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誓いの果て  作者: のの
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懸念と杞憂

 リルは、馬上で敵陣の去る姿を見ながら満足していた。


 コッツウォートは、前回の戦いより学び、成果を発揮した。


 第2陣が上がり、 第1陣が下がる。このタイミングも良かった。

 短い期間で、足並みが揃ったのは大きい。


 叔父のグレアムが、戦闘範囲を狭めてくれたこと、ギル率いる傭兵が加わっていたこと、魔術師で元東側の軍人のレオがいたこと、そしてもう一人、魔術を使えるテオグラートがいたことで戦いに余裕があった。


 敵陣からの弓矢の攻撃をテオグラートがおこした風で防ぎ、魔術師の光りの矢もガラスのような壁で味方を守った。


 ガラスのような壁を作り出し、光りの矢が皆の前で壊れた時など、味方の士気が高まり勢いを増した。


 敵陣が引き下がったことで、中断された今も、テオグラートを労う兵達がたくさん見られる。

 昔から、テオグラートの回りには、人が沢山いる。

 王子でありながら、皆気さくに声をかける。


 テオグラートの魔術で、士気が上がったことでは、ヴァルがいつもながら苦い顔をしていたが、リルは、今はそれで良いと思った。


「陛下、少し外してよろしいでしょうか。」

 ヴァルが、馬上から声をかける。


「分かった。」

 リルは、信頼を込めて好きにさせた。


 ヴァルは、テオグラートのところには行かなかったし、テオグラートへの策略も考えていなかった。

 このことは、裏切ればリルとの信頼関係を崩しかねない。


「何を揉めている。」


「ナギが、斥候に出ると言っているので止めてます。」

 アーチが、ナギより早く答えた。


「賢明だな。」

 ヴァルは、ナギを見た。


「しかし、この状態じゃ、不安じゃねぇか。」

 ナギは、ヴァルの目を見ず答えた。


「行ったところで、何も掴めん。無駄だ。それに時間稼ぎの可能性があるなら、すぐにでも進軍する。今は、休め。」

 ヴァルは、馬を返すとリルの元に戻り始めた。


 ヴァルの横をガビが並走する。


「旦那、明日は、生きてた日でして、こんな時ですが、ゴビが、明日の朝、招待したいと言ってまして。」


「…そうか。分かった。」

 ヴァルが承知すると、ガビは頭を下げ引き下がった。




 ナギは舌打ちした。


「何が不満なんだ。」

 アーチは、ナギが何か不満を抱えているなら戦いの前に取り除いてやりたいと思った。


「何でもねぇよ。行くぞ。」

 ナギは、ヴァルが向かった先へ進み始めた。


「ナギ、明日は、生きてた日だから、朝、招待するぞ。」

 ガビが嬉しそうに、ナギに近づいた。


「こんな時にやるのかよ!」


「怖いなぁ、招待したからな。」

 ガビが呆れながら、ゴビに向き直る。

「怖い、怖い。」

 ゴビが両手を上げて、降参のポーズをとる。

 二人は笑いながら、ヴァルの元に馬を進め始めた。






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