表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密結社のお姉様!?  作者: 折上莢
さくらふぶき編
43/71

守るため

玄関を開けた瞬間、桜の香りが流れてきた。風に乗った一枚の花弁が、私の開けた扉から外へ出ていく。


「千春、やめろ!」


烈の怒鳴り声が聞こえて、慌てて鍵を閉めて靴を後ろに蹴り飛ばした。

半開きの扉を後方に押しのけ、リビングに入る。


「何してるの!?」


台所は桜まみれだった。

無気力さんは、碧流の言う通り能力を使った様子はない。無抵抗に、桜に巻かれている。

そして、千春は泣いていた。桃色の瞳が、私の存在を認識するや否や大きく見開かれる。その間も、涙が頬を濡らしていた。


「千春。能力を解いて」


彼女は唇を噛んで俯いた。

桜が、重力に従って床に落ちる。


「…烈、千春のことお願い。無気力さんはこっち」


烈が千春の元へ行く。碧流も烈の足元でオロオロと顔を隠す千春を見上げた。

同じく俯く無気力さんの腕を引き、台所から離れた。千春のすすり泣く声を背中に受けながら、リビングのドアを閉める。

私より背は高いのに、とても小さく見えた。その顔を覗き込んで問い掛ける。


「…何があったの?」

「…文化祭、行かないほうがいいって言った」

「うん。それは碧流に聞いたよ。どうして?」

「…」


オレンジ色の瞳が、迷うように揺れた。

そして彼は、それを隠すように目を逸らす。


「ちゃんと理由はあるんだよね?」

「…うん」

「言えないようなことなの?」


彼は小さく首を振った。

か細く声が吐き出される。


「…千春と烈を…」


桜の香りが、私たちを包む。


無気力さんの瞳がこちらを向いた。その瞳が、泣きそうに歪む。


「千春と烈を、守るため」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