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秘密結社のお姉様!?  作者: 折上莢
きそうきょく編
69/71

静かな部屋

呆然と立ち尽くす。霧の中、もうどのくらい歩いたかわからない。でも、霧はもうなくて、遥希の姿も、見えなくて。


「お姉ちゃん」


振り返ると、千春の前に碧流が立っていた。


「へき、る」

「…」


梓は足を縺れさせながら碧流に近寄る。頬に手を伸ばすと、碧流は潤んだ目を伏せた。真っ白の頬を包みこみ、無事を確認する。


「よかった、無事で…」

「…ご、めんね」

「ううん、いいんだよ。怪我はない?」

「…ごめんなさい」


碧流が顔をあげた。緑色の綺麗な瞳が、煌々と輝いた。梓は息を呑んでそれを見つめ返す。

瞬間、脳を直接揺らすような歌声が響いた。それが碧流の発するものだとわかると同時に、意識が遠のいていく。


「へきる…?」

「お姉様!」


ぶつんと意識が途切れた。



☆   ★   ☆



「…」


意識が戻った時、梓は自分の家のリビングにいた。


「…千春…?」

「…はい」


千春と二人、並んでソファーに座っている。ゆっくりと周りを見渡した。いつもの、何も変わらない部屋。部屋の中どころか家の中すら静まり返っている。梓と千春の気配しか感じられない。二人しかいない。


「へきるは? れつは…はるきさん、は?」

「…」


千春が顔を伏せる。梓の視界が歪んでいく。碧流はいない、烈もいない、遥希もいない。隣で千春が口を開きかけたが、すぐに噤んだ。


「…なんで、家に?」

「どうやら碧流に洗脳されたようです。お姉様が意識を失くしたすぐ後に、私も洗脳されたみたいで、気付いたらここに」

「どうして…」


千春は答えてくれなかった。だれからも、返事は返ってこない。


窓の外を見ると、もう真っ暗だった。碧流はどうして梓たちを洗脳したのだろうか。烈はどこに行ったのだろうか。遥希は、無事なのだろうか。

彼女の口からは疑問しか出てこなかった。どうして、なんで。


応えは返ってこない。


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