第93話 重婚ドレスの二十四時間妻シフトと、色気ゼロの人外求愛ダンス
純白のウェディングドレスを完璧に着こなした一族の最高幹部5頭(美少女形態)による、お互いの唇を濃厚に重ね合わせる『ドレス姿のトカゲ娘同士の間接キス魔力チャージ大騒ぎ』が、新郎である俺(人間姿)の真っ正面から全力で執行し終えた直後。
濃厚な口移しチャージによって擬態魔法のバッテリーを最大出力にまで大復活させ、頬を真っ赤に染めてトロンと悶絶しているメスどもを代表し、序列第1位の本妻(側近)エルシエラが、瞳をこれ以上ないほどお堅い真面目な顔のままドヤ顔で語りかけてきたのだった。
「マモル様♡ わたくしたちのこの擬態魔法をよくご覧になってくださいまし♡マモル様はトカゲ姿のわたくしたちよりも、この人間の姿の我々のほうがお好みな性質なのでしょう?」
「……まぁ、そりゃあガチの巨大トカゲ姿の怪獣に自室のベッドを満員御礼にされるよりは、人間の女の子の姿のほうが、元日本人高校生として精神的にはマシだけどさ……(俺の人間姿の顔面滝の汗)」
俺がのんきに引きつった笑顔で頷くと、エルシエラはこれ以上ないほど最もらしい理詰めを提示してきたのだった。
「ならばよくお考えくださいまし、マモル様。今ここに、マモル様と婚姻確定システムを完了させた妻は『5頭』おりますわ♡つまり、わたくし以外の4頭(ゼフィラ、ガルダ、デメト、ネレイダ)が一般トカゲ娘の3時間リミットを応用して3時間交代で人間の姿に変身し、残りの時間を12時間擬態のわたくしが人間の姿に変身すれば――【『1日24時間、ほぼずーーーっと人間の姿の美しい妻がマモル様の真横に常駐おもてなしし続ける無敵のローテーションシフト』】がここに完全大確定されるのですよ♡」
俺は人間姿のまま顔面を蒼白にさせて大絶叫のツッコミをブッ放した。
「確かに算数の連立方程式としてはそうだけどさァァァッッッ!!! お前ら5頭のヤンデレ怪獣に24時間体制で交代でお留守番監視されるなんて、お前らの本来の正体(怪獣姿)を熟知している常識人の俺からすれば、ただの逃げ場のない年中無休の地獄の強制労働じゃねぇか!!!」
「マモル様、正体のことなんて脳内上書きして忘れてしまえばいいのですよ。よく見てくださいまし、ウチの一族の娘たちはどの娘も人間の国なら国宝級の絶世の美女ばかりじゃありませんこと♡」
「だから!!! 俺は前世から大の爬虫類嫌いなの!!! 無理なもんは無理!!!」
「あら、そんなお堅い理性の防衛線を張って、素直になってくださいましマモル様♡さっきからわたくしたちのこの純白のドレスの胸元を、これ以上ないほど激しくチラチラと見ていらっしゃるでしょう?わたくしたちのこの豊かなオブジェクトに、欲情していらっしゃる証拠じゃありませんこと♡」
「み、み、見てないよォォォ!!!(※顔面真っ赤にして大慌てで平謝りディフェンス)」
エルシエラ様はお堅いお上品令嬢の顔のまま、フフッと妖艶に微笑んだ。
「そういう視線って、男性が思っているよりも女性は一瞬で看破できるものなのですよ、旦那様♡」
俺は大慌てで、エルシエラの後ろに控えている他の4頭のドレス美少女たちへと網膜を向けたのだったが――次の瞬間、俺のチェリー高校生としての理性の防衛線は完璧にロストをキメた。
風のツンデレ・ゼフィラも、火のギャル・ガルダも、土のお姉様デメトも、水のネレイダちゃんも、俺と目が合った瞬間にこれ以上ないほど嬉しそうに顔を真っ赤にさせて照れながら、その純白のドレスの胸元を隠すどころか、【どいつもこいつもドヤ顔で俺の正面に向けて『グイッと胸元を豪快に突き出してアピールしてくる人外最大露出バフ』】を臨界点突破で大点火させてきたのである!!!
