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その体に出会いと別れの挨拶を ~あの日、憑依した少女にもう一度出会うために~  作者: 炭本 良供
二章「インターフェース」

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五話『俺は俺の体を見る』

「どうすれば、あの少年を救えるんだ?」


 俺の体を奪った人物が去った後。

 また、彼に何も言うことができなかった俺は、一人考え込む。


「あっ」

「?」


 ふと、彼と言い合いになっていた妹の莱夏の姿が目に映る。

 莱夏と目が合って、沈黙が流れる。

 

「…………!」


 そしてその末に、俺はとある問題に気づいた。


――――マズい! 俺は今他人の体に憑依している。憑依のことを知らない莱夏とっては、ただの不審者……!


 俺が憑依している人の印象や評判を悪くするのはよくない。

 つまり、俺が今すべきことは――――


「あの――――」

「し、失礼しましたー!」

「えっ!?」

 

――――何かを言われる前に退散することだ。



 ※ ※ ※



「これからどうしようか…………」


 ひとまず莱夏と一定の距離を取った後。

 再び俺と俺の体に関する問題について考える。

 今の体は自分の体でない以上、迂闊な行動は避けなければならない。

 とはいえ、俺の体を奪った少年の不可解な言動も気になる。


『全部消してやる。お前も。お前の周りの全てッ!』


 彼の涙の向こうに見えた怨念。

 彼が何をしようとしているのか知る術もない。

 それ故の不安。


「一応、桃李たちに知らせておこう。何が起こっても対応できるように」

 

 だからこそ、慎重に行動すべきだ。

 俺は、桃李たちにこの問題について伝達するために、彼らの拠点へと向かった。



 ※ ※ ※



 桃李たちの拠点へと繋がる小屋に辿り着いた。

 小屋のドアを開けようとする。


「っ、何だ!?」

 

――――その瞬間だった。

 町のほうから爆音が鳴り響く。


「…………見えない」


 何が起こったか確認しようとする。

 でも、木々が邪魔で町の様子がわからない。


「以前の火事の被害があったばかりなのに」


 炎を扱う男による被害も完全に復興できているわけではない。

 なおさら、俺の中で不安が膨れ上がる。


「!」


 小屋の中が騒がしい。

 桃李たちの間でも騒ぎとなっているようだ。

 複数人の声が次第に近づいてくる。

 そして、小屋の中から現れたのは仲間を引き連れた桃李。


「桃李! 一体何が起きたんだ!?」

「あ、ああ――――? 誰だ?」

「俺だ。示杞だ!」

「!? …………憑依か」


 桃李は一瞬戸惑うも、俺を示杞だと認識する。


「…………なら、町の監視カメラに映った、お前に似たやつは誰だ?」

「!?」


 だが、桃李にとってそれは異常だった。

 町の監視カメラに俺の体が映っていたというのだから。


「…………アイツだ」


 その正体は、間違いなく俺の体を奪った者。


 彼は既に動いていた。

 彼の瞳に映った俺への憎しみ。

 それから感じ取った悪い予感が的中しないことを祈るばかりだ。

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