↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/44

9、ファルナは少しだけ過去を思い出す

ドゴッ☆


大司教猊下は となりに居た護衛の神殿騎士にいきなり顔を殴られてマンガのように吹っ飛びました。


はい、もちろん憑依した幼女ファルナの仕業です。


武器は使いませんよ。


玄関を血で汚すと掃除が大変ですからね。



あーー、気持ち悪い、吐きたいけど後で掃除するの自分達なんだよね。


根性で我慢しないと・・・


突然の事にその場の全員が凍結している。


この神殿騎士は強いなぁ。ハハハ


一発で大司教をノックアウトした。


少数でここまで護衛して来たみたいだし精鋭なんだろうね。


強いって良いなぁ・・・・あぁ男に戻りたい・・。




「き、貴様!。何をしとるかぁ」


おっ、隊長らしい騎士が一番にボケから復活した。


でも 声とは裏腹に狼狽しているのが分かる。


当然だろう。守るべき要人を自分の部下が襲ったのだ。


命に関わる大失態だもんね。



「反逆だ、こいつを取り押さえろ!」


騎士達はとまどっている。


今の今まで苦楽を共に過ごしてきた仲間だったのだろう。


だが上官の命令は絶対だ。とうとう1人の騎士が動いた。



ゴッ☆


隊長?は後ろから部下に殴られて顔面から床に倒れた。


はい、もちろん憑依した幼女ファルナの仕業です。


「貴様、気でも狂ったかぁ!」



そう叫んだのは最初に憑依した騎士だ。ハハハ


憑依されてたから自分が何をしていたか知らないからね。


隊長を襲った騎士を鬼のように糾弾してくる。



その姿に周りの騎士達は驚愕して さらに混乱しているようだ。


その隙にまた他の騎士に乗り移る。



ゴッ☆


そして無防備な最初の騎士を死角から殴りつける。


何回かそれを繰り返すと神殿騎士は大混乱。


全員がお互いに警戒し殴りあう大乱闘になった。




ふふん。これぞファルナ流のメダパ○。


混乱させた後は ファルナに戻って階段の上から高みの見物である。


領主陣営はドン引きで事の成り行きを見ている。




「静まらんかぁ。何をしておる、バカどもがぁ!」


おっ、大司教が復活した。鼻血をたらしながら。


その一括でとりあえず正気を取り戻した騎士達だが、まだお互いに距離をとって警戒している。



「おのれ、神の使者たる我々に邪悪な魔法を使いおって!。ただで済むと思うてか」


その一言で混乱していた神殿騎士達が領主に殺気を向けて来る。


さすが宗教。人を扇動するのが上手いな。ぺっ


どうしても領主達を悪者にしたいらしい。



「そちらこそ何を言っているか!。

他家の玄関で乱闘をしておきながらその態度。恥を知るが良い」


領主側の護衛騎士がしごくもっともな反論をしている。


騎士どうしが睨みあい一触即発の修羅場となった。


本来なら他家で暴力沙汰を起こした彼らは全員捕縛され牢にぶち込まれるはずなんだけど、相手が神殿関係者なので踏み込めないんだろうな。


怒りのままにやってしまったけど、これは領主様の不利になる状況なのでは・・・。


あの大司教がウソを並べれば悪いのは領主側になってしまう。マズイっす。





さてと・・


別に恩とか義理とかに縛られるつもりは無いけど、ここまで来るとこの職場にも色々と愛着も有るし、何より驚愕の情報(しんじつ)が手に入ったし・・・。


あえて修羅場に飛び込みますか。ああ、気持ち悪い・・




トテ、 トテ、 トテ、 トテ、


階段を降り、睨みあっている騎士達の前に出て行く。


幼女なメイドが小さな体で領主たちを守るように立ちふさがる。


近くで大司教を見るとさらに気持ち悪くて吐きそう。


これって無意識の内にトラウマに成ってるのかも。


何事が起こったのかと両陣営が呆気にとられるね。ふふん♪




注目を集めた所で左手を腰に当てて胸を張り、右手で大司教をビシッと指差す


「領主様、こんなウジ虫にお嬢様を渡してはいけません」



シーーン・・・と静かになった。


あまりの言葉に皆の思考回路が働かないようだ。


こんな場面でなければ打ち首になる所業だからね。



「何が 聖女様を迎えに来た ですか。

山賊を使って誘拐するのに失敗したから

今度は脅迫してお嬢様を連れて行く気だっただけです」


ザワッと周りの雰囲気が変わる。


おそらく領主達は気が付いていただろう。


言いたくても言えない事をハッキリと代わりに言ってやっただけだ。


襲撃現場に居た当事者?である自分が言えば信憑性も増すだろう。




「こ、殺せ・・、そのガキを無礼討ちにしろ」