(ひえええええええッ!!! 隠せよ!!!人間の普通の女の子なら『何見てんのよ変態!』って往復ビンタツッコミが飛んでくるところなのに、何でトカゲ娘どもは『もっと直撃で見ていいっすよ♡』って胸を突き出してくるんだよ、恥ずかしくて男の常識ボキャブラリーが1文字も出てこねぇわ!!!)
俺があまりのカルチャーショックで顔面から滝汗を流して言葉を失ってフリーズしていると、エルシエラは「さて、マモル様は人間の姿のわたくしたちがお好きですから、もう夜のベッドの上まで待てませんわね♡このまま大騒ぎの式は中座させていただきましょう♡」と、4頭の怪獣娘たちを笑顔で手招きして呼び寄せたのだった。
「マモル様、一刻の猶予もありませんわ。さっそくマモル様の部屋で始めましょう」
「は、は、始めるって……一体何を始めるんだよ……(※嫌な予感しかしない俺の人間姿)」
エルシエラはこれ以上ないほど清廉潔白なお堅い理詰めのドヤ顔のまま、淡々と言い放った。
「初夜ですわ♡」
「するかバカヤローォォォオオオ!!!」
俺は広場の真ん中で大暴れして絶叫の咆哮をブッ放した。
「そもそもなぁ!!! 真っ昼間に結婚式を途中でバックレてする交尾のことを、初夜とは絶対に呼ばねぇんだよ!!!(※常識人としての正論)」
「あら、ならばマモル様が今すぐ交尾したくなるようにしてあげますわね♡」
「や、やめろッ!!! 何をする気だッ!!!」
俺が顔面を蒼白にさせてガタガタとマッハの速度で痙攣していると、エルシエラが4頭の怪獣美少女たちに向けて「パチンッ!」と優雅に指を鳴らして合図を送った。
――その直後だった。
純白のウェディングドレスを完璧に着こなした国宝級の美少女5頭が、これ以上ないほど至高の真面目な顔のまま――リザードマン一族に太古の昔から伝わる、独特の野生の求愛ダンス(※色気ゼロ)』を、広場のど真ん中で全力で踊り狂い始めたのである!!!
ドレス姿のまま、首の骨が大破するレベルで頭をブンブンブンブンブンブンッ!!!と激しく振り回し、同時に、片方の腕だけをまるで水の中の平泳ぎのように、虚空に向かってぬる〜〜〜ん……ぬる〜〜〜ん……と、これ以上ないほど大真面目な顔のまま回し続け、広場の地面を地鳴りでへし折っている怪獣美少女5頭の大騒ぎ。
「………………。」
俺の18歳のチェリーな脳内システムが、一瞬にして北極の氷山レベルにスーッと冷静に強制冷却(初期化)をキメた。
俺からすれば、お色気もクソも、野生の生物的なホラーと不衛生な精神的即死バグしか存在しない、ただの不気味なトカゲの求愛ダンスそのものだった。
俺は光を完全に消滅させたバキバキの死んだ魚の目のまま、頭をブンブン振り回しながら片手をぬるぬる平泳ぎさせている純白ドレスのエルシエラたちの前で、スッと静かに踵を返すと、常識人高校生としてのこれ以上ないほど冷静でフラットな声を虚空に遺した。
「あ、じゃあ俺、人間の村へお出かけに行ってくるね! バイバイ!♡」
「「「「「フシュ、フシュゥゥゥンッ!!!(※頭をブンブン平泳ぎぬるぬる回しながら、王としての最強の野生のクールな退散っぷりに、最高にガチ恋バフが最大風速で臨界点突破して身悶えしている、誰もマモルを静止できない求愛ダンス中のヤンデレトカゲ娘5頭の咆哮)」」」」」
俺は踊り狂っている純白ウエディングドレスの怪獣5頭と、結婚式場のすべてを完璧にその場に放置(完全バックレ)すると、お昼の街道をマッハの隠密ダッシュで、人間の国の村のカフェへ向けて全力で逃亡していったのだった!!!
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(次回更新:来週土曜日18時40分!)




