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入試中に婚約?

 錬金術が最上級に上がったので聖剣エスポワールの鞘作り。

 異世界代表ミスリル、アダマンタイトと地球代表、プラチナ、カーボンファイバーをお取り寄せ。

 

 日本代表に「鑑定」と。

 白金

 炭素繊維

 「うん普通だ」

 異世界金属とか書いてあったらどうしようかと思った。


 先ずはミスリル、アダマンタイトを液体化をして合金にする。

 カーボンファイバーを合金の中へ沈めて強化材として使用。

 コンクリートの鉄筋みたいな役割をしてもらう。

 「実際にはカーボンファイバーなんてこの世界には無い物だから隠しただけだけど」

 カーボンファイバー入り合金を鞘の形に型取る。

 硬化させたらプラチナで装飾する。

 薄い金地にプラチナが生える。

 聖剣の鍔にもプラチナで細工した。


 「鑑定」

 聖剣エスポワールを収める鞘、無銘。

 「鞘も銘が入る」

 悩んだ末に銘を与えた。

 「聖剣エスポワールを収める鞘の()は夢、レーヴだ」

 聖剣の時の様に光輝いた。

 鑑定すると・・・

 聖剣エスポワールを収める鞘レーヴ。

 聖剣エスポワールの再生、防錆、防汚にクリーニング。


 銘を与える事で聖剣エスポワールの為の鞘が完成したとも言える。

 

 鞘の完成と共に馬車に乗り込み伯爵領へ。

 今日から専属メイドにアイラが付いた。

 ルミナスと合流して王都へ経った。

 明るい内はルミナスとルミナスのメイドと共に一緒の馬車で向かう事に。

 これから販売しようと思っているオセロやトランプ、双六をメイドも一緒に遊んだ。

 一番反応が良かったのはオセロだった。

 娯楽の少ないこの世界ではシンプルな方が好まれる様だ。

 夕飯を御者を含め全員で食べて、各自部屋へと戻って行った。

 盗賊や魔物対策はバッチリだ、熊の突進でも壊れない剛性は確保してある。

 何かあれば俺も対処出来る様に天井に出入り口を付けた。


 夜も深け、本を閉じて蝋燭の灯を消す。

 眠ってどれくらいの時間が経ったのかも分からない深夜にアイラが声を掛けてきた。

 「デュラント様、お、お側で寝てもいいですか?」

 「どうした?」

 「1人で寝るのが初めてで怖くて寝れません・・・」

 ベッドはクイーンサイズで使ってある。

 子供が1人で寝るには広いスペースがある。

 2人くらいなら余裕で寝れるだろうり

 「なら一緒に寝よう」

 「え、え?一緒にですか?」

 「広いベッドだから大丈・・・夫」

 「はっはいってデュラント様?寝ちゃいました?」

 

 カーテン越しに朝日が差し込み目を覚ます。

 まだ眠い。

 だけど遅れる訳には行かない。

 目を開けると目の前にアイラの顔が。

 「え?」

 一緒に寝た記憶がなかった。

 デュラントは焦ってベッドから飛び起き何故一緒に寝ていたか考える。

 「ダメだ全く記憶にございません」

 するとノックがあった。

 「デュラント君、おはよう」

 ルミナスが声を掛ける。

 「おっおはよう」

 「朝食を食べて出発しましょう」

 「う、うん。ちょっと待ってて」

 「はい」

 急いで着替えると扉を開けるも直後、アイラの事を思い出して再び閉めた。

 「ごっごめん、ちょっと待って」

 「えっ?」

 

 「アイラ、起きて。早く起きて」

 「はーい。あと少し、あと少しだけ」

 「いいから起きろ」

 「あらデュラント様。ウフフ」

 「ダメだ。時間がない」

 アイラを抱き抱えるとメイド部屋に運んだ、これで完全犯罪、いや犯罪では無いが問題は解決された。

 

 「ごめん。ちょっと部屋を片付けるの忘れてた」

 「急に閉めるからびっくりしました」

 「ごめん」

 「大丈夫ですよ。あら?アイラは?」

 「初めて母と離れてしかも専属初日の緊張で寝れなかったみたいでまだ寝てるよ」

 「それは仕方ありませんね」

 「うん。ありがとう」

 「朝食は用意さてきました。アイラのは残しておきましょう」

 「そうだね。お茶を用意するから待ってて」

 「私がやりますのでデュラント様はルミナス様とお待ち下さい」

 「ありがとう」


 食事の前に紅茶を一杯飲んでいると。

 アイラが起きてきた。

 「デュラント様ー。あれ?一緒に寝たはずなのに」

 ブッー

 口に含んだ紅茶を吹き出してしまう。

 「な、な、何を言ってるのかな?」

 「デュラント君?どういう事ですか?ねぇ?」

 「あ、あ、そ、そんな事は無いよ」

 「デュラント様が夜寂しいなら一緒に寝てもいいって言ったんじゃないですかー」

 「いやいやそんな事は言ってない。言ってないよね?」

 「ウフフ」

 「デュラント君。同衾は結婚しないとしてはいけない事です」

 「す、すみません。全く記憶になくて」

 「私だってまだなのに」

 「ルミナス何か言った?」

 「なんでもありません」

 「ルミナス様、アイラ、今日は一緒に寝たましょう。デュラント様はお一人で寝て下さい」

 「はーい」

 

