剣と魔法の世界に銃を持ち込んだ結果
2日目開戦。
共和国軍が一斉に突撃する。
頃合いを見て「撃てー」と声を張り上げる。
乾いた発砲音が響き辺り、直ぐに共和国軍の前線は壊滅。
パニックに陥り撤退する前線に後ろから来る第二陣が入り乱れる。
マガジン3個90発を撃ち終わると前線から後退。
主力前線部隊が共和国軍の乱れた所に強襲する。
そして俺は一人高台へ移動するとレミントンMSRを取り出し伏せてボルト引いて弾を装填し戻す。
AKとは別に取り寄せた狙撃銃だ。
レティクルを合わせて共和国軍の銃持ちを狙撃する。
ミスしても入り乱れた敵軍の誰かには当たるので気にしない。
ジャンジャン撃っていく。
それはよりパニックを煽りいい意味で味方を勢い付かせた。
その日の夜、アドレナリンが切れたのか吐いた。朝まで吐いて眠れなかった。
俺が撃ち殺した相手の事を考えると、戦争とはいえ・・・震えが止まらなかった。
2日目、共和国軍は万単位の死者を出した。
総大将のケビン・ジョーダンは焦っていた。
「私の銃よりも正確な、そして強力な銃を同盟軍は持っていた。何故だ?私と同じ様な者が相手側にいるのか?であればこちらに引き入れたい。そうだ、そうすれば次の大統領選に私が選ばれるに違いない。私が大統領になれば魔法が使えない事をバカにしてきた奴らに仕返しが出来る」
3日目は共和国軍も動かず、この日はなにも動きもなく終わった。
その日の夕方から始まった会議で、共和国軍は銃に恐れをなして動かないだろうとの結論に至る。
会議の末席で参加する俺はある提案をする。
「これから私の兵を左右の林から敵の真横に移動させます。開戦と同時に共和国軍を囲って殲滅すると言うのはどうですか?」
「左右に銃兵、前から我々が押し込むと言うことか・・・いいだろう。敵の殲滅もそうだが、総大将のジョーダン軍務大臣を狙う部隊も編成できるか?」
「それなら私が責任を持って叩きます」
「よろしい。明日は共和国軍を撃滅する。皆、そのつもりで頼む」
「はい」
直ぐに兵を召集すると左右に分かれ林の中を進軍する。
敵兵も見張りを森に放っており、数名に渡したサプレッサーを取付けて音なく倒して行く。
気付かれない様、林奥で待機。
見張りを付けて仮眠を取る。
4日目
同盟軍が一斉に待つ共和国に突撃する。
それを確認すると俺達は林から出て共和国軍後方を銃撃。
俺は林の中から最後方の敵陣をスコープで覗く。
敵陣には6人の将が待機していた。
その中に、1人迷彩のヘルメットの男を発見。
狙撃体制に入った。
「彼が地球人か。銃を持ち込んだ男」
私は自陣で焦っていた。
銃兵が左右から迫ってきたのだ。
だが後退は出来ない。
負けたら私の大統領の夢は潰えるからだ。
そんな事を考えていると視界のギリギリのところでキラリと何かが光った。
あれは狙撃手だ。
俺は咄嗟に椅子ごとひっくり返る。
俺は照準を合わせて引き金を引いた。
しかし直前でその男は後方にひっくり返った。
ズドン
けたたましい音とほぼ同時に私の脹脛に痛みが走る。
間に合わなかった。
足を引き摺りながら天幕に入り隠れる。
「クソクソクソッ!狙撃銃まであるとは。クソ!」
「ジョーダン総大将、大丈夫ですか?」
「大丈夫な訳ないだろー」
「申し訳ありません。直ぐに治療を」
「報告したします。我が兵半数壊滅。戦意を失い蹂躙されています。直ぐに撤退命令を出すべきです」
「クソ!撤退だ。そして直ぐ回復魔法を使える者をよこせ」
「はっ」
この日、共和国軍は総大将の負傷、兵士の数が3分の2を失った所で全軍撤退となった。
銃などないこの世界、自動小銃300丁と狙撃銃1丁で異例の早期終戦。
軍はそのまま共和国に進軍。
共和国に対して戦後処理がなされた。
損害賠償金、銃の破棄等を巡って第二ラウンドが行われたがこちらも勝利。
そしてこれを持って停戦協定は結ばれた。
