青年
初心者です。
自分のペースで投稿していくので、温かく見守ってください。
トントントン。グツグツグツ。ジャー。そんな賑やかな音が鳴り響く。
ここは城下町の一角にあるうどん屋。そこは街の人達に人気で、連日大賑わいだ。
この店は親子三人で切り盛りしており、この物語の主人公はそこの青年である。
「すみませーん。注文お願いしまーす」
角の席にいた客が軽く手を挙げ、青年に声をかける。
「はーい。ただいま」
その青年はクルッと振り返ると、人懐っこい笑みを浮かべ、客に駆け寄る。
「またいつものですか〜。本当に飽きませんね」
「お。さすが!よく分かったね」
「分かりますよ〜。ここのところ毎日来てくださるじゃないですか〜」
「だって勘九郎君と話すの、楽しいんだもの」
客にそう言われ、青年―勘九郎は嬉しそうに笑った。
日が落ち始め、客足もまばらになったのを見計らって、勘九郎は入口に掛けられたのれんをしまった。中に入って厨房に目を向けると、勘九郎の両親が明日の仕込みをしていた。
「あ。勘九郎!悪いけど、井戸から水汲んできてくれない?」
勘九郎に気づいた母が、女将らしい威勢の良い声で言う。それを聞いた勘九郎は「分かリました!」と言って、厨房の奥にある裏口から庭に出た。
庭といっても、そこは井戸がポツンと置かれているだけの、何処か寂しげな場所である。
勘九郎は持ってきた桶を地面に置き、石の上に置かれてあった水汲みを井戸の底に垂らす。その時、井戸の中から何者かに手を引かれる。その反動でバランスを崩す。見ると、底には小人ほどの大きさの者が数多にいた。
これらの正体に、勘九郎は心当たりがあった。
それらは、『妖怪』だった。
「な、何でこんなところに・・・」
勘九郎は驚いて声を上げた。
『ねぇねぇ。行こ』
妖の1つが勘九郎の手を引きながらそう呟く。他の妖も勘九郎の手に集まってきて、『行こ行こ』と口々に言う。その度に引く力が強くなっていく。このままではまずいと思った勘九郎は引かれていないもう片方の手をガッと石に擦り、血を出す。そしてそれを井戸の中に突っ込む。妖達が一斉にそこに集まって、舐める。それを見て、勘九郎はこう呟いた。
「ここから出てって」
血を舐めていた妖達はそれを聞いて、舐めた者から順に出ていく。全てが出ていったのを確認した勘九郎は何事も無かったように水を汲み始めた。
彼は生まれつき『妖怪』を見ることができ、自らの血を使って妖に『命令』することができたのだ。
第1編「出会い編」始まりました。
次の話では、勘九郎の運命を変える出会いがあるかも・・・!?