 そんな事も有りつつその日の日没後、王都手前で就寝。

 日没前には門が閉まってしまう為だ。


 翌朝、貴族専用門から王都へと入った。

 学園は貴族街と平民街の中心に建てられている。

 それぞれ貴族門と平民門があって平民は貴族門の使用を禁止されている。

 学園内では貴族、平民は無く平等と謳いながら何故一緒の門から入れないのか。

 そんな不満を覚えながら今日の試験に臨んだ。


 今日は主に筆記試験と面談。

 明日は魔力診断に実技試験となっている。

 100人を超える受験生から2日間のテストでAクラス5人、Bクラス10人、Cクラス15人の30人に絞られる。

 ここを落ちた者は隣街の公爵領にある学園へと試験無しで入学する。

 要するに、30人に残るか否かで将来が決まるとも言えるのだ。


 筆記試験は然程難しいものではなかった。

 数学は5分で終わってしまった。 

 担当教官が来てぼーっとしている俺を見て鼻で笑った。

 きっと出来なくて諦めたと思われたのだろう。

 なのであからさまに答案用紙をひっくり返す。

 すると教官はニヤニヤしながら近づいてきて。

 「どうした?もう終わりか?」

 そんな事を聞いてくる。

 「ええ、見直す程の問題ではありませんし寝てていいですか?」

 と答えると顔を真っ赤にして答案用紙を引ったくる。

 真っ赤な顔を少しずつ蒼く染めてプルプルしながら答案用紙を戻す教官。

 もしかしたらこの人が問題を作ったのかもしれない。

 

 時間が終わるとルミナスが教室に入ってきた。

 ルミナスの綺麗な長い銀色の髪、大きな赤色の瞳に男子は全員ルミナスに釘付けだ。

 「デュラント君、どうだった?」

 「全問正解だと思う」

 「流石ね」

 「ルミナスは?」

 「私も多分大丈夫」

 「勉強一緒に頑張った甲斐があったね」

 「うん」


 面談は1人の生徒に3人の教師で行われる。

 「名前」

 「はい。デュラント・フォン・ワルキューレと申します」

 「好きな科目」

 「はい。数学です」

 「何故この学校に受験にきた」

 「はい。将来、父の跡を継ぎ国王陛下の為、国民の為、そして領民の為にここで勉強して剣や魔法を学び人として大きく成長したいと思い受験しました」

 「以上です」

 「はい。ありがとうございました」


 9才の子供に対する面接と思えない対応をする教師たち。

 だが、そんな教師達が翌日にはころっと変わる事をデュラントはまだ知らなかった。


 

 翌朝のテストは魔力診断から始まる。

 診断機が幾つも並び呼ばれた準から並んでいく。

 時より「うおー」「すげー」等と声が上がる。

 今のところ最高は860前後といった所だ。

 ルミナスが呼ばれる。

 魔力診断機に手を翳すと数値が上がる。

 一斉に声が上がる。

 「か、可愛いのに凄い」、「今日一番じゃない?」等、全員がルミナスに注目する。

 結果は999で今のところ一番だ。

 相当恥ずかしかったのだろう、耳まで真っ赤にして戻ってきた。

 「歓声が聞こえて恥ずかしかった」

 「でも凄かったね」

 「ありがとう」

 「デュラント、デュラント・フォン・ワルキューレ」

 「はい」

 いよいよ俺の番だ。

 

 診断機の前に立つとザワザワし始める。

 「あの子カッコいいわ」、「ねぇ後で声掛けにいきましょう」、「ワルキューレ子爵に直ぐ結婚を申し込みなさい」とまぁ恥ずかしい。

 診断機に手を翳すと勢いよく数値が上がる。

 千を超えてもまだ数値の上がりはは衰えず。

 ようやく止まったのは8030だった。

 「8030だって?何かの間違えだ」、「嘘、こんな桁外れな」、「俺と同じ歳なんだよな」、「結婚の話は無しよ、あんなの化け物じゃない」等とまぁ否定的な意見ばかりだった。

 その中に、「デュラント君は化け物なんかじゃ無い!とっても優しい子なんだから」とルミナスの声が聞こえた。

 

