表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生してバニーガールを流行らせます  作者: 江保場狂壱
第9章 シュピーゲル領での戦い
60/114

第58話 シュピーゲル領がえらいことになってます

「なんだこりゃ……」


 私は茫然としてしまった。まぼろしネズミも同様である。ヴォルケとグレーテルはすごいやと感心し、エリザーベトは無関心だった。

 その理由はシュピーゲル領の城である。町が城壁に囲まれた典型的な城塞都市だ。

 中世ヨーロッパ風であるが、衛生面は問題ないといわれている。これはマギーの言葉だ。


 で、今の風景は異常であった。城門は巨大な氷に覆われており、札幌の雪まつりの氷雪像並の迫力がある。

 いくら雪国でもここまで凍るわけがない。さらに城の外には旅人らしい通行人も氷漬けになっていた。

 その様子を眺めていると、表情は平穏そのもので、自分の身に何が起きたか、理解していない様子である。


「いったいどういうことかしら? まったく理解できないわね」

「おっ、俺様は何も知らないぞ!!」

「別にあなたのせいだとは思ってません。そもそもあなたは何も言ってないでしょう。大抵、頭の中の指令を受けてのことでしょうね」


 まぼろしネズミは安堵した様子であった。彼にここまでの悪事などできっこないことを知っている。

 ヴォルケは子分として、親分を慰めるのであった。


「おや、あなた方は旅の方ですかな?」


 そこに後ろから声がかかった。振り向くとそこにはひげもじゃの子供が立っている。

 正確にはドワーフという種族だ。身長は幼稚園児並に低いが、丸々と太った身体は肉が膨れ上がっていた。

 着ている衣装はきっちりとした貴族の正装である。一目で彼は高貴な人種であると理解した。


「お初にお目にかかります。私はエアツェールング王国に料理ギルドのマスターを務めている、ハーゼ男爵と申します」

「おお、あなたがハーゼ殿でしたか。私はシュピーゲル侯爵、ビスマルク・ド・シュピーゲル13世でございます。うわさ通りのお姿ですね。一瞬、魔物のバニーガールと思って、剣を抜きそうになりました」


 そう言ってビスマルク卿は腰に佩いた剣から手を放し、ぺこりと頭を下げた。ごつい体つきだが礼儀正しさがにじみ出ている。育ちの良さがはっきりわかるね。

 マギーの弟だが、彼女の血を分けたといっても納得できる。彼は先祖返りでドワーフに近い容姿だが、領内では大変な人気があるそうだ。

 それにここから離れた鉱山では、あらくれの鉱山夫たちをあごでこき使っているという。肩書は伊達ではないようである。

 姉と違い、まともな性格なので、私の中の好感度は高い。


「あら、ビスマルクじゃございませんか。あいかわらずちんちくりんでございますわね!」

「おや、その口調はグレーテルさまですね。姉上の手紙で知りましたが、なんとも御いたわしい姿になられましたな」

「おーっほっほっほ! わが身がぬいぐるみになっても、その身に宿る魂は不変でございますわよ。見た目に左右されるなど、まだまだですわね!」


 グレーテルは高圧な態度であった。いくら姫とはいえあんまりな態度だが、ビスマルク卿は慣れたもので、暖簾に腕押し、糠に釘である。


「ほう、エリザーベト殿も一緒でしたか。ハーゼ殿と同じ衣装を身に包んでおりますが、あなたも魔物の気分を味わっておるのですかな?」

「そんなわけないでしょう!! あなたはこの衣装のすばらしさがまったく理解できておりません!! このうさ耳は大地の声を拾い上げ、ぱっくり開いた背中で大地の熱を感じ取る。そしてこの網タイツが大地の気を吸い取るという、偉大なる衣装なのですよ!!」

