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第87話 二度目のスタンピード大誤解と、無敵の擬態おやすみ口づけ

村の境界線の森の向こうから「ドゴォォォォォン!!!(※新装備アリア ✕ リザおばあちゃんの試運転による国家壊滅級の爆発)」という凄まじい大戦争の地鳴りを聞き、大急ぎで気絶したアリアちゃん(ミイラ姿)を大集落(トカゲ村)の治療院のベッドへと搬送した、あの怒涛の金曜日の昼下がりから地続きとなる、その日の夕方のことだ。


大集落の治療院では、リザードマン一族が誇る驚異的な野生の治癒魔法を受けたアリアちゃんが、いつも顔面や全身にぐるぐる巻きにしていたあの哀れな包帯が綺麗さっぱりと取れるほどに、これ以上ないほどピチピチな健康でツルツルな大賢者美少女姿へと爆速で大復活を遂げていた。


「マモル様……。ボクをリザさんの試運転から命がけでお助けしていただいただけでなく、一族の最高級の治療までしていただき、本当にありがとうございます……っ」


アリアちゃんは包帯の取れたルビーの瞳をキラキラと潤ませながら、ベッドの前の俺(人間姿)に向けて、ペコリとお堅く頭を下げて感謝を告げてきた。


「あ、うん! アリアちゃん、もう身体のあちこちは大丈夫?――そうだ、これ、さっき、キアラちゃんのために不眠不休で最高にカチカチな特注黒ウロコ装備(杖&防具)を24時間で完成させて届けてくれた、正式な【成功報酬(お礼)】ね!♡」


俺は人間の服のポケットに大切に忍ばせておいた、1枚100万ゴールド(日本円で2億円くらい)の価値を持つ漆黒の脱皮ウロコを、ジャラララッ!!!と、手のひらの上に追加でたっぷり5枚ドロップして手渡した。


「ひ、ひぃぃぃ!!! 追加でたっぷり5枚分のマモル様の素材キターーーッ!!!

ありがたくボクのマジックバッグの中に格納させていただきますわァァァーーーッ!!!(※アリアちゃんの目の色が一瞬で強欲マネー瞳に大点火)」


「あはは、もう元気そうだね。じゃあ、キアラちゃんと夜デートのために、人間の村に戻ろうか」


俺とアリアちゃんの2人は、これ以上ないほど上機嫌なステップで街道をマッハの速度で激走し、夕暮れの人間の村の入り口へと到着したのだった。



――だが。

人間の村の境界線の門をくぐった瞬間、俺はこれまでの平和なタイムラインを100%完全パージする大音量の緊急警報の地鳴りを網膜に浴びた。


ウゥゥゥゥウウウ――――ッ!!! ウゥゥゥゥウウウ――――ッ!!!(※村中に響き渡る、守備隊の緊急防衛サイレン)


村の広場の真ん中では、この前リザさんと俺が森の奥でタイマンをやらかした時と120%同じ、巨大な丸太バリケードがドガガガガと完全封鎖で組み立てられ、防衛隊の兵士たちが目をギラつかせて大混乱の緊急事態に殺気立っていたのだった。


アリアちゃんは、その光景を魔力感知した瞬間に全て(※さっきの自分たちのイキり試運転大爆破のせいで村が大混乱している事実)を看破し、包帯の取れた顔面からそれこそカフェのパスタ皿を埋め尽くすレベルの滝のような冷や汗を分厚く噴き出した。


「マモルさんッ!!! 師匠ッッッ!!! 無事だったのですわねマモルさんーーーッ!!!♡(※カチカチの黒ウロコ胸当てをガチガチ鳴らしながら特大の大進撃でかけよってくるキアラ)」

「キ、キアラちゃん!? 一体何があったのォォォ!?区域(※俺の人間姿の顔面滝の汗)」


俺が引きつった笑顔で問い詰めると、キアラちゃんの後ろから、デスクの上の『災害報告書』の山に塗れ、目の下に真っ黒なクマを作ったアイスブルーの髪の美人女隊長タイアが、胸ポケットから胃薬をバリバリと噛み砕きながらぬっと現れた。


「はぁ……胃が痛てぇ……。マモルくん、アリア、聞いてくれ。さっきの昼過ぎに、またしても魔の森の奥の境界線付近で、国家壊滅級の暗黒重力破壊魔法が連続大爆発したっていう最悪の地震ログが防衛線デスクにドロップされたんだ。今度こそ、今度こそ間違いなく『本物のモンスタースタンピード』の前兆が起きたんだよ胃が痛てぇええ!!!」


