表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/84

第74話 復活

 みすずは、途中から我慢できずに、声を詰まらせて、必死に続けていく。

 同期の園長たちが、我慢できずに、ステージに飛び出してきて、彼女を勇気づける。みんなに支えられて、言葉は紡がれていく。


 その様子をファンたちは、感動しながら見ていた。

 コメント欄でも、涙をこらえているような書き込みが多い。

 重圧にあらがい、前に進む。それだけで、人間は心を揺さぶられる。前に進む姿は、皆に勇気を与えてくれる。


 それは、もちろん俺にもだ。


「すげぇよ、みすず……完全に俺の負けだ」

 完全に気持ちは撃ち抜かれていた。

 しずかが、みすずが創作した世界に、俺は完全に魅了されていた。創作者として完全に負けていると認めた。


 そして、負けを認めて賞賛するだけの男にもなりたくなかった。

 だって、好きな人にこそ負けたくないと思う気持ちは普通のこと。

 それも、ずっと俺に甘えていた後輩が、急にライバルになったんだ。今まで以上に焦燥感に包まれる。


 あれほどポキポキに折れていた心は、いつの間にか回復していた。

 また、何かを作りたい。

 

 埃をかぶっていたペンタブを起動させて、俺は集中力を一気に高める。

 もう冬休みだ。徹夜しても問題ない。


 久しぶりにわいた創作意欲を、逃さないように、一気に書き上げてしまう。


 もちろん、誰を描くのかは、わかりきっているだろう。

 復帰後、第一弾は……


 自分の私利私欲にまみれた推しに対するファンアートだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