第2話
カーテンの隙間から朝の陽ざしが部屋へと差し込んでくる。
手を組んで伸びをすると固いベッドで寝たおかげか身体が痛むがわがままは言ってはいられない。
部屋の片隅の桶の水で顔を洗い身支度をして宿を出る。
朝市で、かたい干し肉とパンを買い食べ歩きながら人混みを通り抜け馬車の待合所へと向かう。
待合所ではたくさんの人でいっぱいいるが幸いのことに私が乗る予定の馬車はそこまでは混んでいなかった。
フォックストロット帝国。
それが私がこれから向かう国。
ここ10年程度で急速に力をつけ始めた国。
今の皇帝は凄まじい手腕の持ち主で、その手腕は国外にも広く知れ渡っている。
そして、皇帝は軍事力の拡大にも力を入れている。
軍事力拡大の施策の一環として、人種や性別を問わない一般兵士の募集政策。
これは3ヵ月の基礎訓練を達成した者には帝国兵士として従軍できる。
また素質がある者は更なる訓練や、皇都の警備兵や城の衛兵にもなれる。
しかし、上へと行くたびに隣国とは言え貴族と接する機会は増えていく。
そうするとややこしい問題になりそうなので、目指すは末端兵士!
そうすると現場に出てくる貴族も爵位も低く、高くても次男や三男なので私を知る人はほぼいないだろう。
あれこれ馬車に揺られながら考えていると、いつの間にか昼休憩だった。
国境もいつの間にか過ぎており今はもうフォックストロット帝国領内。
その小川の川辺で昼休憩。
私はかたい肉に悪戦苦闘しながら飲み込む。
貴族だったころに一度だけ食べたことあるけれど今までは無縁だったゆえに時間がかかってしまう。
なんとか食べ終わったころには馬車の発車時刻だった。
少し周辺をお散歩しようと考えていた手前、残念であった。
そしてため息が零れる。
「あら、お嬢さん、お疲れかい?」
その瞬間、相乗りしていたおばさんに声を掛けられる。
「はい、このような長旅は初めてで」
「見た目はいいとこのお嬢さんだから安い馬車は初めてってとこかな」
「ええ」
「まあなんだい、理由はともかくもうじき皇都に着くさ」
「だから頑張って楽しく生きるんだよ」
「お気遣いいただきありがとうございます」
そう言うと会話が終わりまた馬車の車輪の音と馬の声が聞こえる。
詳しくは聞いてこないこの距離感が私は少し嬉しかった。
言葉ではない気遣い。
シャンデリアが煌々と輝いていたあの場ではなかったっもの。
私は平民となって新たな人生を送るのだろう。
それが少し楽しみになった。
週一で頑張りたいです。




