これからのことを話し合った
緊急依頼はあの後すぐに達成が宣言され依頼は解除された。
夕方に冒険者達を元の街に戻していった。
そしてオフの日をはさんで3日後、俺たちはアースワンの拠点に集まっていた。
「今日話したいのは今後の活動についてだ。アセロスフィア、アースワン、アースツーと色々と活動できる場所が増えてきたが、言葉がしゃべれるのは俺だけだからみんなはアセロスフィアで活動したいんじゃないかなと思って、そのあたりの意見を聞いてみようと思ったんだ」
「私は言葉も通じるしアセロスフィアに愛着があるわ。だから半分ぐらいはアセロスフィアを冒険したいな」
アリスはそう言った。
「俺はそこまでこだわりはないな。新しい世界を探検するのも面白いし、もしかしたら通訳してくれるアーティファクトとかも見つかるかもしれないし」
「通訳のアーティファクトは欲しいところだね」
「あたしは半分まではいかなくてもいいから少しはアセロスフィアで活動したいなー」
「アリスは言葉が通じるようになったとしたらどうだ?」
「そうね、それなら1/4ぐらいアセロスフィアで活動出来ればいいかな」
「じゃあ差し当たり、半分はアセロスフィアで活動して、アースツーや他の星で通訳の道具を探すって方針にしようか。通訳できる道具が手に入れば、もう少し新しい場所の冒険を増やすってことで」
「ところでゲートの魔法って永続的に設置することは出来るの?」
「そういえば試したことがないな。アースワンの拠点にジマリーノとギーノの街へのゲートを永続設置できないかためしてみようか」
「他の人が利用しないように鍵付きの部屋に設置したほうがいいよ」
「そうだな。開いてる部屋のうちの一つをゲート部屋にしようか。ちょっと試してみよう」
俺は開いている部屋の一つにゲートを2つ設置した。ジマリーノへは俺とアリスの家への2つ、ギーノへはカイ達の家への1つを設置してみた。
ゲートのどちら側の部屋も鍵付きの部屋を選んだ。
「設置するときに魔力を使うが、維持には魔力を使わないみたいだから、これはこのまま置いておこう。今後拠点が増えたらアースワンのこの部屋を中継基地にしようか」
「あたし、こうしていつでもアセロスフィアと行き来できるようにしてくれたから、さっきの冒険の話はそこまでこだわらなくてもいいかなぁ」
「そっか。あと、この部屋の鍵は後で人数分用意するから」
「永続設置ができるなら、ついこないだの緊急依頼のような時用に各ギルドにゲートを設置してあげたらいいんじゃない?」
「確かに。この後ギルドに直談判しにいこうか」
確かにギルドにゲートが設置できたら、毎回俺が行き帰りのゲートを設置しなくても済む。
アセロスフィアについてはこれでいいと思うが、アイテムボックス内へのゲートは少し気をつけねばならない。
何故なら、アイテムボックス内の時間を早めたり遅くしたりする時にゲートがつながっているとおかしなことになる可能性があるからだ。
特に、一日に何千万年もたつような状態の時にゲートをつないでいるといつ大災害が起こったりするかもしれないのだ。
今はまったく加速していないので大丈夫だが、もし時間を加速させたりするようなことがあればゲートは一旦回収してからにしたほうが無難だと思われる。
「翻訳の魔道具があるかはアカシックリングでは調べられないの?」
「そうだね、調べられると思うから調べてみるよ」
アカシックリングを使って翻訳の魔道具がないか調べてみた。
アースツーには、アースツーにある言語同士の翻訳機はあるようだが、未知の言語の翻訳機能はないようだった。
一応未知の言語の翻訳機能がついた魔道具は別の発展した星には存在したが、翻訳という語が悪いのかもしれないと思い、意思疎通の魔道具・機械とかで調べてみるとテレパシーのように意思をやりとりする道具が見つかった。
また、同様の道具は他の文明が発達した星にもあるということが分かった。
次回意思疎通の魔道具をアースツーで手に入れることにしようと思う。
「結論からいうとあったよ。アースツーにもある。翻訳じゃなくて意思疎通の魔道具で調べたら見つかったよ。どんなものかは手に入れてからじゃないとわからないけど、少しはコミュニケーションが改善されると思う」
「良かった!無かったらどうしようかと思ったよ」