「そ、そうなんだ……(※俺の人間姿の全身のウロコが一瞬にして逆立つエラー音)」


タイア隊長が夜通しバリケードを組んで胃をキリキリ痛めていたあの最大災害ログ、他でもないさっき新装備で調子に乗ったアリアちゃんが、還暦おばあちゃんリザさんに『アタシの新しいローブの試運転しよ♡』って森へ拉致られて大戦争を開いていただけの、ただのご近所大迷惑な不祥事(大誤解)そのものだった。


キアラちゃんは、アリアちゃんが新調してくれたカチカチ胸当てと特注杖をバチバチに大点火させながら、ルビーの瞳をヤンデレおねだりハイライトで潤ませて俺に迫ってきた。


「これから私の第一分隊で、再び魔の森の爆心地へ命がけの夜間特攻調査に行きますわ! マモルさん、師匠、私と一緒に森の奥へ来てくださいませんかしら!!!」


タイア隊長も藁にもすがる思いで胃薬を噛み砕きながら、俺たちの顔をバキバキの目で凝視してきた。

「あの伝説の大魔導師アリアが、病み上がりとはいえ今回の防衛戦(調査)に参加してくれるなら、これ以上心強いことはないんだ! マモルくん、君からもアリアに頼んでくれないかい……ッ!」


「ご、ごめんタイア……っ。ご、ごめんキアラちゃん……っ。ボク……今回の森のスタンピード大進撃の調査には……出動できないよぅぅぅ……(※ガタガガ震え出すアリア)」


キアラちゃんはお堅いお上品令嬢の顔のまま、コクコクと大納得の笑顔で頷いた。

「そうですよね、師匠はさっきまで治療院のベッドでピクルスのミンチのように寝たきりになっていた病み上がりですものね……っ! わかりました、無理はしないでくださいまし!」


「い、いや、そうじゃなくて……」


タイア隊長が不審そうに、アリアちゃんのツルツルに完治した顔面を至近距離でロックオンする。

「ん? でもアリア、あんた全身の包帯は綺麗さっぱり取れてて、アタシより健康そうに仁王立ちしてるな……?」


「いや、そうじゃなくてェェェ!!!

あの、魔の森の国家壊滅級のスタンピードの爆発大騒ぎ、他でもないボクがさっき、新調した漆黒新装備の試運転で、リザさんとガチの殺し合い格闘サバトを開いたのが原因の不祥事ですゥゥゥ!!!(※ガチの涙目での白状)」


…………シーン……。世界が更地になったかのように静まり返る門の前。


タイア隊長は持っていた胃薬のボトルごと口の中にインをキメると、アイスブルーの髪の毛をバリバリと振り乱して、市場の地面が陥没するレベルの特大の絶叫ツッコミをブッ放した。


「――って、胃が痛てぇええええええ!!!(※本日1回目のリアルな胃痛絶叫)何であの隣国最強の壊滅戦闘狂おばあちゃん(リザ)がこの普通の村に普通に滞在してて、何であんた(アリア)がその化け物と森の奥で隕石落としたレベルの違法格闘を開いてアタシのデスクを報告書の山で完全封鎖してんだよォォォ!!!」


俺は(まずい!!!他でもない俺が、リザさんの黒髪を実食しようとしたせいで呼び寄せちまっただなんて、この胃に穴が空きかけている美人女隊長タイアの前で1ミリも説明できねぇよォォォ!!!)と、顔面からそれこそカフェのパスタ皿を埋め尽くすレベルの滝汗を流しながら、アリアちゃんに向けて(アリアちゃん、俺の正体と犯罪現場の真実は墓場まで完全隠密で死守してくれッ!!!)と特大の共犯者アイコンタクトをブッ放した。


「ひ、ひぃぃぃ!!!(マモル様にこれ以上迷惑をかけたら、今度こそボクが宇宙の彼方へ消し炭ロストされるぅぅぅ!!!)」

アリアちゃんは恐怖のバフを脳細胞に浴びて、ガタガタガタガタとマッハの速度で痙攣しだした。


タイア隊長は深いため息と共に胃薬をバリバリと着み砕き、バキバキに血走った苦労人の眼光で、震えるアリアちゃんの襟元をガシッ!!!と力任せに鷲掴みにしたのだった。


「はぁ……まぁいい、細かい事情は兵舎の隔離執務室で泣きながらじっくり聞く。アリア、お前がやらかした不祥事の後処理なんだからさぁ、アタシの隣のデスクで『違法格闘災害報告書』の作成、朝まで不眠不休で手伝ってくれるよな?」


