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第65話 俺の気持ち
結局、しずかはこちらを振り返らずに、家へと帰っていった。
本来なら俺が送るべきだったのに……
突然の出来事で、思わず足が動かなかった。
「カッコ悪いな、俺は……」
しずかが勇気を出して、一歩を踏み出してくれたのに、俺は動くことすらできなかった。
あんな風に、彼女が泥をかぶってくれたのに、俺は復活のための一歩が踏み出せない。しずかが、みすずがあんなに頑張ってくれたのに……
完全に引退するなら、動画サイトからも完全に撤退すればよかった。でも、俺はそれもできなかった。
何もできずに、ただ漂っているだけだ。
Vチューバーたちのキラキラした日常を応援していても、どこかに劣等感みたいなものを感じていた。おれも、そっちに行きたい。戻りたい。ずっと、そんな未練を持っていた。応援したVチューバーがどんどん活躍してくれていることで、穴埋めをしていただけなのかもしれない。
ずっと、しずかに感じていたひけめの正体がやっとわかった。
逃げ続けていた自分の弱さに気づかされるからだ。
「くそっ」
そんなことに気づかないようにしていた自分が情けなかった。
そして、気づいても動けない自分が……
「クリスマス、か……」
俺は、冷たくなった外気を感じながら、白い息を吐く。
俺たちにとっての運命の瞬間は少しずつ近づいていった。




