降霊術を得意とする家系なの。」
「へぇ〜。すごいなそれ。」
「一応持っておいたらどうだ?護身用として。」
「そうね。持っておくわ。」
雲井は短刀のような還具を手に取った。
「おい見ろよ!銃だぜ銃!」
「ショットガンかな?なんか北海道を思い出すな。」「北海道って野蛮なんですか?」
竜飛が思わず口にした。
「違う違う。北海道には有名な浄霊師がいて、猟銃使いなんだよ。」
「マタギじゃん。」
「まあ見た目はまんまマタギだけど、おかしなことに、その浄霊師が放った銃弾は絶対獲物に当たるんだ。」
「百発百中の魔弾使いってわけですね。」
「そうだな。おれはその人に憧れて浄霊師になるって訳。そんなわけで、俺はこのショットガンを選ぶ。」
「あ!お前油断しているうちに選びやがったな。」
「僕たちも選びましょう。」
「おう、そうだな…」
「じゃあ僕はこの刀で!」
「え!?もう槍しかないじゃん」
一方柊哉の方はというと…
「俺の還具はないんですか?」
「ないぞ。お前には憑依霊がいるだろう。
柊哉は恨めしそうにしゃくちゃんの方を見た。
「あはは…ごめんね?」
「しょうがない。その代わりちゃんとしろよ?」
「それはもちろん。」
「お前もちゃんとしろよ。半分は霊なんだからな。」
「はい。」
そんな感じで、これから実践演習が始まる!
前回戦闘描写でるよって言ってたけどでんかったね。次回には必ず出るわ。




