『つけ』って勘定書きって意味なんですって
「ようこそ、あなたがお金の女神さまねぇ」
「で、でかいっ!(なにがは無粋だから言いません)」
「よう、亜紀おばさん」
「和美ちゃんから聞いたわよ。簿記について説明できることだったらおばさんが教えてあげるわ」
「お母さん、会計ソフトのライセンス期間が過ぎてて使えないよ」
「あらあら、和美ちゃんに渡した手形の処理もしてないのに、どうしましょう」
「あ、それだったら今回はそれに関して説明しましょう」
取引 会計ソフトを10万円で購入し、その代金を口座から振り込んだ。
(ソフトウェア)100,000(当座預金)100,000
「購入した時に会計ソフトって書かないんだな」
「ソフトウェアの元帳にはきちんと書かれるよ。ただパソコンで使うからソフトウェアという勘定項目で仕訳られるから、会計や顧客管理ソフトも、おっぱいが大きな少女がいっぱい出てくる学園モノアダルトゲームでも、勘定項目ではソフトウェアでまとめられるんだよ」
「ちょっとまてっ! 神さまっ! なんでそんなの知ってるんだ?」
「いや、公人くんが寝ている間に部屋の探索していたら、タンスの中から出てきてねぇ」
「だからって、今言うことじゃないだろ?」
「(話をスルーして)購入したからソフトウェアは費用▲になるんですね」
「いや、費用は短期的なものを指すから、ソフトウェアは『無形固定資産』として資産▲になるんだよ」
「『無形固定資産』?」
「有形固定資産とあつかいは一緒だね。ただ形がないから無形固定資産という扱いになる」
「ただ注意することは、有形とは違って定率法がないことだな」
「定率法?」
「そうか、有形固定資産の時はそんなに詳しく説明してなかったね」
「古くなったら減価償却費を費用▲として仕訳ないといけないってことしか聞いてなかったな」
「形あるものいつか崩れるのは自然の摂理なんだけど、これは有形も無形も一緒なんだ」
「要するに劣化して使えなくなるってことですよね? でもソフトウェアはパソコンが壊れても、ソフトがインストールできれば使えるんじゃ?」
「うん。だから無形固定資産には定率法がないんだよ」
「その定率法がなんなのかって話なんだけど」
「それじゃぁ、まずは減価償却の仕訳について説明するね」
取引 車の減価償却費20万を計上する。
(減価償却費)20(車両)20
(単位・万円)
「これは去年購入した200万の車に対する翌年の減価償却費だね」
「……っ? 減価償却費は古くなったものにたいして支払う費用▲なのはわかるけど、去年購入したなら全然壊れてないんじゃ?」
「大事に扱われていればね。でも定額法では価値の減少=減価償却費として扱われるんだよ。右記の取引は車(資産▲)が十年使えるという計算で算出されているの」
減価償却費を計算する上で、
一・取得価格(購入に要した金額)
二・耐用年数(使える年数)
三・償却方法(計算方法)
「右記の三つのうち、償却方法は色々あって、その中から会社が自分で選択します。減価償却費の計算式は、
減価償却費=取得価格×償却率
から算出されるんだよ」
「『償却率』って、また新しい単語が出てきた」
「償却率については国税庁のHPに詳しく書いてあるから、自分がもっている『有形固定資産』があとどれくらいの耐用年数なのか興味がある人や、経理で働いている人も確認するといいかもね」
「さて、償却方法にはさっき神さまが言っていたとおりいろいろあるんだが、その中で『定額法』と『定率法』がよく使われている」
「『定額法』は一定額(定額)を、『定率法』は最初に大きく、次第に値段が下向していくのが特徴かな」
「えっと、さっきの200万円の車を例にすると、耐用年数が10年として、『定額法』だと10分の1の値段が減価償却費となって、『定率法』は価値がだんだん下がっていくってことですか?」
「考えとしてはね。ただその年の税法とか規則によるから、あまり気にしないで基本を知っていればいいよ」
取引・一 マンションの減価償却費100万を計上する。
(減価償却費)100(建物)100
(単位・万円)
取引・二 マンションの減価償却費100万を計上する。
(減価償却費)100(減価償却累計額)100
(単位・万円)
「あれ? 右記の一とニの取引は一緒だけど、仕訳方が違うんだな」
「一は直接資産の価値を減少させる方法。ニは評価勘定で間接的に価値を減少させる方法だね」
「評価勘定って?」
「そのままの意味で、その資産に対して勘定する側が値段を決める(評価する)ことだよ」
「たとえば最新テレビを購入して、それが10年以上使えたとする。最近のテレビは余程のことがない以上は壊れないから、十年なんてあっという間だ。だけど、資産としては新しいテレビがほしい。そこでこのテレビを自分の評価で『減価償却累計額』を決めるんだ」
「……っ、それって、古いマンガが後で高額商品になったら資産▲になるんじゃ」
「そ、そうなんだけど、減価償却(費用▲)だからといって、それを処分するわけじゃないからね。あくまでその資産の所有を維持するための手段だから」
「だけど、パソコンのソフトは無形だから、古くはなりませんよね?」
「最近だとアップデートもされるしな」
「そうだね。でもだからといってかならずしも『最新』というわけではないでしょ?」
「……えっ?」
