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異世界転生してバニーガールを流行らせます  作者: 江保場狂壱
第7章 ヘンゼル国王との出会い
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第47話 胸を大きくする食べ物

「ふむ、少々着心地が悪いですわね……」


 グレーテルが愚痴をこぼした。金髪で広いおでこがかわいらしい。今彼女は料理ギルド内にある着替え室で、バニースーツを着ているのだ。

 着ているスーツは鮮やかな赤色である。これは私が着ているものより、数段落ちるが、上質な魔物の皮で作られているそうだ。

 裁縫ギルドが、ブラックローズの葉っぱよりも弱く、吸血蝶や綿坊主より強い素材を追求した結果らしい。回収人たちは大怪我をした者も多いようだが、自分たちが望んだことなので、胸を叩いて誇っているそうだ。


 ちなみにグレーテル姫は貧乳である。無論、それなりに膨らんでいるが、一般的な女性と比べると、かなり小さい。

 体つきは鍛えているのが、小柄ではあるが生命力がパンパンにあふれており、貧弱さを感じないね。

 お姫さまだけど、武芸に力を入れているそうだ。相手はメイドのゴッルという子で、マッケンゼン氏の娘であり、トビーアス将軍の妹だという。


 グレーテルは網タイツ、私が履いているより、網目は荒いものを穿いていた。下着を付けず、直に穿くのが気持ち悪いらしい。

 彼女は自分自身で身に付けている。王族というのは常に世話役に着替えさせるのが普通のはずだ。これは警護のためでもあるという。

 もっとも彼女は城では着替えを手伝わせるが、外に出たら自分で着替えるという。今回みたいに馭者やなんやらに化けるためである。


 彼女の脚はまるでカモシカのように太く、それでいてしなやかな感じがした。

 それが網タイツに包まれているのである。なんとなく獣の脚を連想してしまう。

 私が微笑ましく見ていると、彼女はぎろっとにらんだ。どうやら考えていることがばれているようである。


 バニースーツも似合っていた。確かに胸の部分は寂しいが、その分臀部が素晴らしい。

 何より小ぶりできゅっと引き締まっているのが、映えているのだ。

 腰も括れており、美しさと格好良さが調和を保っていると思う。


「ところでこれらの小物は必要なのですか?」


 グレーテルが質問した。それは蝶ネクタイとカフスのことである。

 確かに邪魔に思えるかもしれない。しかし、バニーガールがバニーガールであるためには、それらの小物は絶対に外せないのだ。

 ためしに私はそれらをすべて外してみた。首元と両手首がすーすーしている。どこか物足りなさを感じた。


「どうですか姫さま。蝶ネクタイとカフスがどれほどのものか、ご理解いただけましたか?」

「……まったくだわ。無関係と思っていたけれど、今のあなたは先ほどの魅力が感じられない。バニーガールというより、うさ耳魔女に近いわね。それとわたくしのことは姫さまではなく、グレーテルと呼び捨てしなさい!」


