表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇落ちした天使は恩寵を受け、咲き返る  作者: 空雨 依里


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/4

3 前代未聞

「やっぱりあの子がそんなことをしたなんて、信じられませんわ……」

「だから、行くのだろう? その真実に、そのきっかけを知るために」



◇◇◇



 ──ここは、天界と地界の境目。


 この場所ができたときからある木が、まるでこの場所を隠すように覆われている。

 いつもは、結界が張り巡らされており、天界の者が地界に行けないように。地界の者が天界に入れないようにしていた。


 ここで、会議を開く理由は、地界の主と天界の主が向かう距離を同じにするため。

 そこから、長老の役目のある者も呼ばれる。


「久しいな、ディーノ」


 黒の髪をした男が声をかけて来た。


「兄さん……」


 兄さん──デュオスは、地界の主であり、私の双子の兄だ。

 天界、地界では双子は()()()()()。生まれることはない。


 だが、例外がある。

 たた一つだけの例外。


 ……天界と地界の主になること。


 それが唯一の例外。双子という、宿命とでもいうのだろうか。


「……なぜ、こんなことになったんだ?」

「わかりません……」

(わからない、どうして一番人間が好きだったあの子が……、どうしてこんなことに……)


 決められた椅子のところに、あの子だけが、いない……。


 この天界は等しく位を持つとしているため、長女だとしても、先に長男がいれば、二女、三女と決められる。……なのに、あの子はここにはいない……。


 私の気持ちを読み取ったデュオスが、顔を歪める。

 双子だから、なおさら伝わったんだろう。


 なにか言おうを口を開いた。その前に人界を取り勤めている、者の声が響いた。


「始めてよろしいでしょうか?」

「ああ、すまない」


 各自の席にそれぞれ腰を下ろした。


 人界を取り勤めている者は、天界でも地界でもない。逆に言えば、天界でも地界でもあるということにもなる。


 公平性を保つために、一年ごとに、天界の者と地界の者が交代して取り締まるからだ。

 今年は地界の者が取り締まっていた。


「つい先日、爆発的な神気を感知しました。それが、異常だったので、調べてみた所、天界の主の末子であるシェリーシェ様のだと判明しました」


 神気は人界であんまり使ってはいけない。少しならともかく、爆発的なものだったら、それは異常を感じるだろう。


「詳しくはわかりませんが、その神気で人間を傷つけ、それが原因で命が落としてしまったことは判明しています。掟に従うと、神気を人間に矛を向けて、人間を傷つけることは許さない。ところに、当てはまると思いますので、処刑しなければならないと思われます。いかがでしょう」


 今まで、口を挟もうとしていた子供たちが、一気に口を開いた。


「意見がいっぱいあるわよ! なんで、詳しくわからないのに、処刑ってものとなるの!?」

「おかしんじゃねぇの? もっと調べろよ」

「ええ、あの子がそんなことするはずがありませんわ!」


 私が言いたいことを口々に言う。

 そこで管理人が弁解するのだろう。


「なぜなら、その神気には、天だけでなく地のものも混ざっておりました」

「「「「「「っ」」」」」」


 会議にいる全員が息を呑む音がする。


「……つまり、あの子は闇落ち、しているかもしれない、ってこと……?」

「いえ、確実に、でしょう。だから、この事態は急を要しているんです」


 闇落ち……それは、事例が、ない。

 天使は本当に、本当に、どん底に落ちたり、地獄のような経験をしないと闇落ちはしない……はず、なのだ。


 軽く感じるかもしれないが、例えば……家族の誰かが誰かに殺されて、世界を呪う、そういう感情の何倍も深くのことはさしている。


 それは、ここにいる全員がわかっていることだろう。これは、前代未聞な事態だ、ということに。


「じゃあ、シェリーシェは、そのような経験をしたかもしれないって、こと……?」


 ララの、こぼれた声だけが、辺りに響いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