「二人が今言ったのはインターネットがつながっている状態でのことだよね? たしかにネットに繋がっていればアップデートされるかもしれないけど、中にはウイルス対策としてそもそもネットをつなげていないかもしれないし、途中でアップデートをやめて、最新のやつを新しく購入してくれってソフトもあるかもしれない。昔からのソフトを使っているって人もいるかもしれない、エクセルを使って顧客管理をしているだって人もいるかもしれないよ。だから『無形固定資産』には『定率額』での計算はされないんだ」
「『無形固定資産』に定率法がないのは、その資産の価値を目で見えないってことですか?」
「そういうこと。サポートは終了したけど今でも『ウィンドウズXP』を使っている人だっているんだから」
取引・一 ソフトウェアの減価償却費1万円を計上した。
(減価償却費)10,000(費用▲)(ソフトウェア)10,000(資産△)
取引・二 取得価格20万円、耐用年数10年のソフトウェアの減価償却をおこなう。
(ソフトウェア償却)20,000(費用▲)(ソフトウェア)20,000(資産△)
「一は有形固定資産と同じだから割愛して、ニはわかりやすくソフトウェア償却にしているけど、『減価償却費』でも問題ないよ。ただ『定率法』で算出される『減価償却累計額』は出ないから注意が必要かな」
「そういやぁ、店を開けっ放しだったな。おれはこれで失礼するぜ」
「短時間でソフトドリンクおかわりしすぎだ」
「そんじゃなぁな亜紀ちゃん、こいつらの食事代も一緒にツケといてくれや(ガラガラ)」
「いつものことながら、豪快な人ね」
「……なぁ神さま、よく知り合いのレストランで支払いをしないで『ツケといてくれ』っていうけど、アレって購入したけど後で払うから買掛金になるんじゃないのか」
「いえ、『未払金』ね」
「『未払い』って払っていないってことですよね? だったら買掛金でも間違っていないんじゃ?」
「買掛金は本業での取引にもちいられるんだけど、それ以外は全部『未払金』になるんだよ」
「光熱費や通信費、電力費、建物の家賃も本業での取引ではないから『未払金』として扱われるわね」
「逆にさっき亜紀さんが言っていた例を、収拾する側からしたら本業になるから『未収金』ってなるの」
取引 持っていた家を500万円で売却。後日代金を受け取る。
(未収金)500(資産▲)(建物)500(資産△)
取引 右記の代金を現金で受け取った。
(現金)500(資産▲)(未収金)500(資産△)
「どっちも資産の仕訳になるんですね」
「建物を売却(資産△)して、その代金を後日貰うから未収金が資産▲に入る。これはまだ売買が終わっていないからどちらでもない状態。後日その代金をキチンともらったってことは、現金が▲500万円になる代わりに、土地を失うことになるね」
「本業以外の仕訳だとどうなるんですか?」
取引・一 先月分の光熱費5,000円の請求書を受け取った。代金は後日支払うことにした。
(光熱費)5,000(未払金)5,000
取引・二 右記の請求書を銀行口座から振り込んだ。
(未払金)5,000(当座預金)5,000
「未払金は負債だから買掛金と一緒だと思えばいいよ。ただ本業以外の物品の売買は『後払い』という勘定項目だから」
「事務用品とかお菓子とかの後払いは『未払金』になるんですか?」
「仕訳る上ではね。他にも土地や建物と言ったものも本業での購入ではないなら『未払金』になるよ」
「それじゃぁそれを扱っている不動産屋なら『未払い』じゃなくて、買(売)掛金になるのか」
「そうだね」
「ところで亜紀おばさん、和美叔父さんって結構ここに来るのか?」
「そうね、そろそろ溜まったお金を返して欲しいところよ」
「ふぅん、結構利用してるみたいだから、ツケも溜まってるんだろうなぁ」
「……んえん――」
「――えっ?」
「和美ちゃんったら、うちが営業をはじめた時からご贔屓にしてくれてるんだけど、いまだにお金を支払ってくれてないのよねぇ? そりゃぁ和美ちゃんところで買い物してるから、すこしはおおめに見てるけど、だからって……ひゃくまんいじょうもためこまれてたら、こっちもしょうばいあがったりなのよぉっ!」
「和美叔父さん、はやく未払金、支払ってやれぇっ!」
*今回、会話として出しませんでしたが、検定試験の問題では取得原価のx%を残存価格とするという計算が出る場合があります。
たとえば20万円の取得原価に対して、10%の残存価格(売却時いくらで売れるかという期待値)。耐用年数6年とした場合、
20万(100%)-2(10%)/6=18(90%)/6=3万円
という計算で『減価償却費』になります。
もっと細かくしますと『取得原価×(取得原価(%)-残存価格(%))÷耐用年数=y/年数』という計算で当期分の減価償却費になります。
そして『当期分の減価償却費×使用年数=減価償却累計額』という計算です。
それから売られるまで何年使った。たとえば4年とした場合、
200,000(取得原価)-120,000(期首減価償却累計額)=80,000
当期分も含める場合は、当期分の減価償却費(30,000円)も引きますので、最終的には50,000円になります。
これを現金30,000円で売れたとすれば、仕訳は次のとおりになります。
(減価償却費)30,000/(備品)200,000
(備品減価償却累計額)120,000
(現金)30,000
(固定資産売却損)20,000
という仕訳になります。




