家族会議 2
「…」
文化祭のこと、野田さんのこと、全部を話した。
千春も烈も、黙って聞いていた。無気力さんも口を開かない。碧流も大人しく椅子に座っている。
「…無理に来てとか、来ないでとか、私は言わないよ。千春と烈が、大丈夫かどうかに任せる」
「…あの人、お姉様と同じクラスなんですか」
千春が俯いたまま呟いた。
「うん。だから、お店にいるよ。私もあの子も」
「…私のこと、覚えているでしょうか」
「無気力さんのことがわかったみたいだから、覚えてると思うよ」
「…そう、ですよね…」
嫌な事でも思い出したのだろうか、桃色の瞳に水の膜が張る。
「…ちはる」
ぱたりと、雫が落ちた。
落ちた涙を見た碧流が、目をまん丸にして洗面所に走る。
「碧流?」
無気力さんが咄嗟に声を上げるが、碧流はそのまま洗面所に入って行った。
パタパタとスリッパをの音と共に帰ってきた碧流の手には、タオルがあった。
「ち、ちはる、泣かないで」
はらはら流れる涙にタオルを当てて、擦らないように拭っていく。
「…その役目、烈がやらなきゃいけなかったんじゃ…」
「おい黙ってると思えば遥希…」
「碧流偉いね」
振り返った碧流は、「えへへ」と照れたように笑う。
その後、突然顔を悲しそうに歪めた。
しかしそれはすぐに千春を気遣う表情に変わり、ポンポンとタオルを当て続ける。
「ありがとう、碧流。もう大丈夫よ」
千春が真っ直ぐ私を見る。
「お姉様、私は…」




