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異世界からやってきた褐色銀髪美少女のお世話をすることになったけど、よく見たらちんちんがついているんだが返品不可とのことで後悔してももう遅い  作者: なすび
2本目っ!

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39/67

38 腐女子同士は引かれあう定めにある

【前回のあらすじ】

夕陽と共に銭湯にやってきた太陽。

そこでルカが実は男だという事が夕陽にバレてしまうのであった。

「ちんちんついてる~~~~~~~~!?!?!?」


 ルカはポンチョの裾を両手で掴むと、ぺろんと持ち上げる。

 突如出現したポークピッツを見た夕陽は、顎が外れそうなくらい口を開けて絶叫した。


「え……え……? う、嘘……こんなの可愛いのに……ちんちん……ちんちん?」


「ま、待て夕陽! これは違うんだ! 俺が着せてる訳じゃない! コイツはパンツだけじゃなくてズボンも履こうとしないから結果的にだな……!」


 あと女子高生がこんなに〝ちんちん〟を連呼しちゃいけません!


「つ、つまり――――太陽×ルカって……コト!?」


生物ナマモノは生々しいからマジでやめてくれ!!」


 夕陽は俺に批難を目を向けることはなかった。

 その代わり、腐女子の魂を刺激してしまったようだ。


 いくら筋金入りの腐女子でも、肉親をカップリングしたりはしないだろ。

 ソシャゲのキャラが母親と同じだと好きになれないのと同じでさ。


「え? もしかして妹さん、そっち系?」


「うん。バリバリに腐。もしかしてあなたも?」


 夕陽と番台ギャルは目を合わせる。

 そして――


 ――ガシッ!


 同じ魂を持つ者同士、それだけで意思が疎通したようで、2人はカウンター越しに熱い握手を交わしていた。


 番台ギャル……ショタコンだけでなくて腐女子も患ってるのかよ。

 それだけの性癖を抱え込んでいて、よくギャルに擬態できるよな。


「私、日比野夕陽ひびのゆうひって言うんだけど、あなたは?」


「ウチは春日かすがまりな。高一」


「マ~!? タメじゃん! 私もFJK!」


「やば! めっちゃ運命! ウチ腐女子の友達欲しかったんだよね!」


「私も私も! 学校では隠してるからさぁ! ねぇ、MBTI聞いてもいい!? 私ESFJ」


「ウチはESFP」


「マママ~~!? 相性めっちゃいいじゃん!!」


 最近のガキは自己紹介でMBTIを言うのかよ……。


「ん。ぼくはINFP」


「(なんで異世界人のルカまでMBTI把握してんだよ!?)」


 お前この世界に順応し過ぎだろ。


「ええ~!? ルカちゃんINFPなの!? 私INFPの子を無条件で好きになっちゃうんだけど!? いや元々好きだけどね!?」


「わかる~」


 意気投合する発酵系女子に加わる薄幸系男子。

 それによりやかましさが更にアップする。


 外向的な女子って集まるとすぐ大声になるよな。

 だから俺はギャルが苦手なんだよ(弱者男性並みの感想)。


 まあ、ルカに関する最後の秘密も、なんとか受け入れて貰えたから……よしとするか。

 俺だけ蚊帳の外で寂しいけど……。


「ん。たいようは?」


「え? 俺?」


 MBTIなどという、信憑性もクソもない性格診断で盛り上がってる3人の視線――それが一斉に俺に集まる。

 あ、これ……俺も言う感じなの?


「あー、いや……ちょっと分かんないっスね」


「は? 自分のMBTI把握してないとかありえなくね?」


「MBTI知らないのが許されるのは小学生までだよお兄ちゃん……」


「ん。社会人として、常識、足りない」


 異世界人に社会の常識を諭されてしまった……。

 つーか、たった16パターンしかない性格診断で、複雑な人となりを分類できる訳ないだろ。

 血液型の性格診断だって信じてなかったもん俺。


 とはいえ現状1VS3。

 多数決なら俺の負け。

 そうか……最近の子って、自分のMBTIは把握してるもんなんだ……。


 末席とはいえ同じZ世代として恥ずかしい。

 でも言い訳させて貰うと、俺が学生の頃はまだMBTI流行ってなかったんだよ。


「でもお兄ちゃんってINTPぽいなー」


「ぷふっw あーw たしかにw それなw」


「ん。分かる」


「どういう意味かは分からんが、多分物凄い悪口を言われている事だけは分かる……!」


 3人ともめちゃくちゃクスクス笑ってるもん。

 っていうかなんでMBTIに迫害枠があるんだよ。


 おかしいだろ。

 多様性はどうなったんだよ。

 互いの主義主張を尊重しあうのがZ世代じゃなかったのかよ。

 全国のINTPに謝れよ。


「いやでも……私はINTP好きだよ?」


「いや絶対嘘じゃん! 目が泳いでるもん! INTPが好きなんじゃなくて〝INTPに理解を示している自分〟が好きなやつじゃん!」


「でもさ! INTPとINFPのカプは大好きだから! むしろルカちゃんとはピッタリだよ!」


「だから身内を生物ナマモノにするな!」


 っていうかなんでMBTIにカップリングがあるんだよ。

 血液型のカプで妄想するようなもんだろ。

 もしかすると前世代の腐女子も、血液型の組み合わせで妄想していたりしたのだろうか……?