「無かったらもっとアイテムボックス内の時間を進めて文明の発展を促すという方法もあるけどね。でも俺としてはもう十分時間が経ってると思ってるからこれ以上進めるつもりは今のところないんだけれど」
前世の宇宙は140億年ぐらい経っていると言われていた。
イスファリア様がくれたワールドシードによるビッグバンの規模が前世と同じぐらいのものであるという保証はないわけで、140億年も経過させるともしかすると宇宙が終わってしまったりする可能性だってあると思う。
宇宙に終わりがあるのかというのも哲学的な問いだが、実際に終わってしまうかはともかく一個しかもらってないワールドシードで試しにやってみる気にはならない。
「時間を進めてしまったらせっかくできた知り合いも一瞬で年をとって亡くなってしまうからね、慎重にもなるよ」
「そっかー、そうだよね。ミリスお嬢様ともせっかく仲良くなったんだし、時間を進めたらもったいないよね」
改めて自分の持っている力のすごさを実感する。
イスファリア様は世界を管理して欲しいと言っていたが、自分には管理どころかそのうちのほんの一部を冒険しているに過ぎない。
アカシックリングの未知の機能に管理するような機能があるのだろうか。
基本的な検索などの使い方は覚えたがこれからもっとアカシックリングを使いこなせるようにならなければならないのかもしれない。
イスファリア様にまた会えるかはわからないが、今度会うことが会ったらそのあたりのことをきいてみたい。
「それじゃ、結論としては半分ぐらいをアセロスフィアの探索にあてて、残り半分で意思疎通の魔道具を手に入れにいく。後はギルドにゲートを設置できるか直談判しにいくってことでいいね」
「いいよー」「おう」
「それじゃ王都セブンスのギルドにまず行こうか」
俺はセブンスのギルドの裏路地にゲートをつないだ。
そしてギルドへと入った。
「すみません、重要な案件があるのですが、ギルド長はいらっしゃいますか」
そういいながら、以前もらったバッジを受付嬢に見せた。
「そのバッジは……少々お待ち頂けますか」
バッジの効果は覿面なようだ。しばらくすると受付嬢が戻ってきた。
「ギルド長がお会いになります。こちらへどうぞ」
受付嬢についていくと、ギルド長の執務室についた。
コンコン、とノックをして受付嬢が執務室に入っていく。
「失礼します。やすらぎの庭のみなさんをお連れしました」
「おお、よく来てくれたな。この間のスタンピードではお世話になったな」
「ハーグさんお久しぶりです。そのスタンピードの件でお話があって来ました」
「まぁまずはお茶でも飲んでいってくれ」
そういってハーグさんは受付嬢に指示してお茶請けとお茶を用意してくれた。
「それで、話とはなんだ?」
「実は、ゲートの魔法なんですが、設置しっ放しにすることが出来ることがわかりまして、各街のギルドと王都のギルドをゲートで結んでしまってはどうかという提案をしにきたんです」
そういうと、ギルド長は少しの間黙って何かを考えているようだった。
「一般開放はしないほうがいいかもしれません。あくまでも緊急時や重要案件の時のみ使うようにするといいのではないかと思ってます。後は、移動先はすべて鍵のかかった部屋にしておくべきだと思います。だから、もしこれが実現するなら各ギルドに鍵付きの部屋があるようにしてもらったほうが安全だと思います。各ギルドでは王都とつなぐだけにして、王都に各ギルドへのゲートをすべて設置するのが良いのではないかと思います」
「なるほど。まず鍵付きの部屋が各ギルド確保できるかは連絡をいれておこう。それから、もしそれが実現したならば、ケイ君の緊急時に輸送役を頼む件も解消せねばならんの」
「それは是非お願いしたいです。俺にあるメリットといえばそれだけですから」
「あいわかった、各ギルドで使用する部屋の目処は数日中につくだろうから、5日後ぐらいにまた来てもらえるかの?その時にゲートを設置してもらおうと思うのじゃが」
「わかりました。では後日また伺いますね」
そうして俺はギルドを辞した。
今後は各ギルドが緊急時により素早く対応できるようになるだろう。
ゲートの悪用を考える輩も出てくるかもしれないが、その辺の対処はギルドの運用に任せよう。




