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秘密結社のお姉様!?  作者: 折上莢
かかし編
25/71

当たった予感

予感が当たった。

今、家には眠ったままの千春がいる。Lancelotの攻撃の要は私だ。その私はここにいる。

人形三人を相手にするなんて、とてもじゃないけど無理だ。


「っ!」

「あれ、何処行くの? 梓」


ひらりとプリーモが私の前に立ちはだかる。

後ろには、セコンドとテルツォが尊に付き従っている。


「…逃がさないよ、梓。君を、彼らの所には帰さない」


プリーモが、私に向かって一歩踏み出した。


* * *


「…? お姉ちゃん…?」

「あ…? どうした碧流。姉御なら部屋で寝てんだろ」

「いない。れつは、何してるの?」

「喉乾いたから、水飲みに…。…」


コップに水を注いで、部屋の違和感に気づいた。

姉御のパーカーが、ない。


「…碧流。遥希叩き起こしてこい。何してもいい、奇想曲ぶっ放してもいい。急いで起こせ」

「う、うん! わかった」


碧流が階段を駆け上がったのを見送り、窓の外を見据える。

ゆらりと現れた、二つの影。


「冗談じゃねーよ、引っ越して早々…!」


ホラーゲームかっつーの。夜な夜な窓の外に現れる女とか。

この暗い中、ぼんやり輝く瞳。一対は赤、一対は紫。

一番端の瞳の色には、見覚えがあった。


「…二度も」


二度も同じやつに、千春を傷付けさせる訳にはいかない。

窓を開けて、庭へ飛び降りた。


「Lancelot」

「マスターの敵」


見覚えのある片方が、ぬいぐるみを掲げる。

勢いよく起動したそれは、まっすぐ俺に向かって飛んできた。


「二度も同じ事させるか!」


持っていたライターに着火。手を翳す。

小さな炎はうねり、ぬいぐるみを呑み込んだ。

黒焦げになった猫が、地面に落ちる。

初めて、奴の顔に表情を見た。


「…セスト」


片方の白髪紫目がセストの腕を引く。


「マスターの命令」

「あ…めい、れ…?」


なんだかよくわからないが、片方を戦闘不能にできたらしい。

好機だ。これを逃すな。

自分に言い聞かせ、もう一度炎に手を翳した、その時。


「…っ、ああああああああああ!!」


空気を震わせる高音が響いた。

碧流? あいつ、何やってるんだ!?


室内(なか)は任せたわ、クイント」


耳元で、風を切る音。

咄嗟に横へ転がった。


「わたしの名前はクアルト。マスターのドール、四番目」


クアルトの肩には、セストの猫と同じような熊のぬいぐるみ。

熊は、刀を握っていた。


「わたしには双子の妹がいる。名前はクイント」


家の中から再び高音。

まずい、まずいまずいまずい…!

中には意識不明の千春がいる。遥希は明らか戦闘向きじゃないし、俺が外で防ぎつつ姉御の帰還を待つ予定だったのに。

そもそも俺の炎は威力が弱い。できてぬいぐるみ丸焦げにさせるくらいだ。人間にダメージ与えられるほどの攻撃力はない。

しかも相手は人形だ。


「っ、姉御…!」


頼む、早く戻ってきてくれ…!


* * *


「っは…!」


もう何分経っただろう。体感的にはとんでもなく長いこと戦っているような気がする。


「ねえ梓。勝てると思うの? 三対一、しかもこちらは人形だ!」


剣の届かない安全地帯で、尊が笑う。

小さく舌打ちして、プリーモから距離を取った。

ついさっき、怒りに反応したのか右腕が剣化した。私の意思で元には戻らないが、今は都合がいいのでこのまま使うことにする。

予想では脚もなると思ったんだがそう上手くはいかないようで。

一角獣が発動したのは右腕だけ。過去二回使えたはずの特大ジャンプは、なんでか今回使えない。


「護るなんて思ってるから」

「…うるさい」

「あはは。僕の人形になれば、使い方教えてあげるのに」

「過程が怖そうだから遠慮する」

「なら無理矢理そうするまでだよ」


尊の声音が冷たくなる。

三体が、一斉に飛びかかってきた。


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