「……魔物扱いは気にしないのですか?」

「はぁ、それが何か? 私にとってまだ見ぬ土や石と巡り合えることが重要なのです。そのためなら魔物に魂を売っても問題ありませんわ」


 エリザーベトの剣幕に、ビスマルク卿は呆れていた。彼女も幼馴染だが、ここまで変人になるなど夢にも思っていない様子である。

 いや、土のために魂を売るのはどうかと思うな。でもマニアにとって大金を払うのは抵抗がないのだろう。

 何百万もする等身大フィギュアが売れるのも、そういった人種のおかげだろうな。


「……ビスマルク卿、この現状はどういうわけでございましょうか?」

「それについては場所を変えましょう。今、ここで起きているすべてをお話します」


 ☆


 私たちはビスマルク卿に案内され、城の外にある小屋へ連れてこられた。そこには数名の使用人や騎士たちが忙しなく働いている。

 どうやら彼らは大惨事の生き残りのようであった。


 私たちは小屋の中に案内された。ヴォルケは身体が大きいので中には入れなかったが、寒さは問題ない。

 代わりにビスマルク卿は馬小屋に連れて行き、風を防げるよう毛布で覆ってくれた。

 小屋の中はなかなか広く、台所や寝室、居間が充実している。なんでも見張りの兵士のために作られたものらしいが、今はビスマルク卿が主となっていた。


「わずかな食糧を私のために贅を尽くしてくれる……。事が終われば彼らに相応の気持ちを答えましょう」

「立派ですわ! わたくしたちを支えてくれるのは、名もなき大勢の庶民たちですわ! 彼らに養ってもらっているのですから、その期待以上に応えなくてはなりませんわね!!」


 グレーテルも賛同している。歳は若いが貴族としての自覚が抜群だ。シュピーゲル領はこの人がいれば問題ない。

 さて本題に入る。


 なんでも三日前に突如都市が氷漬けになったそうだ。ビスマルク卿はちょうど猟に出ており、難を逃れたという。

 都市の惨状に対し、騎士たちに檄を飛ばすと、突如空に巨大な女の顔が浮かんだ。

 まるでカーテンに鏡の光が当てられたような感じだったという。


『くえーちょんちょんちょん!! わらわはライチュっち! お前たち虫けらがあまりにも目障りっち! なので、氷漬けにしてやるっち! ここだけでなく、世界中から生きとし生けるものは永久に氷像に変えてやるっち!!』


 なんとも子供みたいな主張である。しかもしゃべり方がなんか、無理やりキャラ作っている感びんびんだ。


「伝説のヴァイスシュネーの初代女王、ライチュは人間を憎んでいます。なぜ沈黙を守ってきた彼女が凶行を行ったかはわかりません。ですが、放置すれば被害は我が領土だけでなく、世界全体に広がってしまいます。我が忠誠を誓うエアツェールング王国はもちろんのこと、ドクメント帝国も滅んでしまうでしょう。ハーゼ殿、この件は家名を継ぐだけではありません、あなたが世界を救う救世主となるのです」

「へー、そうなんだ。すごいねー」


 まぼろしネズミは棒読み口調で褒めた。さすがに魔物でもスケールが大きすぎて、ついていけないのだろう。元々ガキ大将みたいな性格だったから、世界の命運をかける話に巻き込まれて、可哀想だと思った。


「ライチュの本拠地である天空城は、ここから遥か北に位置するウソップ山に、その入り口があります。ですがそこには伝説の魔人、デーモンスリーたちが待ち構えているとのことです」

「デーモンスリーとはどういった魔人でしょうか?」

「名前とぼんやりとした容姿しかわかりません。まずは巨人のジルコニア・アイ。三本の腕に三つの顔を持つ大猿、七色なないろデビル。そしてケンタウロスの絶交仮面ぜっこうかめんの三匹です」


 なんだろう。全員、川内康範かわうち こうはん先生原作の匂いがするぞ。

 それにデーモンスリーが、昔の外国アニメのノリに似ているな。

 するとまぼろしネズミの心臓音が高い音を立てた。どうやら彼と関わりがあるようだ。何を要求するかはわからないけど、可能な限り叶えてあげよう。

デーモンスリーのモデルは、ドラクエ2の悪霊の神々です。あとは海外アニメのスーパースリーです。


ジルコニア・アイは特撮ダイヤモンド・アイとアトラス。

七色デビルは七色仮面とバズズ。

絶交仮面は月光仮面でベリアルをイメージしております。

三作品とも、川内康範先生原作です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