おっ、大司教が復活した。


顔を真っ赤にして屈辱で怒り狂ってる。ははは


ホント、この顔見てると吐きそう・・・。



しかーし。


神殿騎士が動く前に領主側の騎士が守りに付いてくれた。


強い騎士に守られるって何か気分が良いね。


今みたいに非力だとすごく嬉しく感じる。



おっと、現実に戻って言うべき事を言わないと。


「聖眼を持った子供を見つけては手に入れて薬で洗脳してたよね、

自分たちの言いなりになるように。

薬が効かなければ恐怖と暴力で脅迫したし」


「!」



おーおー。大司教サマ 分かりやすく顔に出しちゃって。


証拠が無いけど領主側の人たちも あの顔を見れば 信じてくれるだろう。



「くっ、ここの使用人は頭がおかしいのか?。

我が教団を侮辱しおって異端審問に・・・」


大司教の言葉を遮(さえぎ)って さらに大きな声で一番のスキャンダルを暴露してやる。


「暴力を使っても反抗する子供には・・いかがわしい事をして心を折るよね。

忘れたの?。私の体も色々とされたんだけど、そこに居るガビエル大司教サマに」


「なっ!。貴様、何を言っているかぁ!」


場の空気が変わった。


神殿騎士からも視線を向けられて大いにうろたえるガビエル大司教。



うは、背中からもの凄い殺気を感じる。


これは領主様が怒り狂っているのだろう。


自分の幼い娘もそうなった可能性が有るんだしね。怒るのも当然だ。


さて、最後に証拠を突きつけてトドメを刺しますか・・。



「まだ気が付かないの?、大司教サマ。

何をしても反抗する子供に最後は何をしたのかな?。

私は聖眼だった この片目を抉(えぐ)り取られたよ。ほらっ」


「っ!!。生きていたのか・・っ」


はい、言質をとりました。


いまさら失言に気が付いても遅いって。



醜いから布で眼帯を作って隠していたんだけど、

それを取って傷跡を見せたら思い出したようだね。



自分も少し前まで忘れていたけどね。


皮肉な事に 大司教に憑依して奴の情報を覗いたおかげで自分の過去を少しだけ思い出してしまった。


私はどこかから攫(さら)われて来た事。


強固な意志が働いて絶対に他人に服従しなかった事。


目を抉られ瀕死の重傷。 どうせ死ぬだろうと路地裏に捨てられた事。


それもわざわざご丁寧に隣国のこの街の路地裏に。



それでも生き残ったけど浮浪児の過酷な生活で体より先に心が死んだ。


そして前世の自分の意識が表に出てきたらしい。


なんか 納得しちゃったよ。



「当家の使用人は狂ってなどいませんな。皆が私の誇りだ。

さて、狂っているのはどっちだと思う?ヨーゼフ」


「まことに・・・幼い聖女を虐待して殺そうとするとは・・。

異端審問にかけられるべきなのは当然そのような魔物であるべきです。

神殿騎士の皆さんもそうは思いませんでしょうか?」


問いかけられた神殿騎士は何も言えない。言えるはずが無い。


状況からそれが真実だと思えても 立場的に批判など出来ないのだから。



「か、帰るぞ。

あのような異端者を使用人にしているのだ、必ず天誅が下るであろう」


大司教一行は来た時とは逆にそそくさと逃げるように出て行った。


けっ、ざまぁ。少しだけスッキリした。吐き気も何とか我慢できたよ。


 


異端、異端とうるさい奴だった。


そう言えば地球でも同じような狂信者が居るから不思議でもないか。


自分たちに都合の悪い事を言う人間に異端だの冒瀆(ぼうとく)だのと有りもしない罪を擦(なす)り付けて脅迫するんだよな。


彼らは自分たちの行いが独裁者ヒットラーに媚(こび)を売るゲシュタポみたいだと言う事に気が付かないのかね。


そういえば神様って独裁者そのものだよな。


自分だけが唯一偉くて 全てを支配しているんだって言ってる所とか。


自分に媚びへつらわない人間は大洪水を起こして皆殺しにするとか、

ガス室で大量殺人したナチスより遥かに酷いだろう。


同じ事してるのにヒットラーだけ悪魔とはこれいかに。



そもそも戦争中に大量殺人するなんて世界中でしてるじゃん。


それが良い事だとは間違っても言わんけど。


アメリカが日本中を大空襲して老人や女子供を無差別に大量殺人したのと何処が違うのかね。


《生きたまま毒ガスで殺される》のと《 生きたまま焼き殺される》のが違うとは言わせないよ。


と、まぁ異世界で地球の矛盾に気が付くとは思わなかった。


そう言えば地球の一部の宗教はヒットラーを蛇蝎のごとく嫌っていたな。


きっと自分達の真実を見せ付けられるから消えて欲しいのだろう。




「もがっ!」


突然視界が遮られて呼吸が出来ない。・・・殺されるぅ?


