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献上品はタコ

15分後、恐ろしい速さで道を駆け抜ける3人の姿があった。

先頭のクラウスはリインの頭の方、後方のルスランは足を抱えて、一心不乱に次の街を目指していた。


「いや…ただ色とりどりなだけで他は大丈夫だから…」


ゆさゆさと運ばれながらリインが呼びかける。


「いいや!おにいちゃんの一大事!我々にお任せを!」


「動き過ぎが原因でドットが取れなくなったら大変ですよ!」


それは嫌だな。


リインは口を閉ざした。


「もう少しで次の街、フローリアン領の街フォルテに到着します。そこには呪い解除で有名な僧侶がいたはず!今暫くご辛ぼ………」


クラウスが言葉を途中で途切れさせ、2人の歩みが止まった。


「どうした?」


のどかな青空しか見えないリインがキョロキョロと首を動かす。


「お前ら、面白いの抱えてるじゃねえか」


何者かの偉そうな声が聞こえる。


「面白いて…

「しっ!お静かに!フローリアン領の傭兵です」


ルスランが小声で伝える。


「何だそれ?このバーグ様に見せてみろ」


「まずいことになりましたな…」


クラウスが困った様に呟いた。

足を下ろしたルスランがそっと耳打ちしにくる。


「ここで戦って領主一族と揉めるのは避けたいです。

…リインさん、ちょっとヤバくて関わりたくないヤツの演技出来ますか?それで切り抜けましょう」


ヤバくて関わりたくないヤツ……


リインは一瞬考えた後、半目を開けて顎を極限まで引き、口だけを微笑ませながら

「ゴポゴポ、ゴポゴポ、ゴポゴポ」

と笑い出した。

もちろん脚もブルブル震わせている。


これは水玉の肌と合わせて最悪だ。

その救いようのないヤバさに振ってきたルスランでさえどん引きの表情だ。


「お?面白い動物じゃねえか。タコかな?」


だがしかし、まさかのバーグという傭兵には受けてしまったようだ。

クラウスのしまったという緊張感が手から伝わってくる。


ごめん、クラウス…ルスラン…

リインはその顔のままゴポゴポ言いながら心の中で謝った。



「この動物はロザベールお嬢様への献上品とする。置いて去れ」


「くっ…それは…お断りさせて頂きたいのだが…」


クラウスが絞り出す様に返事をする。


「じゃあ、お前らも生け捕らせて頂くぜ」


バーグが指を鳴らすと、周囲から何人もの傭兵らしき屈強な男たちが現れた。

正面の様子が分からないリインが見える範囲でも5〜6人いる。


「万事休す、ってやつですか…」


ルスランが悔しげに呟く。


いまいち情報が掴み切れていないリインは、万事休すって言う11歳児初めて見た。と思っていた。

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