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神獣と同棲

 厳かな雰囲気で始まった入学式。

 だが俺は代表挨拶の緊張からか校長やその他主賓の挨拶が全く入っては来なかった。

 話す内容等を纏め、唯一生徒会長挨拶だけは途中から聞こえてきた。

 「最後に、六国同盟対抗戦は一年生も全員予選から参加になります。今年こそ、悲願の優勝を目指しましょう」

 6カ国同盟。

 大国である此処アストラベル王国を中心にヴェルフェスト王国、ユニング帝国、ロイキール王国、タドール帝国、クコンホニ帝国の6カ国の同盟である。

 クコンホニ帝国・・・建国から数十年の新しい帝国で、皇帝は異世界より召喚された勇者だと言う。

 未だ初代皇帝が収める国であり、いつか行ってみたいと思っている国だ。


 六国同盟対抗戦。

 6カ国同盟の学園から選抜された学生が魔法や剣等で競い戦う大会である。

 開催国が毎年変わり娯楽の少ないこの世界で最高に盛り上がる大会なのだ。

 今年の開催国はクコンホニ帝国である。

 優勝者並びに優勝国にはその国の王や帝に謁見する事が出来る。

 

 生徒会長挨拶が終わると俺の番だ。

 「新入生代表、主席デュラント・フォン・ワルキューレ」

 壇上に上がると更に緊張して自分が何を言ったのか全く覚えていなかった。

 わからないうちに席に着くとルミナスが「凄い難しい言葉を知ってるのね」と言う。

 「ん?俺何を言ったのか覚えていない」

 「緊張してたもんね」

 「うん」

 「でも、皆んな感心してたよ」

 「そうだといいんだけど」


 教室に入ると席は決まっていた。

 これも成績順で後ろ2席が俺とルミナスだった。

 他の教室と同じ広さなので5人で使うにはとても広い。

 その為一人一人の机も広くてロッカー等の収納スペースも広く取られている。

 これは寮にも当てはまる。

 4階建ての寮は1階にCクラス2階にBクラス3階にAクラス、そして男女1位には4階が与えられる。

 勿論、男女別棟で4学年全員が入寮している。

 同じ学園だがクラスが違うだけで格差が酷い。

 

 俺は4階の自分の部屋に入る。

 何処かのスイートルームのようだ。

 3LDK +メイド部屋で各部屋家具付きで寝室はキングサイズ。

 至れり尽せりだ。

 

 4年生から順に挨拶に行く。

 3人共いい人そうで良かった。

 部屋に戻り荷解きをし終わる頃には夕飯時となっていた。

 朝食と夕食は平民は食堂、貴族は各自の部屋で食べる事になっている。

 アイラが運んでくれた。

 「あれ?俺のだけ?」

 「はい。メイドはこの後食堂で頂いてきます」

 「そっか。一緒に食べれないのか」

 「デュラント様が食べ終わるまでお茶でも頂いています」

 「うん。それじゃお先に頂くね」

 「はい」


 次の日から授業が始まる。

 

 「おはようございます」

 「「おはようございます」」

 「では授業に入る前に自己紹介をそれぞれして下さい」

 「先ずはデュラント君から成績順にお願いします」


 「はい。デュラント・フォン・ワルキューレです。数学と剣術が得意です。よろしくお願いします」

 「ルミナス・フォン・ヘリテイジです。魔術が得意です。皆さんよろしくお願い致します」

 「シャルベール・ロイヤルよ。得意な物はないわ。好きな者は私より強い者ね」

 そう言いながら此方を見つめるシャルベール。

 平民には家名はない。

 貴族は領地名や陛下から下賜された家名を名乗る。

 王はフォン付きで国名を王族は自国内ではロイヤルを国外には国名を名乗るそうだ。

 

 フォンは英訳するとof、日本語だと〜に属するとか〜を所有するとかとなる

 デュラント・フォン・ワルキューレを日本後呼びすればワルキューレに属するデュラントとなる。

 陛下や領主は〜を所有するとなる。

 王族は王と同じフォンを付けないのは王だけがこの国を所有し属する者だと言う理由からである。

 なのでフォンがあるかないかは色々と関係してくるのだ。


 その後全員の自己紹介が終わると授業が始まる。

 座学はもう数年前に予習済みで全て暗記している。

 まぁ主席、次席は座学免除テストを受け合格すれば1年間、座学は免除されるそうだ。

 そのテストまで我慢だ。


 基本的に座学2、3時間、剣や魔法の実技が3、4時間の6時間授業である。

 この世界の土日に当たる日や祭日は休みとなる。


 学園から出るには外出届けを提出すれば夕方7時迄なら許可される。

 因みに寮の門限は8時、男子が女子寮に入る事は厳禁とされているが逆は問題ない。

 但し両メイドが必ずいる事が条件だ。

 勿論、許可制で両名のサインと半が必要になる。

 なので休みは基本的にルミナスと一緒だ。

 