 デュラントも耳まで真っ赤にしてルミナスの元へ戻っていった。

 その後、この国の王女殿下が最後に呼ばれて診断すると、1020とルミナスを超えてきた。

 しかし、順番が悪かった8030の次では皆の反応が薄かった。


 次は魔法と武器を使った戦闘能力の試験だ。

 診断の順で並んでいると、王女殿下が話しかけてきた。

 「ねぇ、私と結婚して。そして最強の子を産みましょう」

 俺より早くルミナスが反応する。

 「殿下どう言う事ですか?」

 「そのままよ」

 「デュラント君は私の旦那様になるんだから近寄らないで」

 ルミナスの言葉に驚くデュラント。

 だけどここはルミナスの勢いに乗ろう。

 「殿下、申し訳ありません。自分はルミナスと結婚を考えています」

 ここでルミナスに目配せをしてウインク。

 耳を真っ赤にしてルミナスはこちらにウインクを返した。

 「第二夫人でも構わないわ」

 それでも引き下がらない殿下。

 「殿下を第二夫人等には出来る訳ないじゃないですか。かと言ってルミナスを第二夫人なんて考えられませんので殿下には諦めてもらう他ありません」

 「わかった。今日のところはこれで引くわ」

 え?今日のところは?


 いつの間にか周りがざわついていた。

 「また傾国姫よ」、「ルミナス様とデュラント様の間に割って入ろうとするなんて。傾国姫許せない」


 「騒がしいね。皆んなが言う傾国姫って?」

 「デュラント君知らないの?」

 「うん」


 ルミナスがポツリポツリと語りだす。

 アストラベル王国シャルベール第三王女殿下、通称傾国姫(けいこくひめ)

 何故傾国姫と呼ばれる様になったのか。

 元々殿下は自由奔放で破天荒な性格だった。

 結婚相手も自分よりも強い男と決めていたそうで、陛下もそれを知ってか隣国の第一王子と婚約する事になった。

 初めて顔を合わせる事になったのは式も決まって衣装合わせをする時だった。

 隣国の第一王子は殿下を痛く気に入って、饒舌に自分の強さを殿下に聞かせたそうよ。

 殿下はそれを聞いて笑顔で王子に言ったの。

 「それなら私と決闘しましょう」と。

 王子は自分の強さに傲ってはいたが、できた人だった。

 「殿下に手を挙げることなど出来ない」と断った。

 そうしたら殿下は激昂して止められるまで30分程

の間、王子に暴行を加えた。

 顔面の複雑骨折、前歯と奥歯の一部が抜け落ち、両耳の鼓膜は破けていたそうよ。

 回復魔法も効かない重症で高い金を払いエリクサーを入手して完治したとか。

 これが原因で隣国のとの貿易はストップ、戦争も辞さない覚悟で隣国の国王は多額の賠償金の支払いを命じたわ。

 勿論、戦争になれば勝ち目はなかったし陛下は言われるがまま賠償金を支払ったのよ。

 そのおかげでこの国は未曾有の危機に瀕したわ。

 その原因を作った殿下は傾国姫と言われて忌避され最近まで自室に軟禁されていたみたいね。

 出てきて直ぐ、パーティーに出席すると9歳となり美しくなったと評判で直近では傾国の美姫(びき)なんて呼ぶ者もいるそうね。

 

 「そんな事があったんだ。知らなかったよ」

 「結構有名よ。数年前の話しだし、父達もその件で王都から暫く帰って来なかったわ」

 「確かに数年前に一年位家に父は居なかったな」

 「帰ってきて皆んなが噂していたもの」

 「多分、数年前の俺はそんな強い人がいると知ったら挑んでたかもしれない。だから皆んな黙っていたのかもね」

 「デュラント君らしいわね」

 「そうだね」


 ルミナスがデュラントを見つめる。

 「デュラント君、さっきの話し本気にしていいの?」

 「さっきの話し?」

 「第一夫人にしてくれるって話しの事よ」

 「え?」

 「えー?嘘なの?」

 「う、う本当だよ」

 「やったー!帰ったらお父様に報告しなきゃ」

 「そ、そうだね」

 目配せしてウインクした筈なのに・・・

 

 デュラントは知らなかった。

 ウインクは貴方の事が好きだと伝える場合に使う事を、ルミナスは殿下を遠ざける為の嘘だと気づいていた。

 それなのにデュラントがこちらを見てウインクしてきたので本気なんだと勘違いしたのだ。

 だからルミナスも自分の本当の気持ちを伝える為に耳まで真っ赤にしてウインク仕返した。

 殿下もそれを見て第二夫人でもと言い出したのだった。


 デュラントがウインクの意味を知ったのはそれから数年後の事だった。

ご覧頂きありがとうございました。

ブックマークよろしくお願いします。


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