表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/118

首都の夜


 首都テノール学院区の通り沿いにある宿は、こじんまりとはしているが綺麗に掃き清められていた。

 レッジェーロの粗雑な普請の安宿とは居心地からして違う。

 まぁ、値段も倍以上だが……。


 時刻は夕方。

 メンバー全員が、俺の部屋に集まっていた。

 召喚獣二人も出してある。

 リヴィアはベッドに腰掛ける俺の隣に座り、ランスロットは青い人魂の状態で部屋の片隅に浮いていた。

 ランスロットをちゃんと召喚するのは初めてだったが、『あの巨大な鎧は仮の器なだけで、すでに肉体を失った私に実体は無いのです』とのことだ。

 戦闘になったらどう戦ってくれるのだろうか……?

 近々試しとこう。うん。


「しかし……さっそく洗礼を受けたわね」


 ミアが悔しそうに言う。

 昼間のあの騒動のことだろう。


「あの程度のレベルでファッキン偉そうにされるなど、たまったものではないね」


 リヒャルトが肩をすくめた。

 〈観察〉を持っていないミアには、あの後、連中のレベルをこっそり教えたのだが……。

 予想に反して、驚いてはいなかった。


「ま、レベルに関しては、わたしたちはコージとリヴィアのおこぼれを貰っただけみたいなもんだから何も言えないわ」


 マールも苦笑した。


「そうですね。それに、装備もこれですから……。ぱっと見たままじゃ、低レベル冒険者のままですし」

「あ! ねぇねぇ! じゃあ、装備買いに行こうよ! コージに、もっとかっこよくて強そうなの着てほしいなぁ」

「いいですね。我が主には、総霊銀製のフルプレートアーマーが似合うかと……」


 盛り上がりかける召喚獣二人。


「はいはい、ストップ。明日が試験なんだから、そんな暇ないわよ」


 それを止めたミアに、リヴィアが「ぶー」と口を尖らせて俺に寄りかかった。


「つまんないなぁ」


 俺の胸に頬をぐりぐりと押し付けながら見上げてくる。

 顔が近い。相変わらず可愛い。

 俺が思わず髪をぐしぐしと撫でると、リヴィアは気持ちよさそうに目を細めて、


「んー……」


 と唇を差し出しながら目を閉じた。


「コラコラコラ! 何やってんのそこ!」


 ミアが俺とリヴィアを引き剥がす。


「相変わらず仲良しですねぇ」


 マールは可愛くじゃれる動物を見るように微笑んでいた。


「とにかく、装備は後日! まぁ、確かに必要だからね。無事入学したら買い揃えましょう」

「しかし、この街の雰囲気は相変わらずだね……」


 リヒャルトが考え込むように呟いた。


「今朝言ってた『ある一部』の悪い面、ってやつか?」

「そう。上は貴族から、下は貧民。街の区画すら隔離され、そのヒエラルキーは絶対なものさ」


 リヒャルトの話では、このテノールの街は一般的な市街地〈商業区〉。

 国立学園のある〈学園区〉。

 丘の頂上、王城の聳える〈王城区〉。

 そして最下層に位置する〈貧民区〉に分かれているらしい。

 王侯貴族の子息たちの中には十五歳の成人と共に学園に入る者が一定数いるらしく、それらと平民や冒険者の生徒が同じ学び舎でくらしているのだ。

 まぁ、ろくなことにならないのは想像がつく。


「レッジェーロは独自性が強くて、商人と冒険者ギルドが力を持ってたから良いけど……。やっぱり首都は違うわね」


 ミアが言う。


「今日みたいな連中に俺のレベルがバレたら、面倒なことになるよな……。何か対策できないのか?」

「まぁ、自分からステータスでも開示しない限り、バレることは無いんじゃない?」

「〈観察〉されたら?」


 俺が心配そうに言うのを、マールが小さく笑った。


「ふふ。レベル400以上の人に〈観察〉を成功させられる人間なんて、普通は存在しませんよ」

「そゆこと。相手にはレベルすら分からないはずよ。まぁ、〈観察〉を100まで上げてるような変態がいたら分からないけど」

「ねー。そんなに気にしなくても大丈夫だって。あたしは全世界が敵になってもコージの味方だから。コージのためなら大陸の一、二個滅ぼしてあげる」


 再び俺に寄りかかりながら言うリヴィア。


「そこ! いちゃいちゃしない! っていうか、大陸の一、二個って……。リヴィアが言うとシャレにならないわね」


 ミアが顔をひきつらせる。


「それに、コージのレベルはたとえ噂になっても誰も信じないさ」


 リヒャルトの言葉にマールがくすくすと笑う。


「それはそうかも。私も、もしコージさんのこと知らなかったら絶対信じませんもの」

「ひとをバケモノみたいに言うなよ」

「違ったの?」


 ミアの言葉に全員が笑う。

 その後、翌日の打ち合わせをして、俺たちはそれぞれの部屋で眠りについた。


第二幕もいよいよスタート!

ブックマーク、評価してくださった皆様、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