 魔法の授業の初めは従魔召喚と言う魔法から始まる。

 魔法は勉強しなかったので従魔召喚の意味がわからなかった。

 「ルミナス、従魔召喚ってなに?」

 「従魔と言うのは自分に従う魔獣を召喚する魔法ですよ。その人に応じた魔獣が召喚されて名付けに成功すれば従魔が得られるのです。私はこれが一番楽しみなんです」

 「そうなんだ」

 「はい。昨日の夜はドキドキして眠れませんでした」

 「楽しみだね」


 「静かに。此処に魔法陣をがあります。この前に立って従魔召喚と唱えて魔力を送って下さい。一生付き合っていく家族となります。大事に育ててください」

 「「はーい」」

 「では自己紹介は1番からだったから5番から順にいきましょう。デニス君」

 「はい。従魔召喚」

 魔法陣から現れたのは魔狼(まろう)だ。

 「小さくて可愛い。名前はロンだ」

 「キャン」

 「次、ミッシェルさん」

 「はい、従魔召喚」

 黒赤熊(こくせきゆう)

 「よろしくね。名前はランス」

 「キュー」

 「次、シャルベールさん」

 「従魔召喚」

 火蜥蜴(サラマンダー)

 「貴方強い?名前はサラベール」

 「キュン」

 「次、ルミナスさん」

 「はい。従魔召喚!」

 聖獣翼馬(ペガサス)

 「聖獣よ。ルミナスさん」

 「凄い。よろしくね。名前はホワイト」

 「次、デュラント君」

 「はい。従魔召喚!」

 ゴゴゴゴゴっと出てきたのは神獣神狼(フェンリル)

 「ダメダメダメ」

 フェンリルの頭を押して魔法陣に押し返す。

 次に出てきたのは神獣古代竜(エンシェントドラゴン)である神竜(ヨルムンガルド)

 「またダメだ」

 次も結局、神獣大地竜(ヘル)

 「あーダメっ」

 「いい加減にしろ」

 担任は朦朧としながらツッコミをいれてくる。

 結局、最後には神獣3匹が一斉に飛び出してきた。

 「3匹出てきちゃった。フェンリルはフェル、ヨルムンガルドはガルド、ヘルはヘルでいいかな?」

 「いいよー」

 「良いぞ」

 「OK」

 「え?喋ったよ?」

 

 「先ずは、従魔は主人の言葉理解します。ルミナスさんの聖獣は人の言葉、思っていることを理解します。デュラント君、従魔召喚で出てきた従魔を戻しても召喚すれば出てきます。なので3回従魔召喚を行った事になりますね。3回とも神獣とは驚きを通り越して呆れてしまいますが。神獣は言葉を理解するどころか話します。会話が出来る従魔ですが召喚される事は稀です」

 「へぇよろしくな」

 「よろしく」

 「よろしく」

 「よろー」

 「なんだろ?ヘルはだいぶ砕けた会話だな」


 「では一度逆召喚してください」

 「「逆召喚」」

 ポンっと消える従魔達。

 「先生、従魔は何処へ行くのですか?」

 「そうだね。召喚と言う魔法の中とか心の中とか色々と説はあるわ。それでも、安心してほしいのは召喚獣達にとってとても住みやすい外敵のいない空間に送られるということです。後は授業中に召喚する事は禁止です。休憩や自室で召喚して下さいね」

 「「はい」」


 神獣が揃って1人の少年によって召喚された事はその日のうちに国王も知る事となる。

 「あの馬車を作ったワルキューレ家の神童か・・・。婚約者は?」

 「はい。ヘリテイジ伯爵家のルミナス嬢と婚約しており、シャルベール様を打ち負かして婚約を迫ったそうですがルミナス嬢との結婚の為、お断りになったとの事です」

 「そうか。付けいる隙も無しか。仕方ない。馬車の作成を急かしてそれを功としワルキューレ家を陞爵させよう」

 「わかりました」

 「デュラントか、覚えておこう」


 そんな事になっているとは知らないデュラントは部屋で神獣を召喚して戯れていた。

 「フェルはまだしもガルドとヘルは成長したらなかなか召喚できないな」

 「大丈夫。身体のサイズは自由自在に操れるから」

 「私もフェルも可能です」

 「よかった。ずっと一緒に入れるね。それぞれ特技はあるの?」

 「僕は最速の足と最強の力を持っています」

 「私はドラゴンの中では最強で全属性の最強ブレスを出せ、空では最速」

 「俺は最強最高の防御力と土を操る能力は誰にも負けないっす。足は遅いっす」

 「やっぱり凄いね」

 「「「いつでもお役に」たてるっす」たてます」たちます」

 

