第75話 イベントの後
あのイベントの後、私以外のメンバーとスタッフさんたちは打ち上げに向かった。私は未成年だから、あまり遅くならないように帰らされた。それはいつものことだったけど、ちょっとだけ寂しかった。
こんな日だからこそ、皆と一緒に祭りを最後まで楽しみたかった。でも、さすがにそれはワガママだ。だけど、こんな日だから少しくらいは悪い子になりたかった。
園長からは「2年後のライブで、お酒飲みながら、3年間分語り合おうね」と言われてしまった。それは楽しみでもあり、ちょっとだけ残念。
会社に呼んでもらったタクシーで家に向かう。やっぱり、センパイからはメッセージはない。どういう反応だったんだろう。楽しんでもらえたのかな。それとも……
だめだ。ひとりになると、どうしようもなく怖くなる。
もし気持ちが届いてなかったらどうしよう。
センパイをあの舞台に戻すことに失敗しちゃったらどうしよう。
彼に嫌われてしまったらどうしよう。
そんな、たくさんの"どうしよう"が積み重なる。それは、私を不安の沼へと押しつぶそうとする。
でも……
それを上回るほどの……
センパイへの信頼が勝っていた。私がずっと憧れていた彼なら、大丈夫。きっと、いまごろ寝食を忘れて、何か創っている。そう、私は確信していた。
センパイからなにも反応がないということは、裏を返せば、私が勝ったことの裏返し。
彼の性格を考えればきっとそうだ。
私は言い聞かせるように、代わりにスマホを握りしめる。
家につくまで、何度も私は同じことを繰り返した。
都会の喧騒は、少しずつ消えていき、私たちのいつもの街の静かな灯りが出迎えてくれていた。
※
そして、次の日。
怪物は、復活した。




