前へ目次 71/71 エピローグ 父の手帳 窓辺に置かれた手帳。 窓の隙間から吹いた風で、ぱらぱらとページが捲(めく)れていく。 最後の一ページが開いた。 『童話に書かれていた海をロランに語った。 ロランは目を輝かせて笑った。 その目の中に海が見えた。 例え世界に海がなくても、ロランの笑顔が俺にとっての海だ。 芽吹くなら、ロランのそばで。 そこが海じゃなくても、俺はきっと芽吹けるだろう。 ロランが笑ってさえいてくれたら、どこででも』 風が収まると手帳のページがそっと閉じた。