 次の日は研究室見学だ。

 勿論入らなくてもいい。

 その中で気になるのは古代魔法研究会、剣術向上研究会、従魔研究会、従魔とテイム研究会だ。

 見学は今日から3日間、その間は研究室の出入りが自由となる。

 勿論、勧誘等もあって一年の教室前は人がごった返している。

 先ず向かったのは古代魔法研究会。

 「こんにちは」

 中に入ると真っ黒なローブを着込んだ数名が詠唱したいる。

 何が始まるのか見ているとポンっと現れたのはなんと魔物だ。

 「これは?」

 俺に気づいた1人に聞くと、「魔物の従魔召喚よ」と答えてくれた。

 直ぐに部屋を出ると次は剣術向上研究会へと向かう。

 部屋を覗くと上半身裸のムキムキ達が剣を振るっていた。

 部屋に入る事なく退散だ。

 そのまま従魔研究会を覗く。

 此処は・・・ペット同伴OKの喫茶店だ。

 女子達が可愛い従魔をお茶をしながら愛でる会だった。

 「ダメだ」

 最後は従魔とテイム研究会。

 俺が未だに使っていないスキルがテイムだ。

 テイムについて勉強出来るかもと覗いてみる。

 ダメだ、此処は男達がカッコいい従魔をお茶をしながら愛でる会だった。


 全て撃沈。

 ふと目に入った研究会を覗いてみる。

 古代文明本研究会、古い本を読めるのか。

 入ってみよう。

 中には1人の少女が本を読んでいる。

 その姿勢というか姿に魅入られてしまう。

 「こんにちは。あ、あのー?この研究会はどのような活動をしているのですか?」

 「こんにちは。活動という活動はないわ。この部屋にある古代文明が残した本を読み漁る事ね。まぁ殆ど意味がわからないし読めない文字ばかりだけど。そんな文字をなんと書いてあるか想像することが楽しいと言う活動を1人でしているの」

 「1人なのですか?」

 「ええ、1人でも研究会は立ち上げられるわ」

 「そうなんですね。本を読んでもいいですか?」

 「構わないわよ」

 「ありがとうございます」

 そう言って一冊の本を手に取った。


 「なになに、魔法の原理と魔道具の可能性ね」

 「え?」

 「え?」

 「読めるの?」

 「あっ?」

 しまった声に出していたようだ。

 「いえ、想像です」

 「そう。びっくりするから声に出さないでね」

 「すみません」

 「ううん面白いわね」


 魔法は未だに手をつけていない。

 想像を具現化するやら魔力を感じてなどと言うが何が何やらさっぱりで想像して手から初級魔法が出るからいいやとそれっきり匙を投げたのだ。

 本を読み進めるもやはりファンタジー要素が強く魔力とは何かが曖昧でピンとこなかった。

 

 そうなるとやはりと剣術の本を手に取ったのだが、途中で時間が来てしまった。

 「この研究会はどう?」

 「凄く落ち着きます」

 「研究会に入っても参加不参加は自由よ。よかったら入ってちょうだい」

 「また明日も来ていいですか?」

 「勿論よ」


 次の日も本を読み漁った。

 俺はこの研究会に入会することにした。

 だって、毎日来ても4年で全部を読み切れないだろう古代文明時代の本がこんなにも揃っているなんて此処しかないだろう。


 座学免除になれば此処に通って時間を潰そう。



 「陛下、次の日休みは前王生誕日と建国記念日で学園も連休となります。ワルキューレ家の長男に馬車を作らせるにはいい日かと思いますが」

 「そうだな。使いの者を学園へ向かわせろ」

 「はい」


 昼食を食べ、教室で休んでいると担任に呼ばれる。

 一緒に学園に入ると、学園長ともう1人見知らぬ男が立っていた。

 「デュラント君だ。その人は陛下の使いのガハベルさんだ」

 「デュラント様、今日は陛下の使いで参りました。馬車の作成を近くある連休で頼むと言うことです」

 「ガハベルさん。ご苦労様です。わかりました、連休初日、王城へ伺います」

 「ありがとうございます。では失礼します」

 そう言って戻っていった。

 

 いよいよ陛下の馬車作りか。



ご覧頂きありがとうございました。

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