6 新たな目撃者
「だから、シェリーシェしかいないでしょ?」
当たるなと考えていたことは的中してしまった。
(まあいい、口調的に男ではないようだから、まだいいさ)
そんなに心は狭くないんでね。俺は。
(友達まで制限しだしたら、シェリーシェに嫌われるかもしれないからし……)
そんな本音を心の中に押し込んだ。
……いや、でも、口調だけで、性別は判断できないよな?
じゃあ、男の可能性もあるっていうことか……?
「……お前は誰だ?」
(ちゃんと見分けてやる)
シェリーシェに会ったノアは、少し安心したせいか、ちょっぴり、本来の目的を忘れるのであった。
◇◇◇◇◇◇
神界が闇に全体を包まれる中、同じように闇が神界の主であるディーノの書斎に侵食していた。
ディーノはいつも書類を片付けるときに使う愛用の椅子に腰掛けながら、書斎の窓から闇を静かな目で見ていた。
どこか遠くを見ながら、虚無の中から、ここにはないものを心配するような顔で──
そのときだ。
ディーノの後にスッと人が現れた。
「………何の用だ、死神」
「ふっふ、やっぱり気づかれちゃうかぁ〜」
死神と呼ばれた男は、ディーノの前に軽やか足取りで移動する。
「考え事をしていたから、バレないのかな〜って思ったのに〜。流石、《天界の王》って感じ?」
死神の皮肉を受け流しながら、ディーノは口を開く。
「……なんの用だと聞いている」
「え〜、急かさないでよ〜」
死神の発言とともに、死神の右側に結んである三つ編みが揺れる。
「……お前は、地界の使いだろう。こんなところで何をしている」
疲れきった、重々しい言葉が、静かに部屋に沈む。
「いや〜前代未聞の事件を聞いてね……」
死神はクスクスと笑いながら、十字架が入っている瞳が昏く光った。
「どこで知った。それは、公開されていないはず……」
ディーノの様子が一気に豹変する。
さっきとは想像もつかない。
「どこでも〜? 強いて言えば、現場で知ったよ〜」