 グレーテルは納得してくれたようである。隣にいるマギーを始めとした女性職員たちは緊張していた。

 全員バニースーツである。マギーは平然としていたが、他の職員たちは恥ずかしそうで、顔が赤くなりすぎて爆発しそうであった。

 説明し忘れたが、この部屋には彼女たちがいたのだ。それほどグレーテルのバニースーツは魅力的だったのである。


「さて最後はうさ耳バンドですが、こちらはどうしましょうか?」

「決まっているでしょう。このままではわたくしがグレーテル姫とばれてしまいます。なのでこちらを使いましょう」


 グレーテルは両手で頭を押さえると、すぽんと髪の毛を取り外した。彼女の金髪はかつらなのである。

 代わりに赤毛のボブカットのかつらを用意した。それに赤いうさ耳バンドを身に付ける。

 不思議にぴったりと似合っていた。素材がいいと髪の色が変わっても問題ないようである。


「すごいでしょう? これはブリュンヒルドが自分の髪の毛を伸ばして、わたくしのために作ってくれたのですわよ。忠臣を持ってわたくしは嬉しいですわね」

「……妹がそんなことを。今度お説教しなくてはなりませんね」


 マギーは苦虫を噛み潰したようにつぶやいた。私は彼女の妹に出会ったことはないが、ご愁傷様ですとしか言えない。


 それはそうとグレーテルの着替えは終わった。全身を見てみてると、胸以外は完璧と言えよう。

 バニーガールには恥じらいと気品が入り混じることで、完成するものと思っている。

 彼女は胸がないことを気にしており、しきりに右手で胸を押さえていた。

 うん、気高さの中にある恥じらいこそが、バニーガールの魅力を引き立たせるといって過言ではないだろう。


「素晴らしいですわ! 見事なまでの調和! 頬を染める恥じらいの赤! これこそ理想のバニーガールと言えるでしょう!! 私は感服いたしましたわ!!」

「そっ、そうかしら? というか嫌味ではございませんこと? わたくしにはあなたみたいに立派なメロンはふたつもついておりませんことよ」

「関係ありません。胸など飾りです。というか重くて肩がこるだけですわね」


 私が興奮して口走ると、一瞬部屋の温度が熱くなった。まるで炎の魔法が発動したみたいである。

 見ると女性職員たちが血の涙を流し、歯ぎしりしていた。胸を見ると、そこにはグレーテルと同じくらいのものしかない。

 私は地雷を踏んでしまったようである。


「……マスター。この世には持つ者と持たざる者がおります。あなたは持たざる者の気持ちを全く理解しておりません。ですから口が軽く、その言葉の矢で容赦なく儚い者の心を射貫くのです」

「……そのようね。私は自分の持つ知識を生かし、弱者を救っていたつもりだったわ。でもそれは自己満足にすぎなかった。おわびに胸を大きく成長させる食べ物をみなさんに紹介したいと思います」


 そう言った途端、グレーテルと職員たちの目が輝いた。それほどバストアップを望んでいたのか!

 マギーの方を向くと、彼女は無言でうなずいた。それこそが私にしかできない謝罪だと言わんばかりである。


「……まず大豆ですね。これは大豆イソフラボンといい、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをし、乳腺細胞を増やしバストの形成を促がすそうです」


 この世界にも大豆があるので、彼女たちは理解してくれている。


「エストロゲンてなんですか?」

「エストロゲンとは女性の卵巣でつくられる女性ホルモンで、卵胞ホルモンと呼ばれてますね。 肌をつややかにし、髪の毛を豊かにし、張りのある乳房にするなど身体を女性らしくしてくれるそうですよ」


 職員たちはおろか、グレーテルも大喜びだ。しかしただ大豆を食べればいいわけではない。

 大豆は豆腐にきなこ、納豆に味噌汁、豆乳など色々作れるのだ。それらの製造方法は神の知識で可能である。

 きなこは大豆をってひいた粉だ。砂糖をまぜて餅・団子などにまぶしたり、製菓原料にもできる。これは普通に作れるな。パンに振りかけてもいけるらしい。


 納豆はよく蒸した大豆に納豆菌を加え、適温の中で発酵させた食品だ。粘って糸を引くので糸引き納豆ともいい、関東以北でよく用いるという。悪臭がするし、童話風の世界に合わないと思うので、これは私だけしか食べられないな。もっとも胸のためなら我慢して食べる人はいるそうだ。


 味噌は大豆を蒸してつき砕き、こうじと塩を加えて発酵させたものである。

原料の米麹・麦麹・豆麹の別により米味噌・麦味噌・豆味噌などがあるのだ。

色から赤味噌・白味噌など、味から甘味噌・辛味噌などに分けられるという。

 私の家では白味噌で味噌汁を作っていたが、地方によっては様々な調理法がある。味噌汁で地域性がはっきりするバリエーションの高い調味料だ。


 豆腐は大豆の加工食品である。水に浸した大豆を砕いて煮た汁を布でこして豆乳を作り、苦汁にがりなどを加えて固まらせたものだ。木綿豆腐・絹ごし豆腐など様々である。

 それに豆腐で油揚げやがんもどきも作れるし、副産物のおからも栄養価がばっちりだ。


 ただ豆腐を作るにはきれいな水が湧くところが理想的だな。その事を口にすると、マギーが答えた。


「それならば私の故郷、シュピーゲル領が最適ですね。大豆も取れますし、湧き水もエアツェールング王国一と呼ばれております」


 なるほど、今度シュピーゲル領に行くときに、視察してみよう。できれば豆腐を作る施設も作っておきたいな。


「それよりも! 大豆の他にどんな食べ物が効果的なのかしら!!」


 グレーテルと職員たちが詰め寄った。やれやれ、女性の胸はどの世界でも共通の悩みのようである。

大豆は筋肉にも役立ちます。

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