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10/19

ある生徒の悩み相談

以前話した内容です


10話です

 12月、寒さが厳しくなり始める時、2学期終わりの期末試験が始まる。まだそれより1週間程近く前なのだが、僕は順位1位を死守すべく試験勉強に取り組む。しかし普段は生徒会があるので、勉強と両立しながら作業に取りかかる。とはいうものの僕は今、生徒会室で一人だ。他の連中はというと、


「う~、さんむー」

「廊下寒いーっ」

「目安箱回収してきました」

「お疲れー」


 週に一回の目安箱の回収だ。


「どれどれー、今週はどうかな~?」


 開封して中身を見ると、学校に対しての要望の他に今回もやはりイジメの紙が複数入っていた。


「またか……」


 筆跡からして同一人物のようだ。


「また入っていたんですか?」

「あぁ……」

「イジメなーっ。まぁどの高校も多かれ少なかれあるからなっ。解決するのは難しい話だ」

「しかしなー、用紙に名前が書いていないから、誰の投稿かは全く分からん。だからまずはその子の特定だが、さてどうしたものか……」


 うーむと執行部員達皆で悩む。


「名前をどうして書かないのでしょうか」

「それは……万が一この箱を別の人に開けられたらその子が困るというものもあるし、それに……」

「それに?」

「……いや、何でもない。とにかくその子を探し出すことを先決だ」

「はい!」


 色々考えた結果、顔が分かるように箱の側面に小さなカメラをそれぞれ設置した。そして一日毎にカメラのチェックを青山にやらせた。それから数日後、


「あの会長、例の人物を特定しました。恐らく彼女だと思います」

「おぉ、そうか分かった。じゃあ見てみるか」

「こちらです」


 特定したと思われる人物はやはり女子だった。見た目は普通の女子っぽいが知らない子だ。


「なかなか可愛らしそうな子じゃん」

「リボンの色から二年生と思うが、誰だが分かるか?」

「はい、2-2の村井さんではないかと」

「そうか、ならどう彼女をアプローチするかだ」

「確かにデリケートな問題ですからね……」

「それなら俺が……」

「僕が行くと、周りから不思議な目で見られそうだ」

「俺、俺っ」

「青山、僕の代わりに彼女のアポ取ってくれないか?」

「私がですか?」

「おーいっ……」

「こういうのは男や後輩が行くより、よっぽど良い」

「分かりました。私が彼女に接触します」

「どんなアプローチでも良いから、彼女が気にしない程度でここへ呼んでみてくれ」

「はいっ」

「うぅ……」


 加西の馬鹿は放っておいて、僕はカメラの動画を眺めた。

 それから次の昼休みに青山は彼女にアポを取ったらしく、放課後に生徒会室へ来るよう呼び出したそうだが、彼女は一向に現れなかった。


「? どうしたんだろうか? 来ないぞ?」

「しかしもう今日は帰りませんと。19:30を回ってます」

「そうだな、帰るか」


 そして部屋の鍵を閉めて帰ろうとしたら、


「済みません、遅れてっ!」


 声のする方を向くと、彼女、村井さんがはぁはぁと言いながら急いでここに来た感じだった。そして僕は彼女を生徒会室に案内し、そこのイスに座らせた。


「まぁ、リラックスして下さいよ」

「は、はい……」

「お茶です」

「……あ、ありがとうございます」

「では確認なんですが」

「はい」

「目安箱に悩みをうち明けたのは貴女ですね?」

「……」


 彼女は頭を少しうつむけて、目は下方向を見ている。返事はなかった。

 返事がないということは認めているようなものだから、彼女に間違いはないだろうが、何かうち明けにくそうだ。


「では質問を変えます。貴女の周りで最近何かあったりしましたか?」

「……それは」


 少し口を開いたが、それ以上言葉が続かない。


「……二人きりにしてくれないか?」

「え? しかし……」

「多いと彼女も言いにくいだろう。頼む」

「……分かりました」


 そしてようやく彼女は口を開いたが、やはりあまり良くない話だった。そして彼女は部屋から出た時は20:00を過ぎていた。部屋の鍵を閉めて、


「あれ、お前達いたのか」

「え? それゃあそうだろ? カツ一人で置いておく訳ないだろ?」

「……そうか」


 そして帰りしな加西と青山(紺野は家が別方向)に彼女の話の要約を説明した。


「そうか、彼女の身にそんなことが……」

「……」

「いいか、この話は他言無用だぞ」

「分かっているさ」

「……」


 そして僕は二人と分かれて家に帰り、勉強しながら色々村井さんの発言を思い返した。


「……よく色々と頼み事を言われるんです」


 しかし明らかに嬉しそうな言い方ではない。


「もしかして嫌な頼みなんですか?」

「……」


 俯いたままでそれ以上は答えない。


「安心しなさい。貴女から聞いたと悟られないように対処するから」

「ほ、本当ですか!?」

「あぁ」


 そして彼女は今までの嫌な思いを少しずつ話してくれた。自らの金で色々とパシラされていること、集団に囲まれて暴力を振るわれることだ。そして彼女は涙を流しながら、


「けど私、他にいられるグループがないからハブられるんじゃないかと思うとやっぱり嫌で……」

「……」


 そしてはっと記憶から戻ったら、僕の手は止まっていた。そしてスマホを取りだし、青山にチャットを送る。


『なんでしょう会長』

『明日の昼休み一緒にご飯を食べてみないか?』

『え!?』

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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