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儲って信じる者って書くんだよ


「おう、元気にしてたかぁ」

「誰? この青いツナギを着たような威勢のいいおじさまは」

「親父の弟で和美叔父さんだよ」

「聞いたぞ、兄貴が怪我で入院したから、しかたなく店の経理任されたんだってな。なぁに、おれに任せてくれやぁ」

「それじゃぁ、その和美叔父さんには仕入れについてと、その商品が売れた場合を実際に行動して覚えようか?」

「お、このベッピンさんがお金の神さまか? すごいのに取り憑かれたなぁ」

「取り憑かれたって、人を幽霊と一緒にしないで」


 取引 取引先と1個200円の野菜を現金2,000円で買い取った。

 (仕入)2,000(現金)2,000


「さすがに今まで習ってるんだから、これくらいは仕訳ができるね」

「それじゃぁ俺から問題だ。仕入れで支払った現金はどうなる?」

「そりゃぁ支払ったんだから、なくなってるだろ?」

「うーん、前に缶詰の仕訳で説明したことを思い出してみて」

「たしか購入した時、それが商品として使われた場合は費用、非常食として残した場合は資産、食べたら食費として費用になるんだっけか? あれ? ってことは野菜は仕入れるから費用になって、それが資産になるってことか?」

「そう正解。資産は『お金になるもの』を前提に考えるとわかりやすいね」


 取引 一枚2,000円のCDを5枚を、買掛金として取り寄せました。

 (商品)10,000(買掛金)10,000


「この取引は、最終的に支払われるから今は買掛金でもいいんだよ。これで商品を購入(費用)して、後で売る(資産)ことになる」

「えっと、これを消費で考えると、予約した人が購入して、後でお金を払うってことか?」

「言い換えるとそうなるね。もちろん買掛金(負債▲)になるから、ちゃんとお金を支払わないといけない」


 取引 右記の取引で生じた買掛金に対して、現金で支払った。

 (買掛金)10,000(負債△)(現金)10,000(資産△)


「そして、さっきの野菜の話に戻すが、これが販売されると次の取引になる」


 取引 1個260円の野菜が5つ現金で売買された。

 (現金)1,300(商品)1,000

       (商品販売益)300


「あれ? 商品が売れたのに△になるのか?」

「そうじゃなくて、仕入れた値段以上にものが売れたから、商品販売益は収益▲として加算されるんだよ」

「現金として1,300円が資産として加算されたが、商品(資産)が1,000円分減った代わりに『商品販売益』として300円が収益に加算されたからこういう書き方になるんだな」

「もうひとつ、これには『三分法』がもちいられるんだよ」

「三分法……?」

「さっきのはあくまでわかりやすくと思って『分記法』を使ったんだけどな、商品を扱う上では三分法が一番使われるな」


 取引 商品1,000円を現金で仕入れた。

 (仕入)1,000(現金)1,000


「これは商品を現金で獲得したけど、今のところは借方に『費用』として『仕入』と記入されてるわね。商品は売れたものだけが費用になるのよ」


 取引 前記商品を1,200円で販売し、現金を受け取った。

 (現金)1,200(売上)1,200


「商品が売れた場合は『収益』として『売上』分を貸方に記入される」

「あれ? 商品を買ったときには『資産』の『商品』じゃなくて、『費用』の『仕入』にするのか?」

「うん、()()()()ね……」

「それで売れたものだけが費用になるみたいだけど、仕入れた時点で費用にしてるのは」

「え、え~~~とっ……」

「それに関しては、おれが説明するぞ」


 取引 1個500円のプラモデルを10個現金で仕入れた。

 (仕入)5,000(現金)5,000


 取引 それを消費税込み(8%)で2個販売し、現金を受け取った。

 (現金)1,080(売上)1,080


「この仕訳で残ったプラモデルはいくつだ?」

「えっと、8個だな……ってもしかして、残った商品を『費用』から『資産』にするってことか?」

「その通りっ! 売れ残った分の商品金額は次期の繰越金になるんだよ」


 取引 期末商品棚卸高が2,000円あった。

(繰越商品)2,000 (仕入)2,000


「『繰越商品』が資産として借方(増加)に記入され、仕入は『費用』の貸方(減少)として仕訳られるの」

「つまり、最終的には売れた分が費用ってことになるのか」

「この流れをさっきのプラモデルを例にして説明するぞ」


 取引 1個500円のプラモデルを10個仕入れた。

 仕入勘定

 (5,000)


 取引 1個500円のプラモデルを更に5個仕入れた。

 仕入勘定

 (5,000)

 (2,500)


 取引 在庫確認の結果、3個売れ残っていた。

 仕入勘定

 (5,000)(1,500)

 (2,500)


 最終的に売れた商品の数が12個(6,000円)だということがわかる。

 仕入勘定

 (5,000)(1,500)

 (2,500)(6,000)