「う、う、うん!!! ボク、マモル様……じゃなくて村の平和のために、朝まで不眠不休でタイアの報告書の代筆、全力の死ぬ気で頑張るよぅぅぅ!!!涙」


「よし、キアラ!! お前もその丸太バリケードの片付けが終わり次第、サボりは抜きで兵舎の隔離残業部屋に直行して報告書の作成を執行するよ! 絶対にサボるんじゃないよバカキアラッ!!!」


タイア隊長は残業の恨みパワー全全開でアリアちゃんの身体を引きずると、そのままズルズルと薄暗い兵舎の残業部屋の闇へと連行していってしまったのだった。


「はぁ……。マモルさん、せっかく先日の提出書類の作成が終わったと思いましたのに、またしても新しい緊急残業オブジェクトが降ってくるだなんて、仕方ありませんわね……。マモルさん、今日もデートはお預けですわ……」


キアラちゃんがカチカチ胸当てを寂しそうに揺らしながらため息を吐く。俺は(よ、よっしゃァァァ!!! タイア隊長が残業の恨みパワーでアリアちゃんを連行してくれたおかげで、今回のスタンピード大誤解の爆心地の真犯人が俺だって事実への防衛線は100%完璧に死守されたじゃねぇか!!!と心の中で勝利の大歓喜を噛み締めつつ、引きつった爽やかな笑顔で応じた。


「そっか、公務なら仕方ないね! じゃあキアラちゃん、俺はもう帰るね!」


「あ、マモルさん、ちょっと待ってくださいましッ!♡」


俺が街道の闇へと直帰退散しようと振り向いた、まさにその数秒の瞬間のことだった。


キアラちゃんが衣服(胸当て)をカチッと鳴らして俺のゼロ距離まで神速で大進撃してくると――そのまま、俺の人間の唇へと、真っ真っ正面から不意打ちの情熱的な『おやすみ愛の口づけ』を豪快にブッ放してきたのである!!!


んむっ♡(※人間の姿のマモルへの、キアラからの情熱的な強奪キス)


「――ふふっ♡ 今日の分のサプライズですわ♡ それではマモルさん、また明日お昼に会いましょうねぇーッ!!!♡(※顔を真っ赤にしてトロンと悶絶しながら兵舎へ爆走していくキアラ)」


顔を真っ赤にしてトロンと悶絶しながら兵舎へ爆走しようとするキアラちゃん。

だが、俺の元高校生としてのチェリーの血が、新ルールによる完全無敵仕様の天国バフに直撃した瞬間、かつてない男としての余裕を起動させた。


(おいおいキアラちゃん、俺はもうキスをされてもペナルティの縛りなんか1ミリも存在しねぇ無敵のオスなんだぜ……?♡貰いっぱなしで直帰退散するだなんて、男として成り立たねぇじゃねぇか!!!♡)


「――待って、キアラちゃん。これ、俺からのお返しのサプライズね」


「はひ……っ?」

ダッシュしかけたキアラちゃんの華奢な右手をガシッ!!!と引き戻すなり、俺は人間の姿のまま、今度は俺の方からキアラちゃんの真っ赤な唇に向けて、有無を言わさぬ超高速のカウンターお返し不意打ちキスを思いきりブッ放して上書きしてやったのである!!!


んちゅむっ……♡♡(※マモル少年からキアラへの、最大風速のお返し不意打ちキス)


「あへぅ!?!?!?!?(※脳内のすべてのシステムがコンマ1秒で大爆破エラーを起こすキアラ)」


マモルからまさかのお返しカウンター口づけを正面から直撃で食らったキアラちゃんは、そのルビーの瞳をグルグルと万華鏡のように大回転させると、頬どころか耳の先までガチの沸騰状態で真っ赤に染め上げ、完全に頭がお花畑どころか『更地の大納得ポンコツ化モード』へと一瞬にして大破システムフリーズをキメてしまったのだった。


「……あ、あぅ、あへ……っ♡ マモル、マモルさんのく、くちびる……あぅあぅ……(※完全に足元を千鳥足にさせて、自分が何のために兵舎へ向かっていたのか忘れて白目を剥きながらゾンビのように這い去っていくキアラ)」


俺は門の前で立ち尽くしながら、人間姿の手足を見つめ、魂の底から勝利の大大号泣と大歓喜を噛み締めた。


俺は人間姿のまま脳内で特大の大歓喜ステップをキメると、これ以上ないほどご機嫌笑顔のまま、夜の大集落の我が家の直りたてのドアへと向けて、サササッとマッハの速度で逃げるように最高ハッピーに直帰退散するのだった。

いつも応援ありがとうございます!より物語を作り込んでお届けするため、次回より更新を【毎週土曜日の18時40分】の週一回に変更させていただきます。これからもよろしくお願いいたします!


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よろしくお願いいたします!

(次回更新:来週土曜日18時40分!)

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