王城内の七不思議 SIDE:アシュレイ
最近、城内を騒がしくしている噂がある。
曰く、肖像画が傾く。
曰く、カーテンが勝手に開く。
曰く、壺の位置が変わっている。
曰く、女の笑い声が聞こえる。
曰く、魔道具が勝手に作動する。
曰く、何もない部屋で物音がする。
曰く、視線を感じて振り返っても誰もいない。
不思議な現象が大まかに7つあることから、王城の七不思議と呼ばれている。
随分と暇な奴らがいたものだ。
そんな噂をしている暇があるなら、仕事をしろ、仕事を!
こっちは、休憩すらまともに取れていないと言うのに。
私自身は全く気にしていなかったが、その噂の声が大きくなるにつれ、調査の声が上がるようになってきた。
私の仕事を増やすな!
誰だ、そんなイタズラしたやつは!?
絶対、捕まえてやる!
「で、何か情報はあったのか?」
「いえ。本当に無人なのに、事が起こっているようです。そこは確認できましたので、確実です。」
私の質問に答えるのは、側近のハウエル。
「そこを確実にしたら、駄目だと思うが?」
「そう言われましても……」
困った顔をされても、こちらも困るんだがな。
それにしても、見えない何かが相手ということか。
厄介だな。
普通の人間なら、簡単な話だったのに。
「仕方ない。魔法師団に協力要請をかけてくれ。」
「あそこ、ですか……」
「仕方ないだろ。見えないもの相手では、あいつらくらいしか相手にならない。性格はどうであれ、能力は確かだ。」
「その性格が、非常に厄介なんですがね。」
私だって、魔法師団とあまり関わりたくない。
はっきり言って、あそこは性格破綻者の集団だ。
なんとか人の倫理観の枠には入っているが、何かあればいつでも踏み外しそうな奴らばっかりだ。
魔法師団の団長が唯一の常識人で、話がわかるから組織として成り立っている。
団長がいなければ、烏合の衆だっただろうことは、想像に難くない。
比較的まともそうなのを送ってもらうしかない。
「くれぐれも、人選に気をつけるように伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
謎の現象だけでも頭が痛いのに、そこにさらに頭の痛い魔法師団を混ぜるなんて、どうなるか考えたくない。
私は深くため息を吐いて、こめかみを撫でた。
頭の痛い問題といえば、もう一つある。
聖女の件だ。
先代聖女がお隠れになってから、50年以上経った。
その間、聖女が見つかっていないのだ。
この地はもともと人の住める土地ではなかった。
だが聖女がいることで、人が住めるようになったのだ。
つまり聖女がこのまま見つからなければ、また人が住めない状態に戻ってしまう。
神殿の言う事が本当なら、聖女はどこかで生まれているはず。
神殿と協力して、聖女を見つけなければ。
謎の現象より、よっぽどこちらの方が急務なんだが……