「以上の取引をもちいて、費用として仕入れていた商品の在庫に残っていた3個を『繰越商品』という勘定項目として資産になるんだよ」

「そしてその差額が売れた商品の仕入値(原価)に相当するわけだ」

「仕入勘定と売上勘定を照らしあわせて、なにがいくつ売れたのかがわかるわけ。売上は『商品単価(売価)×数量』だから難しくはないよ」

「こうなると、最初(期首)にも在庫があるってことだよな?」


 取引 期首商品棚卸高が10,000円あった。

 (仕入)10,000(繰越商品)10,000


「まぁ、期末で在庫が出れば、当然次に持ち越されるからね。でもだからといってそうとは限らないんだよ。和美さんの説明はプラモデルだからこうなるけど、これが野菜とか賞味期限があるものだったらどうなる?」

「……? そりゃぁ売れ残ったら、最悪処分だよな」

「うちは野菜を中心としたなまものも扱っているからな」


 取引 1個100円のなしを20個現金で仕入れた。

 (仕入)2,000(現金)2,000


「これにもし傷があって、一部を取引先に返品した場合はこうなる」


 取引 仕入れた商品にキズがあったため、その分(3個)を返品した。

 (買掛金)300(仕入)300


「買掛金は負債に入るが、仕入分として返却しているから、こういう書き方になるな」

「買掛金(負債)が借方、仕入(費用)が貸方に入るのか」

「運良く商品が売れても、返品される可能性があるから」


 取引 売り上げた商品のうち、2,000円が返品された。

 (売上)2,000(売掛金)2,000


「これは売上(収益)が△(借方)に入って、売掛金(資産)も△(貸方)に入るのか。でもこれって返してもらってるから資産は損をしてないんじゃないか?」

「そうなんだけど、野菜やお米を作ってくれている農家の場合、最悪の結果がこれ」


 取引 1個200円のキャベツを一箱5個を掛として販売した。

 (売掛金)1,000(売上)1,000


 取引 右記の取引先と連絡が取れず、野菜が腐ってしまい売り物にならなくなった。

 (売上)1,000(商品)1,000

 (減価償却費)1,000


「これは売れ残った商品が腐ってしまい、廃棄処分しなくちゃいけない状態の仕訳だね」

「この取引だと、農家は△1,000円の損をしてることになるな」

「あれ? でもたしか『売掛金』で支払われるまでの資金だから売上はないよな? この場合、実質の損はしてないんじゃないか?」

「いやいや、キミねぇ……減価償却費の説明の時になにを聞いてたかな? 処分ってことはその分費用が必要になるんだよ。農家にとって育てた野菜が売れずに廃棄処分することって、お金を捨てるのと一緒なんだから」


 取引 取引先と連絡が取れず、野菜が腐ってしまい売り物にならなくなった。

 (売上)1,000(収益△)(商品)1,000(資金△)

 (減価償却費)1,000(費用▲)


「さっきの取引をわかりやすくするとこうなるかな」

「売上が減少して、その商品も捨てざるをえないからどちらも△の位置にある。さらに売掛金としてもらえるはずだったお金も△の位置にあるから、最終的にお金を支払うハメになる減価償却費が加えられるんだな」

「これは野菜だけでなく、お肉や鶏卵、ケーキなどの生食全般に言えること。だからこうならないためにも、売る側としては『割引』として商品を売り捌きたいんだね」

「よく店が閉まる一時間くらい前から割引するとは思っていたけど、でもその分、計算が面倒じゃないのか?」

「その面倒を減少させるのがさっきの三分法ね」


 取引 1個100円のお菓子を20個現金で仕入れ、そのうち8個が現金で売れた。

 (仕入)2,000(現金)2,000

 (現金)800(売上)800


 取引 そのお菓子を30円値引きして販売、残りの12個が現金で売れた。

 (100-30)×12=840 840-(100×12)=360

 (現金)840(売上)1,200

 (売上値引)360


「ところで、『売上値引』は収益と費用のどっちになると思う」

「えっと、売上が収益△の位置にあって、値引ってことは仕入れた商品の値段から引かれるから、費用▲になる打――『売上値引』は費用になるのか?」

「正解。ちなみに多く買った場合に『割引』かれた場合もだいたい同じものだと思えばいいよ」


 取引 ひとつ300円のCDを5枚購入すると一枚無料になる。それをカードで支払いを受けた。

 (売掛金)1,200(売上)1,500

 (売上割引)300

(カード(後払い)での支払いになるので、仕訳の上では一時的に『売掛金』となります)


「こうなるね。割引は会計では『割戻』とも云うよ。今回はわかりやすくしてるけど、実際は『貸倒引当金』と同じものだと思えばいいかな」

「商品は売れたけど、その代金を自分(会社)が払ってるってことになるのか。買う側からしたら得だけど、売る側からしたら損になっちまうんだな」

「ただ売る側も多く買ってもらえれば、その分在庫処分ができるし、実際生食やシーズンオフの洋服とかは在庫処分セールで売り捌きたいからね。在庫を抱えれば、その分仕入れとしての負債(この場合、売れ残って処分しないといけなくなる状態)になるから」

「売上ではあるけど、実際売れたわけではないから、こういう仕訳になるんだな」


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