王都に戻ると門から王城までの凱旋パレードが始まる。
王城に入ると一般兵はボーナスを支給され、帰宅した。
残った私兵は待機して待つ。
大隊長クラスは貴族と一緒に謁見の間へと入って片膝を付いて待つ。
「では論功行賞を始める。呼ばれたものは前へ。この度、我が国の総大将として同盟を勝利に導いた、エバンス元帥。鳳凰一等勲章とミスリル金貨5枚を与える事とする」
「ありがたき幸せ」
「次に、デュラント・フォン・ワルキューレ。共和国軍の主力であった銃よりも強力な銃を作成し、私兵300を以て同盟軍の勝利に導いた。よって鳳凰一等勲章とミスリル金貨3枚を与える事とする。また、次の功の際は侯爵とする事も検討する」
「ありがとうございます。この勲章に恥じぬ様これからも努力致します」
因みに鳳凰勲章とはこの国の王が直々に送るこの国最高の勲章である。
一等から三等までありこれは身分によって変わる。
一等は公爵〜伯爵、二等は子爵〜士爵、三等は平民となる。
同じ勲章でも身分によって差を付けないと後々問題が出てくるからだそうだ。
その後、領へと戻り次の日には学園へと戻った。
そして、戦が始まって以来最大の山場が訪れる。
殿下との婚約をルミナスに話すのだ。
緊張で手汗が・・・。
教室に入ると皆が戦争の話を聞きたがる。
俺はルミナスと話がしたかったが今日一日、俺の周りには人だからが出来ていて話す事も出来なかった。
一度話す機会を失うと中々話辛く・・・。
あっという間に5日が過ぎた。
「ル、ルミナス」
「はい」
「今回の戦争で・・・」
「戦争で?」
「あのーけ、傾国姫と・・・」
ルミナスが何かを感じ取ったのか目を伏せた。
「ごめん。でも今回の戦争でどうしても隠しておかなきゃならない者があった。まさかその代償が姫との婚約とは。勿論、ルミナスが第一夫人でいいと陛下は言ってくれた。必要なら子爵や男爵に養子に出してくれるとも」
「でも・・・」
「本当にごめんなさい。ルミナスが許せないなら俺はどんな罰でも受けるよ」
「そんな事・・・」
そんな時に傾国姫の登場だ。
「あら?未来の旦那様に第一夫人様、ご機嫌様」
「あら?泥棒猫姫さん。ご機嫌様」
修羅場、生修羅場だ。
こんな時、男は当たり障りのない事しか言えないもので。
「まぁまぁ2人とも落ち着いて」
だが不要な一言で怒りを買ってしまったようだ。
「デュラント君、何?誰のせいだと思ってるの?私のせい?」
「ごめん」
後は少しずつ気配を消して待つ事しか俺には出来なかった。
一方その頃、共和国、ジョーダン軍務大臣は解任され戦犯として牢に入っていた。
「私は悪くない、悪いのは同盟軍の奴だ。俺は悪くないんだ。頼むから出してくれ。俺の次の一手が有ればこの世界を取れる」
「そうですか?もしかしてこの事かな?元大臣」
「そうだそれが有れば」
「説明して下さい。場合によっては大統領に釈明してあげますよ」
「おお、流石新たな軍務大臣。話が早くていい。これは・・・」
次の日、ジョーダンは処刑された。
ノートにびっしりと書かれた地球の技術の全てを、新たな軍務大臣に話した後だった。
新たな軍務大臣はジョーダンの話を聞き六国同盟を蹴散らせると踏んだ。
その為に軍の再編成を一刻も早く行おうとした。
しかし今の共和国にはそんな力は残されていなかった。
共和国が落とした国の民が敗戦と共に暴動を起こし始めたのだ。
鎮圧にも兵が足りず残っている兵と共に徴兵した兵すらもそちらに回していた。
賠償金に主力の銃の破棄、そこにきて暴動と四面楚歌の共和国だ。
追加の徴兵など無理な話だった。
そして新たな軍務大臣は知らない。
デュラントの取り寄せられる技術と約80年も違っているなど知る由もなかった。
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