旅立ち
「あ、やっぱここにいた!」
ミアだ。大荷物に旅装束姿だった。
その後ろには、リヒャルトやマールの姿もある。
さらに、まだ身体に包帯を巻いているダスクも来ていた。
「どうせこっそり出てくんだろうと思ってたわ。そうは行かないわよ」
ミアがそう言って俺の肩を小突く。
「マイ・ロード、コージ。わたくしとキミは、いつでも一心同体さ」
いつもの調子でひざまずくリヒャルト。
すると、ダスクが俺の肩に手を置いてから深く頭を下げた。
「コージ。マールの事をよろしく頼む」
「おいおい……。パーティの仲間じゃないのか?」
ダスクは肩をすくめた。
「パーティは解散だ。マールにはずいぶんとレベル差を付けられちまったからな」
たしかに、今回の冒険でマールは俺たちと一緒にかなりレベルが上がっていた。
「それに、仲間が二人もあっちにいっちまった」
ダスクの瞳に深い悲しみが差す。
「…………」
「俺は一から鍛えなおす。それまで、マールを頼む」
熱い手のひらで俺の手を握るダスクの言葉に、俺は頷いた。
「コージさん。末永く、宜しくおねがいします」
マールが俺に深々と頭を下げた。
なんだか、他のシチュエーションを想像して無駄にドキドキしてしまう。
「で、よ。どうせあんたの事だから、目的地も何も決めてないんでしょ?」
ミアが言う。
「どうせって……。まぁ、そうだけど」
「決めといて上げたわ。目指すは首都テノール! 〈テノン国立学園〉よ! ここを卒業すれば、面倒な試験も順番待ちもせずに探索者になれるわ!」
そう言って、ババーンと一冊の冊子を掲げる。
そこには『テノン国立学園 魔術校 入学試験要項』と書かれていた。
「ええええぇぇぇ!? 国立学園!? 俺のレベルで行けるもんじゃないだろ!?」
「何言ってんのよ。あのクラスターを一人で倒したのよ? 相当レベルが上がっててもおかしくないでしょ」
「……あ。ステータス……」
ミアの言葉で、ハッと思い出した。
そういえば、忙しすぎて自分のステータスを確認することも忘れていた。
この世界の生活が短いから、ステータスの存在などすぐ抜け落ちてしまう。
俺は慌てて自分のレベルを確認した。
【坂内コウジ Lv:453
HP:2,736/2,736
マナ:0/4107
AP:400/400
ジョブ:召喚師
スキル:召喚術 400 魔獣語 80 幻獣語 80 神獣語 80 観察 60
装備品:冒険者の服】
「よ、よよよよ……よんひゃく、ごじゅうさん!?」
「はああぁぁぁぁ!?」
「き、聞いたことありませんよ、そんなレベル……!」
「さすが、マイプレシャス! エキセントリックな数値さっ!」
顎が外れそうなほどに驚く俺とともに、ミアたちも驚愕の声を上げる。
「いや、相当上がってるだろうとは思ったけど、ここまでとは思わなかったわ……」
「なんだか、私たちの上がったレベルなんて誤差くらいに思えてきちゃいましたね」
マールが苦笑してミアたちと頷きあう。
三人が揃ってステータスを開いた。
【ミア Lv:67
HP:420/420
マナ:633/633
ジョブ:雷術師
スキル:雷魔術 68 高速詠唱 54 セルフチャージ 51 弓術 49 体術 42
装備品:狩人の服】
【リヒャルト Lv:61
HP:384/384
マナ:579/579
ジョブ:炎術師
スキル:炎魔術 65 重詠唱 47 観察 40 瞑想 35
装備品:魔術師のローブ】
【マール Lv:42
HP:270/270
マナ:408/408
ジョブ:神聖術師
スキル:神聖魔術 55 瞑想 26 観察 22 棍術 21
装備品:樫の杖 聖職者のローブ】
それぞれが大幅にレベルアップしていた。
「私たちも、今までは遠い夢だった国立学園に入れるレベルになった、ってわけ」
俺はまだ理解が追いつかない頭で今後のことを考えた。
「国立学園、魔術校……」
ということは、学生?
この歳になってもう一回学生生活を送ることになるのか?
「…………ま、いっか」
とりあえずあーだこーだと考えるのはやめにしよう。
他に行く宛があるわけでもない。
『学校!? たーのしそー!!』
『騎士学校のようなものでしょうか。じつに懐かしいですね』
勝手にはしゃぐ召喚獣たちに苦笑する。
街の門を出ると、荒れ果てた大地にうっすらと緑が生まれ始めている。
『ねぇ、コージ。どんなときも、あたしがついてるからね』
爽やかな風が吹く中、俺はミアたちと共にレッジェーロを旅立った。
第一幕完結ッ!
ここまで読んでくださった方々に、心から感謝を……。
ブックマーク、感想、評価ありがとうございます。
まだの方も、気に入っていただけたら、これを期にぜひお願いします!
来週から、第二幕『学園編』スタート予定!