「ファルナ、可哀想に。今まで辛かったでしょう」


良かった・・、ハグされただけらしい。


この声はメイドのシャルナさんだね。


泣くのはいいけど呼吸させてくれ。


(ちなみに ファルナとシャルナで名前が似てるのは

この世界では珍しく無いのです。

日本で言えば女子に○○子と名付けるみたいなものです。

いわゆるモブです。一般人の普通なんです。)



何とか窒息死から解放されて息をつくと周りに皆が集まっていた。


「ファルナ、ご苦労であった」


「ほぇ?」


領主のオッサンが凄い優しい顔をしている。


彼の立場からすれば今の言葉は使用人に対する最大級の褒め言葉なのだろう。


「ファルナ、貴方のおかげでセルシニアお嬢様は助かりました。

二度とあのような者は近づけない事になるでしょう。

辛い思い出だったでしょうに、良くぞあの者の正体を教えてくれました。

感謝いたします」


今度はヨーゼフさんが悲しそうに笑いながら褒めている。


あー・・、そうだね。


普通の少女からすれば自分が乱暴された話なんて 《《忘れてしまいたい悪夢》》だし、

まして大勢の前で告白するなんて自殺ものの話だよね。



自分の場合は割と平気なんだ。


他人の記録映像を見ているようなもので、記憶は有るけど実感が無いからそこまで悲惨なものじゃ無い。吐きそうなほど気持ち悪かったけどね。


たぶん 心が男子だから余計に自分の悲劇に思えないのだろう。



これはアレだ、

お嬢様を守る為に自らの悲惨な過去をぶちまけた勇者として見られてるわけだね。


宗教に対する鬱憤(うっぷん)を晴らしただけで、

ある意味 自分の欲望に忠実だっただけだから誤解なんだけど。



・・・まぁ良いか。


得体が知れない便利な子供的の立場だった自分。


今は皆の目が優しい・・・何か本当の仲間として見られてる気がする。



あー・・でも、しがらみが強くなっていくのも困るな。


何時かここを出て行く予定だし・・。


あれっ、でも生きて行く為の居場所ならここでも良いのかも。



それより今は言わなくてはならない事が有るのだった。


周りの大人たちは戦勝気分で盛り上がってるけど・・・それはそれ、これはこれ。


「領主様!、急いで戦(いくさ)の準備をしてください」


「ん?、急にどうしたんだね」


「となりの国の軍隊が攻めて来ます。ガビエル大司教はここを侵略する前に

セルシニアお嬢様を手に入れようとしていただけです。最初から国とグルなんです」


さすがの領主様も幼女からこんな話を聞かされて直ぐに信じることは無いか。


まぁ、それが普通だよね。



憑依した神殿騎士から手に入れた極秘情報だ。


あのゴミ男が戻り次第攻撃が始まるように準備がなされている。


もしも戦いに負けたら自分は絶対に口封じのために殺される。


当然 憑依して逃げるけど全ての神殿から指名手配とかされそうだ。


選択肢は無かったよ。



戦いに勝ってもらう為には早く領主様を口説かなくてはならない。


まるで赤壁での孔明さんの気分だ。(知識のネタはマンガでした)



「護衛の神殿騎士さんの数が変に多かったですよね。

彼らが帰りに国境の砦の門を壊したら・・どうなると思いますか?」


「!。それは・・

だが 何故そんな事が言えるのかね?」


「私の失った聖眼の働きは陰謀を見抜くものでした。

思い出したんです、目を失う時の事を」


この話の半分はウソだ。


攻撃計画も砦の門を壊す計画も今回憑依した時に知った。


だけど この異常な憑依能力を知られる訳にはいかないから別の理由を付けるしか

説明のしようがない。



しかし、失った聖眼の能力は本当だ。


陰謀を見抜く目、その利用価値は計り知れないだろう。


自分を洗脳してその力を悪用する陰謀が見えていたから以前の自分は必死で抵抗した。


「それほど周到に娘を狙っていたのか!。ぬううっ、

わかった、全軍に召集を賭けよう。砦にも早馬を出せ」


「御館様、よろしいのですか?」


「ヨーゼフ、もしも これが間違いや勘違いでも兵達には良き演習となろう。

何の不都合も無いではないか。

むしろ この情報を無視して何の守護役であろうか」


「かしこまりましてございます」


居合わせた騎士が伝令と成って慌しく走り去っていく。


早馬で砦に知らせれば常駐の騎士だけでも警戒する事は可能らしい。



ただなぁ・・相手の攻めて来る兵力が5千人なんだよ。


かなり本気で侵略する気のようだね。


いきなり集めた兵力で凌げるかどうか・・。


戦国シュミレーションゲームで遊んだ事は有るけど実際の戦いの事は分からない。


でも、もしも負けて一番悲惨な目に会うのは自分なのが決定している。



だから、イレギュラー(想定外)は必要なんだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。