第54話 後輩が楽しく料理をするだけの配信
「それでは、今日は料理配信をしていきたいと思います! 料理配信は、はじめてなので、ちょっと緊張してます!」
Vチューバ―の料理配信は人気がある。料理部分はどうしても実写にならなくてはいけないので、推しが実在していることを実感できるのが嬉しいのだ。それに料理がうまくても、下手でも、どっちでも美味しい。うまければ、推しをほめちぎり。下手であれば、プロレスがはじまって楽しい。ちょっと、彼女が料理している横でイチャイチャしている感も吸収できる。
つまり、最高だ。
「おばあちゃん、生出演なんてしないよ。でも、Vチューバ―大好きだから、もしかしたらコメント欄にいるかもね」
コメント:おばあ様いつもお世話になります。
コメント:実は、おばあちゃんが作っていて、よこでみすずんがしゃべっているだけだったりして
コメント:それは草
「大丈夫だよ。私もちゃんと料理手伝ってるもん。普通よりうまいはず。今日は、ドリアを作っていくよ~」
ドリアは、ばあちゃんの得意料理だ。それを習ったから、作ってみようと思ったんだろうな。Vチューバ―あるあるで、素肌が見えないように手袋をしていた。なぜか、リアルなカード開封配信などでは、手袋をするのが業界の常識だ。理由はよくわからない。身バレ防止らしい。
見慣れた台所で、みすずは玉ねぎをリズミカルにみじん切りにしていく。ひき肉とみじん切り玉ねぎ、キノコをバターで炒めて具材の準備は完了した。別のフライパンで手際よくホワイトソースまで作ってしまった。
ルンルンと口ずさみ、本当に楽しそうだ。
コメント:クリスタル・クリエイトの料理配信って、ゲテモノばかりじゃないんだなぁ
コメント:園長見てる? ねぇ、今どんな気持ち??
コメント:普通に旨そうなんだけど
「ホワイトソースはダマにならないように作るの難しいんだけど、今日は上手くできたね、美味しそうでしょ?」
グラタン皿に、ごはんにホワイトソースとチーズ、具材を入れてオーブンで10分焼いた。
「隠し味は、和風だしとか入れてます! ちょっと和風なドリアだよ?」
焼きあがったドリアをテーブルに出して、スプーンで美味しそうに食べ始める。まさに、飯テロ。
「今日だけサービスだよ? はい、あーん」
そう言って視聴者に向かってスプーンを向ける。
リスナーは必死にディスプレイに頭をぶつけ続けるのだった。




