26
料理をする。
デルルと、ついでに巨大鮫も食べる。
鮫は何かわからないが、肉の匂いはそこまで生臭くもないし意外とうまいかもしれない。
ただ、量が多すぎるので、三人では食べきれない。
幸い、ビーチにはほかの客も多い。
この鮫が食べれるものなら、ほかの人にも振舞うか。
調理道具は持ってきていない。
まあ、生活魔法を使えば、捌いて焼くくらいのことはいとも簡単にできる。
調味料がないと流石に味気ないので、近くの市場で塩と胡椒を買ってきた。
巨大鮫にも使わないといけないので、結構大量に買ってきた。余計な出費だった。
魔法で肉を捌いて、塩と胡椒をまぶし、それから焼く。
塩と胡椒をまぶした肉を魔法でふわふわと浮かせる。
その肉を炎魔法を使用して炙った。
火力が強くなりすぎないよう神経をとがらせながら焼いていく。
デルルからはめちゃくちゃいい匂いがした。
巨大鮫からは……あんまり嗅いだことのない独特なにおいがする。
ただ、食べられないわけではなさそうだ。
焼けたので巨大鮫から食べてみる。
「……微妙」
正直に言った。
肉が固くてあまり旨くはない。味も独特で微妙。ただ、毒はなさそうだ。
食えないほどまずいわけではない。焼いた分は全部食べた。
次にデルルを食べてみる。
「う、うまい!」
これはガチで美味しかった。
味はマグロの大トロに近い。
部位によってはヒラメのえんがわのような味もした。
めちゃくちゃ美味しい。
異世界に転生してきて、ここまで美味しい魚は初めて食べた。
エミルとシーラの分も焼きあがる。
「お、美味しい!! ライズが釣りたがってたわけね!」
エミルはデルルを食べてそういった。
味のためではないんだがな……でも、食べられたのはエミルのおかげなので、素直に感謝しておこう。
「こっちもそこそこ美味しいわね」
エミルは巨大鮫も食べた。
美味しいのか。まあ、俺の舌が無駄に肥えてるだけかもしれない。
「どっちもおいしい~」
シーラも食べた。巨大鮫もデルルも食べたようだ。
「特にこっちのお肉美味しい!!」
と指さしたのは、巨大鮫のほうを指さした。
こっちの方がうまいのかよ。
まあ、シーラは魔物である。
味覚が普通の人間と違うかもしれない。
周囲の食べていいと言って、巨大鮫も全て平らげた。
俺が思ったほど食べた人の評判は悪くなかった。
めっちゃうまいといったのはシーラくらいだったが、そこそこ美味しいという意見が多かった。
全て平らげてすっかり夜になっていた。
近くの宿で一泊した後、俺たちは湖に帰った。