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これまでの復習も兼ねて、より複雑にしてみた

「うーん……と」

「どうかしたのか? 神さま」

「いや、これまで結構説明してきたから、ある程度は大丈夫なんだけど、他に教えてないことはなかったかなぁって(ピンポーン)」

「んっ? 誰か来たみたいだな(スタスタ)」

「……えっと、税金については前回説明しているし、未払金と買掛金の違いについては亜紀さんのお店で説明しているし――」

「おっす、今日も勉強してるかぁ」

「あれ? 和美さん、今日は珍しくスーツ姿なんですね。いつもは帽子に前掛け姿なのに」

「いやなぁ、これから宮崎の方に一泊二日で出張しないといけないんだよ。その挨拶で来たんだ」

「出張……和美さんっ! その出張ってお金をもらってるんですか?」

「いやもらってないな。戻ってきたら精算するつもりでいるぞ」

「よし。今回はそれに関することを教えるよ」


 取引 出張者に前もって現金50,000円を旅費として支払った。

 (仮払金)50,000(資産▲)(現金)50,000(資産△)


「『仮払金』?」

「そのままの意味で仮に払っておくってことだね。経理でお金を整理しないといけないんだけど、その出どころがわからない。だからその場合『仮払金』として仕訳るんだよ」

「その『仮払金』を現金として受け取った場合、戻ってきたら旅費として仕訳てもらうんだ」


 取引 最終的な旅費は55,000円だった。

 (旅費)55,000円(現金)55,000


「出張って旅費になるんだな」

「宿代や食費の他に飛行機とか新幹線を使っているから、正しくは『旅費交通費』という勘定項目で仕訳られるんだ。それじゃぁさっきの取引のお金を2万円にして、一泊二日というかたちで、食事を2,000円にして、新幹線は往復4000円として仕訳てみようか」


 取引 仮払金20,000円を精算。そのうち食費として2,000円、交通費として4,000円、宿代として10,000円を支払われていたので、その分を精算し、残りを返してもらった。

 (旅費交通費)14,000(費用▲)(仮払金)20,000(資産△)

 (外食費)2,000(費用▲)

 (現金)4000(資産▲)


「あれぇ、宿代とかはないのか?」

「ちゃんと旅費交通費の元帳に記入されるよ。ただ旅費として含まれることのほうが多いかな。今回は交通費も含んだ状態で仕訳てるよ」

「ちなみに受け取った『仮払金』以上を使った場合はその分支払うか給料から天引きされるな」


 取引 出張費として出した仮払金20,000円に対して、請求された金額は24,000円だった。その不足分を現金で払ってもらった。

 (旅費)24,000(費用▲)(仮払金)20,000(資産△)

 (現金)4,000(資産▲)


「えっと、旅費から現金を引いた分が仮払金になるのか」

「そうだね。ところで公人くんは出所のわからないお金を振り込まれていたらどうする?」

「自分の口座に入ってるなら自分のものになるから嬉しいな」

「あのね、会社じゃそういうわけにはいかないから、そういうことが起きた場合、こういう仕訳方をされるんだよ」


 取引 当座預金に出所のわからない20,000円が振り込まれていた。

 (当座預金)20,000(資産▲)(仮受金)20,000(負債▲)


「当座預金に振り込まれたから資産にはなるけど、これがなにに対してのものなのかわからないから『仮受金』として負債というあつかいになるね」

「そしてそのお金が売上によるものだった場合はこうなる」


 取引 原因不明の入金20,000円は、先日の商品を売ったときの売掛金の振込だった。

 (仮受金)20,000(負債△)(売掛金)20,000(資産△)


「そして処理が終わっていない取引の仕訳に当てはまるかをしらべて、当てはまれば処理するんだよ。だから『仮受金』は負債になるんだ」

「でもこんなことって有り得るんだな? 仕訳ていればなにに振り込まれているかなんてわかるのに」

「公人くんや和美さんみたいに、常に人と対面して商売をしているのと違って、掛取引みたいに後払いが行われることもあるから、ほとんどはそれで生じたやつだね。だからといってそのままにしておくと気持ち悪いから急いで処理するんだよ。どんなにちいさな金額でも負債はやっぱり抱えたくないし」


 取引・一 20,000円の商品を仕入れ、それを買掛金として後日支払うことにした。

 (仕入)20,000(費用▲)(買掛金)20,000(負債▲)


「これは買う側の視点から見た取引の仕訳です。後日に支払われることになっていますので、この時はまだ買掛金が負債として仕訳られます」


 取引・二 取引・一に対して、その代金を当座預金から支払った。

 (買掛金)20,000(負債△)(当座預金)20,000(資産△)


「買掛金がなくなったことで商品の代金を支払ったことになります。さて、これが売り側からの視点で、このようなことが起きたらどうでしょうか?」


 取引・三 20,000円の商品を販売し、それを売掛金として後日入金されることになった。

 (売掛金)20,000(資産▲)(売上)20,000(収入▲)


「さきほど(取引・一)の取引ですから、その逆だと思ってください。さてこれがすぐ後に同じような取引がされた場合」


 取引・四 20,000円の商品を販売し、それを売掛金として後日入金されることになった。

 (売掛金)20,000(資産▲)(売上)20,000(収入▲)


「このように同じ取引(コピペに違いないですが、実際有り得ることです)が生じた場合、掛取引ではいつまで払わなければいけないかという決まりが基本的にないので『仮受金』ということが生じます」


 取引・五 原因不明の20,000円が当座預金に入金されていた。

 (当座預金)20,000(資産▲)(仮受金)20,000(負債▲)


「そしてこの取引・五が取引・三と四のどちらに対しての入金だったのかわからなくなると、経理としてはイライラになります」

「どっちも同じ値段なんだから、どちらかに処理してもいいんじゃないか?」

「それでも構わないんだけど、もしかしたら手違いだった場合もあるから『仮受金』は負債の中でも取り扱いが難しいんだ」

「手違い?」

「銀行での振込の場合、間違って違う口座に振り込まれていた場合があるんだ。銀行のATMやネットバンクには振込先を登録できる機能があるから活用ができるんだが、ゆうちょ(郵便貯金銀行)だと利用者が多いし、画面をよく見ないで振込をしてしまうからこういうことが起きることがある」

「あぁ、だから扱いが難しいのか」

「さいわい、それが商品に対する入金なら売掛金として処理できるけど、そうじゃなかったら、たとえ1円だろうと抱えていないといけない負債になるんだ」

「まぁ通販の場合は支払期日が決まっているからこういうことは起きないんだが、ありえない話じゃないぞ。それじゃぁそろそろ飛行機の時間に間に合わなくなるから、おれはこれで失礼するぞ(スタスタ)」

「和美さん、おみやげよろしくね」



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