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第36話 金髪エルフの伝説の師匠と、国宝級ウロコ剥離の危機

(あかん……人間のマモルさんを狂愛しているキアラちゃんだけど、トカゲのことは見ただけで国家予算規模の地魔法(殺意)を構える筋金入りの爬虫類アンチなんだ。そんな彼女に、正体を隠したまま、この『漆黒の大トカゲ(黒の王)』の姿のままで心から愛されて誓いのキスを交わすなんて、100%無理ゲーだろ……)


本日2回目の擬態魔法(3時間枠)を使い切り、安全なリザードマンの大集落にある『自分の部屋』へ戻って元の『真っ黒な大トカゲ姿』に完全定時退社(引きこもりモード)していた俺は、ベッドの上でゴツゴツした巨体を丸めて大パニックになっていた。


(まずは……次に人間の姿でキアラちゃんに会う前に、トカゲ姿の俺がどれだけ『無害で健気で可愛いマスコットか』をアピールする練習イメトレから始めるか……)


俺が大トカゲ姿のまま、短い前足をプルプルと震わせて可愛く麦茶のコップを運ぶポーズの自主練をしていた、まさにその時だった。


バガァァァァァァン!!!


「フシュゥゥゥン!?(※また俺の部屋のトビラを跡形もなく粉砕して突入かよ防衛隊ーーーッ!!)」

俺がトカゲの顔のまま白目を剥くなか、粉砕された大集落の我が家のドアの砂煙を掻き分けて入ってきたのは、特重装備をジャラジャラ鳴らしたキアラちゃんと、その横を歩く【まばゆい金髪とツンと尖った耳を持つ、キアラちゃんより年下に見える生意気そうなエルフの超絶美少女】だった。


「マモルさん、安心してください! 約束通り、私の偉大なる地魔法の師匠(大魔導師様)を国から呼び寄せ、再びトカゲどものアジト(この村)へ突入しました!! さあ、そこにいるマモルさんの名前を騙る不届きな看守トカゲ(俺)め、私の師匠の大魔法でその忌々しいウロコをベリベリに剥ぎ取られてツルツルに消毒されなさい!!」


突入してきた金髪エルフの美少女師匠アリア・クブルは、キアラちゃんの横でフッと気怠そうにため息をつくと、やれやれと首を振って教え子の頭をペシッと叩いた。


「……はぁ。キアラ、お前というやつは……。さっきから聞いていれば『泥棒猫の邪教サバト』だの『胃袋を暗殺するタルト兵糧攻め』だの、相変わらず脳みその大勘違いっぷりが限界突破しているな。そんな出鱈目なポンコツ分析ばかりしているから、お前はいつまで経っても隊長に昇格できず、万年『次期隊長候補』の分隊長止まりなんだよ」


「し、師匠ーーーッ!? 私の恥ずかしい万年分隊長(出世遅れ)の現実をここでバラすのはやめてくださいィィィ!!(大赤面)」


(師匠、めちゃくちゃ言うことが正論(ド直球)じゃねぇかァァァ!!! この村に突入して以来、キアラちゃんの狂った大勘違いを初めて120%完璧に論破してくれるまともな人間(ツッコミ役)がようやく現れたぞォォォオオ!!!(大感動))


長寿種のエルフだからこそ見た目はキアラより若いものの、中身は国一番の偉大すぎる伝説の大魔導師。

俺はこの知性溢れる金髪エルフの師匠なら、俺がただの無害なトカゲ(王)だと分かって、キアラちゃんを連れて人間の村へ帰ってくれるはずだと、期待に満ちたトカゲのつぶらな瞳を向けた。


だが、金髪エルフ師匠は、ベッドの上でカチコチに固まっている俺(漆黒の大トカゲ)の皮膚をじっと検分した瞬間――その美しい瞳をギラリとマッドサイエンティストの如く輝かせ、じゅるりと至福のヨダレを垂らした。


「……しかしキアラ。お前の大勘違いはともかく、この目の前にいる『漆黒のリザードマン(黒の王)』の個体は本物……いや、歴史的超ド級の化け物だね……♡ トカゲのウロコは最高級の魔法媒体だが、この禍々しくて美しい漆黒のウロコは、1枚1枚が【国宝級】の価値を秘めているよ……っ!」


(こ、国宝級……!? 俺のこの本体のウロコ、そんなにバグレベルの資産価値があるのかよ!!)


「あぁぁ、素晴らしい! 呪いの解除なんてどうでもいい! ちなみに隣の部屋にいる、あの神聖な白いウロコを持つ白竜エルシエラのウロコも、数枚剥ぎ取るだけで【人間の町に豪邸が建つレベル】の超高級素材だよ……っ!! あはは、最高じゃないか! 今すぐ私の地魔法で、この大トカゲの全身の皮膚を1枚残らずベリベリに引っぺがして、私の最高位の魔導具のコレクションにしてやるォォォオオ!!!(ガチのハンターの目)」


(まともな大賢者じゃなくて、ただのガチの『密猟ウロコ素材ハンター(変態)』じゃねぇかァァァ!!! しかもキアラちゃんの師匠だから地魔法の威力が国家予算規模で高すぎて、捕まったら俺の本体の国宝級ウロコがマジで1枚残らず剥離させられるわァァァエエエバカヤローーッ!!!)


キアラちゃんのズレまくった親切(ウロコ剥離手術)と、金髪エルフ師匠の限界突破した物欲(素材剥ぎ取りテロ)が、最悪の方向性で100%一致して、再び戦火に包まれた俺の部屋。

国宝級の皮膚を狙って魔力をバチッバチッと展開し始める金髪エルフ師匠を前に、ただの真っ黒な大トカゲに戻ってしまっている俺の隠密スローライフは、身ぐるみ(ウロコ)を剥がされる一歩手前の、極限の大集落防衛戦へと突入していくのだった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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よろしくお願いいたします!

(次回更新:本日18時20分!)

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