桜吹雪に君がいて
最小限に抑えたつもりですが差別的表現が出てきます
ご了承頂ける方のみご観覧下さい
m(__)m
桜吹雪の舞う中いつも静かな地元の公園も流石にこの季節は人で溢れている
人混みはどうも苦手な僕なのだが万人に好かれるこの花が僕も好きだった
とりわけハラハラと舞い散る姿が大好きだ
どうしようもなく桜を愛でたい気持ちは抑えきれるものではなく最近は放課後寄り道をして公園の隅っこのソメイヨシノの樹の下でスケッチするのが僕の日課だった
「君の背を借りるね」
桜の幹に話しかけても仕方ないのに僕は呟いて寄り掛かる
鉛筆で夢中で絵を描いてると凄く楽しかったし日が暮れるのもあっという間だった
「その絵に色は塗らないの?」
不意に声をかけられビクッと顔を向けるとソメイヨシノに負けないくらいに綺麗な子供が立っていた小学生の高学年くらいだろうか?
長い黒髪が麗しく風にたなびいて花びらと舞っているのにみとれて
桜の精のようだななんて幻想的な事を思ってしまった
「僕は桜が大好きだから簡単には色なんてのせられないよ」
その子は不思議そうに微笑んでいる
「好きな色を入れたら最高に素敵な絵になるのに勿体無いじゃない…桜が好きなんでしょ?」
どう見たって僕の方が年上なのに何なんだよ…放っておいてくれたらいいのにと少しイラッとしながら彼女を睨んだ時に初めて僕の目に彼女の手元の白い杖が飛び込んできた
「なんで僕が桜描いてるなんて分かったの?目暗の癖に…」
言葉にしてから少しだけしまったと思ったけど遅かった彼女は酷く悲しい顔になってこちらを睨み返しているようだ
「えぇ確かに目は多分君より見えないけど君より桜の色が見えるからじゃない?君の視力がどれくらいだかなんて知らないけど君より見える自信があるよ?」
薄暗くなってきてはいたけれど彼女のニンマリ勝ち誇ったような笑みが見えた瞬間何だか酷く悔しくなって気が付くと僕はスケッチブックをそちらに投げつけて家に向かって走り去った
見えるわけない癖に何なんだよ…
急に僕の事を馬鹿にしてさ…
僕の安らぎの時間を返せよ!!
家に帰ると母が帰りが遅かったことに何かガミガミ言ってきたけど僕の心はそれどころでは無かった
もう公園なんて寄りたくもない
大切なスケッチブックだって投げつけて置いてきてしまった
絵なんて暫く描きたくもない気分だった