「つかさ!? INFPって総受けじゃね!?」


「分かる~! ルカちゃんにぴったりじゃんね!」


「分からねぇよ。なんでMBTIに総受け枠があるんだよ」


 現役女子高生による謎のMBTI信仰をこれでもかと浴びつつ、ようやく俺は夕陽と別れ、入浴へと漕ぎ着けたのであった。



***



 ――数十分後。


「いや~、五条×漏斗のカプの存在は知ってたけど、結構アリだね夕陽っち」


「私もまりなちゃんのおかげで五条×五条の良さに気付けたよ!」


 湯舟で疲れを癒し、ルカと共に更衣室を後にする。

 共用部では俺達よりも先にあがっていた夕陽が、フルーツ牛乳片手に番台ギャルと談笑していた。

 お互い陽キャで同じ趣味ということもあり、かなり打ち解けているみたいだ。

 そんな夕陽は湯上りなので、トレードマークのツインテールは解いていた。


 話の内容は……腐女子トークなのは分かる。

 しかし五条×五条とかいう、人が抱えられる業のキャパシティをオーバーしているパワーワードが聞こえてきたので、これ以上考えないようにした。


 命の洗濯で綺麗になった魂を、腐女子共に汚されてはたまらない。


「あっ! お兄ちゃんとルカちゃん遅いよ~。男なのに私より後にあがってるじゃん」


「悪かったな。ルカの髪の毛乾かすのに時間かかってな」


 ルカは腰まで届く超ロングヘアなので、毎回ドライヤーで乾かすのに苦労している。

 どのくらい時間がかかるかと言うと、ルカの髪を乾かしている間に俺の髪が自然乾燥する程だ。


「その手があったか。次は私もお兄ちゃんに乾かして貰お♪」


「お前ツインテール解くと結構髪長いんだから勘弁してくれ」


「え~! 小学生の時は毎日ブラッシングまでしてくれてたじゃん!」


 ルカだけでも重労働なのに、それが2倍になったら俺の腕がもたない。

 腕がパンパンになっちゃうよ。


「え……夕陽っちってブラコン系? コレの何処がいいん? コイツが兄貴ってだけで前世の罪を悔いるレベルの罰ゲームなのに……」


「めっちゃディスるやん」


「ふふっ♪ それはまりなちゃんでも、ひーみつっ♪」



***



 その後ルカと一緒にフルーツ牛乳を飲んでから、銭湯を後にする。

 既に陽は地平線の向こうに沈み、等間隔に並ぶ街灯が夜道を照らしていた。


 並び順は俺を中央に、右側にルカ、左側に夕陽だ。

 街灯の真下を通るたび、3つの人影が〝小〟の字をコンクリートに落とす。


「あー、今日は凄い楽しかった! まりなちゃんともLINE交換したし、来月も絶対銭湯行こうね!」


「ん。楽しみ」


「その度に笑いのダシにされる俺の身にもなってくれ……」


 横並びに歩いている俺達の目的地は、ボロアパートではなく電車の駅。

 帰りの移動時間を考えれば、夕陽の門限までもう時間ギリギリ。


 夕陽を駅まで見送るために、銭湯道具を抱えたまま下町から市街地へ向かっている次第だった。


「なんかさ、こうして3人で並んで歩いてるとさ、私達って親子みたいじゃない? 私がママで、お兄ちゃんがパパ。それでルカちゃんは私達の子供」


「どう考えても妹2人を引率してる兄にしか見えんだろ」


「え~。そうかな~? 髪下ろすと結構大人っぽいって言われるんだけどな私」


「俺からすりゃまだまだガキだよ」


「む~」


「ん。パパ」


 すると右側を歩くルカが、甘えるように俺の腕にしがみついてきた。


「あっズル~。私もっ♪ パパ~♪」


「夕陽は母親役じゃなかったのかよ……」


 あと道中でパパって言いながら腕組むのはやめてくれ。

 パパ活だと思われちゃうから……。


「お兄ちゃんからしたらまだガキなんでしょ~?」


 夕陽の下ろしたロングヘアから漂うシャンプーの匂いが、俺の鼻孔を刺激する。


挿絵(By みてみん)



 確かに髪を解くと、湯上り美人も手伝って、少しだけ大人っぽく見えなくもない。

 いや――普段のツインテールが子供っぽ過ぎるから、相対的にそう見えるだけか?


「ああもう! 歩きにくいだろ! 2人とも離れろ!」


「ルカちゃんが離したら離すよ」


「ん。離さない」


「じゃあ私も離さない~♪」


「お前らな~~~~!!」


 と――怒ってみたものの。

 夕陽が小学生の時みたいに甘えてくれることに、喜びを感じてしまうのも――また事実だった。


 夕陽が中学にあがった辺りから、夕陽は俺に甘えるのを控えるようになった。

 年頃の兄妹の距離感なら、自ずとそうなっていくのは当たり前と言えるだろう。


 しかし――夕陽のそれは兄離れというよりも、両親が他界し、叔父母の家に引き取られた俺に負担をかけないためだという――遠慮の念なのは、当時高校生だった俺も気付いていた。


 だからこそ。

 ルカに対抗するように甘えてくる夕陽の姿を見ると、かつての記憶が蘇り、思わず頬が緩んでしまうのであった。


 許されるのであれば、夕陽の兄離れがまだ先でありますようにと祈りながら。


 ――俺も大概シスコンだよなぁ。



【おまけSS】

太陽「MIBT知らなくて散々バカにされたからよ、俺も診断サイト使ってみたんだが――ISFJって出たんだけど、これって有りなのか?」

ルカ「ん。ゆーひお姉ちゃんが聞いたら鼻血出すかも」

太陽「どういう意味!?!?」


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